医療の質(クオリティ・インディケーター)
クオリティ・インディケーター(QI)とは、医療の質を評価する目安となる指標です。他施設との比較については、提供する医療機能・役割は施設ごとに異なるため、単純比較はできませんが、当院では、これらの客観的指標を設定・公表し、改善に向けた取組を継続的に行うことで、医療の質の向上に努めてまいります。
救急車応需率(PDF 48.6KB)(クオリティ・インディケーター 一覧)
部門 | 指標名 | 指標の説明・意義 | 定義 | |
分子 | 分母 | |||
脳神経内科 | 入院早期リハビリ実施率 | 脳梗塞の発症後早期のリハビリテーション開始は診療ガイドラインでも強く推奨されています。 速やかにリハビリテーションを開始することが入院期間短縮や生活の質の改善につながることから指標として重要です。 | 入院3日目までに脳血管リハビリを開始された患者数 | 脳梗塞症例数 |
循環器内科 | Door-to-Balloon | door-to-balloon時間が90分以内であること、あるいは90分以内に再灌流療法が施行された患者さんの割合が50%以上という指標が急性心筋梗塞の治療の質の向上として知られています。経皮的冠動脈インターべーション開始とは、初回バルーン拡張あるいは血栓吸引を行ったときです。 | 救急外来到着から経皮的冠動脈インターべーション開始までの所要時間が90分以内の患者数 | ST 上昇型急性心筋梗塞で、受診から24時間以内に心臓カテーテル検査を実施した退院患者数 |
血液内科・ | 輸血後感染症検査補正実施率 | 厚生労働省は輸血医療の安全性確保のため,2004年に「輸血療法の実施に関する指針」において輸血前後の感染症マーカー検査を行うよう通知しています。また 2006 年の診療報酬改定では輸血管理料が設けられ,輸血前後感染症検査の実施が求められています。全国的に輸血後感染症検査の実施率の向上は医療安全において重要な指標であり,当院における実施率の向上を図ります。 | 輸血後感染症検査施行人数 | (輸血実施人数)ー(当院でフォローしない人数) |
呼吸器内科 | 肺炎患者検査提出率 | 感染症診療に関しては、抗菌薬投与前に適切な培養検査を行い、培養結果により適切な抗菌薬投与をすることができます。肺炎に関しても同様に喀痰培養は重要で、治療失敗や治療期間の延長を予防するために提出率の向上が必要です。 | 喀痰培養(もしくは尿中抗原もしくは血液培養のいずれか)を提出した患者の割合 | 主科が内科でDPC主病名として肺炎と診断された入院患者数(院内発症(入院48時間以降の発症)を除く) |
腎臓内科 | 透析導入患者のCKD5期到達以降の紹介率 | 腎臓内科は「患者さんに透析治療をお勧めする科」ではありません。弱った腎臓をなるべく早い時期から大切に使う方法をともに考える科です。それにより透析治療を先延ばしできますし、それが健康的な長生きにつながります。 | 腎臓内科初診時の病期が5期到達以降の患者数 | 慢性維持透析導入 |
糖尿病内科 | 糖尿病患者食事指導件数 | 糖尿病の管理には、食事療法を中心とした生活習慣の是正が有効であり、治療の基本であり、他薬物療法を行うにしても必須です。目標とする体重や摂取すべきエネルギー量は年齢や身体活動量などによって異なり、個別化が必要です。 | 入院中に適切に食事内容を指示し、栄養指導依頼をした件数 | 血糖コントロール目的で入院した患者 |
消化器内科 | ERCP後膵炎の発生率 | ERCP後膵炎は胆膵領域における必須の検査であるERCPの問題となる合併症の一つです。古くから発症率を減らすために様々な研究がされています。この発症率を減らすことがERCPにおいて一つの目標になります。 | ERCP後膵炎の合併症発生件数 | 全ERCP件数 |
小児科 | 小児入院患者における成長評価の実施率 | 身長や体重は、子どもたちの健康状態を示す重要な指標です。当科では、入院の理由を問わず、できる限り入院した子どもたち全員の成長を評価することを目標にしています。入院時の体格はもとより、それまでの成長記録を合せて評価することで、その子がこれまで順調に成長してきているかどうかを評価します。これは、入院した問題以外に潜在する健康上の問題がある場合、その早期発見につながります。 | 診療録に成長曲線が作成され退院サマリーに成長評価の記載がある患者数 | 一定期間の小児科入院患者総数 |
新生児科 | NICUとGCUにおける新規MRSA陽性率 | 新生児は生理的に易感染状態にありますが、特に早産・低出生体重児は感染症になりやすく感染予防対策は重要です。NICUやGCUには早産をはじめとするさまざま疾患により長期入院する重症のお子様が多く、時にMRSA(メチシリン耐性黄色ブドウ球菌)等の薬剤耐性菌が検出されることがあります。新生児科(320病棟)ではNICUとGCUの全入院児において定期的に監視培養を提出し、MRSAの保菌状態をチェックし感染予防対策に役立てています。保菌が確認されてもすぐに治療が必要なわけではありませんが、入院48時間以降の新規MRSA陽性率を見ることにより、感染予防対策が適切に施行されているかの指標となります。 | 1年間のNICUとGCUの入院48時間以降の新たなMRSA検出数 | 1年間のNICUとGCUの入院数 |
消化器外科 | 大腸癌手術における腹腔鏡手術率 | 高難度の悪性腫瘍手術における低侵襲手術治療の指標となります。 | 腹腔鏡下大腸切除術 | 腹腔鏡下大腸切除術+開腹大腸切除術 |
消化器外科 | 成人鼠径ヘルニアにおける腹腔鏡手術率 | 高齢者に頻度の高い成人良性疾患手術における低侵襲手術治療の指標となります。 | 腹腔鏡下鼠径ヘルニア修復術 | 腹腔鏡下鼠径ヘルニア修復術+鼠径部切開法鼠径ヘルニア修復術 |
乳腺外科 | 乳癌術後のリンパ浮腫指導実施率 | 腋窩リンパ節郭清が行われた乳癌術後,リンパ浮腫を予防するための患者さんへの指導・情報提供の指標になります。 | リンパ浮腫予防指導が行われた症例 | 腋窩リンパ節郭清を伴う乳癌手術症例 |
整形外科 | 人工関節感染率 | 人工関節股関節置換術(THA)、人工膝関節置換術(TKA)を多く行っていますが、最大の合併症でもある感染率を調査します。 | 自院THA、TKA手術例における人工関節感染数 | THA、TKA手術数 |
リウマチ科 | 治療開始前の口腔内環境評価率(口腔科受診率) | 口腔内環境が良好でない場合、ステロイド・ビスフォスフォネート製剤治療開始後の感染症・顎骨壊死を含む口腔内合併症のリスクが高まるため、治療開始前の評価が重要となります。 | ステロイド・ビスフォスフォネート製剤治療を開始する入院患者のうちの口腔科受診患者数 | ステロイド・ビスフォスフォネート製剤治療を開始する入院患者数 |
リハビリ科 | 早期リハビリテーション加算取得率 | 早期リハビリテーション加算は、発症後(起算日)より30日以内の患者さんに対して、各疾患別リハビリテーションの単位数に加えて算定出来ます。急性期病院リハビリテーション介入の指標として意義を持つものです。 | 1カ月の早期リハビリ加算取得単位数 | 1カ月の総取得単位数 |
脳神経外科 | 脳卒中救急受け入れ率 | 脳卒中を広く多く受け入れることは急性期病院の脳神経外科の重要な業務要素です。「脳卒中A」の救急端末を東京消防庁が設けて以来、当院では脳神経外科・脳神経内科が「脳卒中A」患者の受け入れを担っており、当院の脳神経外科のアクティビティーを現わすよい指標と思われます。 | 「脳卒中A」選定で救急搬送され入院した患者数 | 脳神経外科全入院数 |
形成外科 | 植皮生着率 | 植皮手術は当科では一般的に行う手術手技のひとつです。生着率は80%を超える手術手技ではありますが、母床の状態や感染、固定の仕方などによって生着率が変動します。今回、生着率を可能な限り上げるため改善策を立て効果判定を行っていきます。 | 生着件数 | 全植皮手術件数 |
皮膚科 | 下肢蜂窩織炎における足白癬の有無を検索した患者の割合 | 本邦(日皮会誌 121巻1号 p17-23, 2011:原著)でも、海外(Br J Dermatol. 177(2):382-394, 2017:レビュー)でも、蜂窩織炎の危険因子のひとつに白癬が挙げられています。白癬治療を行うことで、蜂窩織炎の再発予防となり医療費抑制につながると考えられます。 | 下肢蜂窩織炎治療患者のうち足部の真菌鏡検査実施患者数 | 下肢蜂窩織炎治療患者数 |
泌尿器科 | 結石手術患者に対する栄養指導実施率 | 尿路結石の治療は、出来てしまった結石を破砕するだけでなく、手術後には再発を予防することも重要です。従来、結石の原因は体質・遺伝的素因と食生活・生活習慣にあるとされ、当院では積極的に栄養指導を行ってきました。しかし、関心の薄い患者さんや何回も再発を繰り返している患者さんでは断られることもあり、そのようなケースでは主治医も栄養指導を省略しがちです。栄養指導による再発予防を継続的に徹底していく意義があります。 | 栄養指導を受けた患者数 | 結石手術を受けた患者数 |
産婦人科 | 異所性妊娠の腹腔鏡手術の割合 | 異所性妊娠は、全妊娠の1-2%に起こるとされている妊娠初期の疾患で、卵管破裂による腹腔内大量出血で生命にかかわる場合もあります。治療法は手術もしくは薬物療法である(日本では保険適用外)。手術療法としては、UpToDateで腹腔鏡下手術が推奨されていますが、人員時間制約他の事情により開腹手術にせざるを得ない場合もあります。 | 異所性妊娠根治術のうち、腹腔鏡手術 | 全異所性妊娠根治術 |
眼科 | 白内障術後点眼の再考 | 白内障術後点眼は現在4種類使用していましたが、3種類に変更します。術後は炎症が一時的に起こり、虹彩後癒着などの予防のため、散瞳点眼を術後全例に処方していますが、近年炎症は軽症化してきており、一律に使用する必要がないと思われます。術後の点眼を減らすことは患者さんの負担を減らすことになります。 | 術後散瞳点眼を必要とした症例数 | 白内障手術件数 |
耳鼻咽喉科 | ESS術後感染の発症率 | 内視鏡による鼻・副鼻腔手術では術後は鼻内にタンポンが入るため、感染による重篤な合併症も報告されています。当科では感染防止のため、術後(タンポン抜去まで)数日間抗生剤の点滴を行っています。適切な術後の感染対策と糖尿病の合併や高齢者など感染リスクのある方についての感染防止について検討することは重要です。 | 術後非感染件数 | ESS手術件数 |
口腔科 | 予防的抗菌薬投与率 | 下顎埋伏智歯抜歯症例では経験的に術後の抗菌薬予防投与期間を3日としており、それがゴールデンスタンダードになっていました。しかしSSIガイドライン(2016)では、耐性菌出現の問題から術直前の単回投与~48時間が推奨されています。そこで当科ではこれに則り抗菌薬投与を行うことで、術後感染のリスクが増加しないことを確認します。 | 抜歯後感染症件数 | 下顎埋伏智歯抜歯件数 |
児童精神科 | PARS-TR実施率 | PARS-TRは自閉スペクトラムの障害特性を評価するための質問紙で、専門家が保護者と協働して記入する形式となっています。児童精神科の初診患者には発達の偏りをもつ者が多いですが、多動・衝動性のような外向的な臨床症状にマスクされて基底にある自閉スペクトラムが見過ごされやすくなっています。患者さんのより正確な評価を行うためには全ての新患へのPARS-TR実施が望ましいことです。 | 初診時PARS-TR実施件数 | 初診患者数 |
神経科・ | せん妄リスクの高い患者に対する精神科リエゾン依頼率 | 認知症高齢者の環境変化や手術などの侵襲に伴うせん妄を軽減する対策の一つとして、精神科による介入があり、早期に介入を開始することでADLの低下やリハビリテーションの遅滞を予防できる可能性が高くなります。既往歴などのリスク因子を用いたスクリーニングによる予防的介入と、せん妄発生後の速やかな鎮静、概日リズムの是正により入院期間の延長や入院医療費の増大を防ぐことができると考えます。 | 精神科リエゾン依頼件数 | せん妄リスクの高い患者数 |
麻酔科 | 麻酔科管理手術の手術室入室時から手術開始までの平均所要時間 | 手術室入室から手術開始時までの所要時間を必要最小限とすることは、手術室の効率的な運用につながります。選択する麻酔方法や手術体位、患者さんの重症度や必要なカテーテルの挿入・留置、手術中に必要なモニターの準備や設定など所要時間の影響因子は多岐にわたります。しかし、外科系各科の比較や長時間を要した症例の原因因子などを検討することで、麻酔科医、術者、看護師の協力関係が増すものと期待されます。 | 各症例の手術室入室時から手術開始までの所要時間の総和 | 麻酔科管理手術件数 |
放射線科 | CT/MRIのネット予約率 | CTやMRI検査の予約が24時間いつでも予約可能な環境を整え、地域の医療機関の診療業務に貢献します。 | CT/MRIのインターネット予約検査数 | CT/MRIの検査数 |
検査科 | 病理結果参照率(組織診) | 病理診断は最終診断です。公益財団法人日本医療評価機構が「病理診断報告書の確認忘れ」という警告を発しています.組織診において生検検体であれば臨床診断と同じ病変なのか,全く異なる病変なのかがわかります。手術検体であれば病変が取り切れているのかどうか,あるいは術式が適当であったかどうかが判断できます。 | 依頼医参照済の数 | 最終診断報告済みの数 |
検査科 | 採血待ち時間の短縮 | 採血は、診療後の採血に加え診療前採血も増加しています。迅速に採血をすることにより、診療支援と患者サービス向上に努めます。 | 平均採血待ち時間 |
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薬剤科 | 薬剤管理指導(入院服薬指導)実施率 | 薬剤師による病棟薬剤業務は「患者への服薬指導」と「薬学的管理(適正使用、副作用等のチェック)」を行います。病棟薬剤業務により、医薬品を安全で適正に使用し、患者さんによりよい薬物療法を提供します。 | 薬剤師が服薬指導を実施した入院患者数 | 退院患者数 |
栄養科 | 特別食加算算定率 | 患者さんにとって適切な特別食が提供できることは、疾病の治療に直結し、栄養食事指導も算定可能となります。入院時食事療養では特別食加算(1食あたり76円)の算定も可能です。 | 特別食加算算定件数 | 調定延食数 |
臨床工学技士 | 医療機器の勉強会・研修 | 医療機器を安全に使用するためには医療機器毎の勉強会・研修が必要です。 | 勉強会・研修件数 | 1 |
看護部 | 身体拘束(狭義)の実施割合 | 身体を抑制(狭義)している患者数(24時現在の患者さん全員を対象)とし、使用している道具および体位は問いません。(抑制帯・車椅子用安全ベルト・ミトン等) | 身体拘束患者数(狭義) | 在院延患者数 一般病棟のみ |
看護部 | 新規褥瘡発生率 | 新規褥瘡発生(深さd1以上)患者数/在院延べ患者数×100 | 新規褥瘡発生(深さd1以上)患者数 | 在院延患者数 |
看護部 | 転倒・転落アクシデント発生割合 | 転倒・転落件数のうち骨折などのアクシデント発生の割合です。 | 転倒・転落アクシデント発生件数 | 転倒・転落数 |
330病棟 | 1ヶ月健診時母乳率 | 1ヵ月健診時の栄養法が母乳のみである新生児の割合は、日本では51.3%(平成27年)ですが、当院では平成27年度以降継続して60%以上を維持しています。ハイリスク分娩が増加し、年々母乳育児支援が困難になるなか、高い水準を維持することを目指します。 | 退院時の栄養法が母乳のみであった健常新生児 | 母子同室であった健常新生児 |
医事課 | オペレーターが応答出来た予約センターの電話割合 | 予約センターにかかってきた電話については、オペレーターの回線がすべて塞がっていると、自動応答や話中の状態になり、直ぐに予約を取得することが出来ません。こうした状態の解消に努めることで、患者サービスの向上や苦情の減少は元より、予約患者数の増に繋げることも期待できます。 | 予約センターオペレーターの応答件数 | 予約センターへの入電件数 |
共通 | 年休取得日数 | 職員のライフ・ワーク・バランスを推進するとともに、生産性の高い執行体制を構築するため、総労働時間の短縮に向けた休暇の取得を促進し、健康確保に配慮した勤務環境を構築していきます。 | 職員の年次有給休暇取得日数 | - |
共通 | 救急車応需率 | 「断らない救急」を目標に救急患者を積極的に受け入れることにより地域医療連携の一層の推進に取り組んでいきます。救急車応需率を病院共通指標として設定し、更なる応需率向上に努めていきます。 | 救急車応需件数 | 救急車受入依頼件数 |