胆・膵内視鏡検査と治療
胆嚢、胆管あるいは膵臓の病気を診断・治療するために、口から内視鏡を挿入し行う検査・治療です。胆膵内視鏡で用いる内視鏡は、十二指腸鏡が主に用いられます。
1.内視鏡的逆行性胆管膵管造影(ERCP)
胆管と膵管の十二指腸への開口部を、十二指腸乳頭といいます。ERCPには、十二指腸にスコープの先端を挿入し、実際には2~3mm程度の大きさの十二指腸乳頭に細いチューブ(カテーテル)を差し込んで、膵管や胆管に造影剤を注入し、レントゲン撮影をおこなう診断的ERCPと、それに引き続きおこなう治療的ERCPがあります。治療的ERCPでおこなわれる内容として主なものとしては、総胆管内の結石を乳頭部から摘出するために、内視鏡下に電気メスで十二指腸の胆汁の出口を切開する内視鏡的乳頭括約筋切開術(EST)と、内視鏡下に風船(バルーン)を用いて十二指腸乳頭の出口を拡張する内視鏡的乳頭バルーン拡張術(EPBD)、総胆管の狭窄(狭くなっていること)で胆汁の排泄が悪くなっている部位に対して、プラスチックのチューブや金属のステントを挿入する内視鏡的ステント挿入術(EBD)などがあります。しっかりと鎮静をかけて行っており、合併症への十分な対応のため、原則入院して行います。詳細につきましては、担当医にご確認ください。
2.胆・膵内視鏡を受ける前は
検査を安全に行うために、全身状態の把握や感染症の有無について、採血検査、尿検査、心電図検査などを行う場合があります。また、観血的となる治療を施行するときは、事前に血液凝固能・血液型などをチェックしておきます。
3.胆・膵内視鏡検査の合併症
胆・膵内視鏡は、全国レベルで広く行われております。しかし、ごくまれに造影剤などの薬剤に対するアレルギー反応、消化管出血、穿孔、胆管炎、膵炎などの合併症を起こすことがあります。万が一、合併症が起きた場合、入院期間の延長や緊急の処置・手術が必要になることがあります。なお、これら検査および治療に伴う偶発症の発生頻度は全国集計(2008年から2012年の5年間)では、診断的ERCPで、0.322%、治療的ERCPで、0.975%とされています。