気胸

肺の表面の膜(臓側胸膜)に穴が空いて、胸の中(胸腔:きょうくう)に空気が漏れ、肺がしぼんだ状態をいいます。
応急処置は、気胸の程度によります。
何も処置をしないでよい場合もありますし、その他、脱気療法(細い針で一回だけ空気を抜く)、胸腔ドレーン留置があります。
外来または入院で治療を行うかを含めて、それぞれの状況に応じて最適と思われる方法を説明し対応します。

気胸の分類は概ね以下の様になります。

  1. 自然気胸 1)原発性自然気胸 2)続発性自然気胸
  2. 外傷性気胸

最も一般的なのは、若年者で、多くは男性で、長身やせ形の方に発症する、原発性自然気胸です。気腫性肺嚢胞(ブラ)の破裂により発症します。
手術治療を行ったほうがいいと考えられるのは、(1)再発を繰り返す症例、(2)空気漏れの持続例、(3)両側性気胸、(4)胸腔内出血を伴うもの、(5)肺が拡張しない、などです。
一般的に、全身麻酔での胸腔鏡下手術で行われています。

初回に手術以外の治療をした後の再発が30-50%程度であること、そして手術治療後の再発率は、年齢や肺の状態により異なりますが全体的には5%前後と考えられていますので、初めて気胸を発症した場合で上記に当てはまらなくても状況により相談して手術治療を行うこともあります。
当科での原発性自然気胸に対する胸腔鏡手術後の再発率は1.9%です。最近では術後入院期間が短縮し、ほとんどの患者さんが2日目に退院しています。

女性が気胸を発症する頻度は低いのですが、前述した原発性自然気胸以外に、続発性自然気胸として月経随伴性気胸やリンパ脈管筋腫症(LAM:lymphangioleiomyomatosis)が原因であることがあります。手術が根本的な治療になりにくいこともあり、詳しく説明しますので、理解していただき最も良い対応を考えていくことが大事です。

全身状態や肺の状態から全身麻酔での胸腔鏡下手術はリスクが高射場合があります。多くは高齢者で、非常に重度の慢性閉塞性肺疾患(COPD)や肺線維症から生じた難治性の続発性自然気胸です。 当科では、このような場合には、一般的に行われる胸膜癒着療法以外にも、(1)自発呼吸下の胸腔鏡手術、(2)気管支鏡下気管支充填術、(3)胸腔造影下フィブリングルー注入療法、なども各患者さんの状態に応じて積極的に施行し効果をあげています。

最終更新日:2018年2月28日