上部消化管内視鏡検査(食道・胃・十二指腸内視鏡)と治療

上部消化管内視鏡検査の受け方

 上部消化管内視鏡検査とは、食道・胃・十二指腸にできる病気(炎症・潰瘍・ポリープ・がん・食道静脈瘤など)を調べて、適切な治療方法を考えるための検査です。検査中に何か異常が見られたり、また疑われた場合には必要に応じ組織の検査(生検)が行われます。

1.事前検査

 検査を安全に行うために、全身状態の把握や感染症の有無について、採血、尿検査、心電図検査などを行う場合があります。

2.前処置

  1. 検査前日の夕食は、普段の食事でかまいませんが、夜7時頃に済ませて、9時以降は食べないでください。飲水は可能です。
  2. 血液をサラサラにするお薬(抗血栓薬)を飲まれている方は、検査を行う上で大変重要なお薬となりますので、予約の際は必ず医師に申し出てください。
  3. 鎮静剤の注射を希望される方や、鼻から内視鏡を入れて検査する【経鼻内視鏡】を希望される方は、予約の時に紹介医師に申込みをお願いします。
  4. 鎮静剤の欠点として、検査当日は眠気が残ったり、判断力の低下から事故につながる恐れがありますので、ご高齢の方は、ご家族の付添いをお願いいたします。
    また、検査時に鎮静剤の注射を使用した方は、検査終了後は病院で約1時間休んでから帰宅していただきます。
    検査後は終日、車・バイク・自転車の運転はしないでください。
  5. なお、医師の判断により、鎮静剤の使用量を減量したり中止したりすることもあります。

3.検査当日の手順

  1. 検査直前にゼリーやスプレーでのどの表面麻酔をおこないます。
  2. 検査台に横になり内視鏡を口から挿入して、食道・胃・十二指腸を観察しながら写真を撮影します。
  3. 必要な場合には、粘膜表面をわかりやすくするために色素またはヨードをかけて観察を行うことがあります。
  4. 良性・悪性などを診断するために、組織を一部採取(生検)することがあります。
  5. 検査時間は個人差がありますが、約10分程度です。

4.検査後の行動、注意事項

  1. のどの麻酔が取れるまで1時間~2時間は食べたり、飲んだりすることができません。
  2. 検査後の注意について、看護師から説明用紙が渡されます。
  3. 検査後の内服は検査担当看護師から説明があります。
  4. 鎮静剤を使用した方は、検査後は病院で約1時間休んでから帰宅していただきます。
  5. 検査結果の説明は、検査後の外来受診時に担当医師が説明します。

上部消化管内視鏡検査の合併症

上部消化管内視鏡検査の偶発症としてまれに、消化管出血、穿孔などが生じることがあります。入院や緊急の処置・手術が必要となることがあります。2008年-2012年の観察を目的とした経口上部消化管内視鏡検査の偶発症は0.005%、経鼻上部消化管内視鏡検査の偶発症は0.024%と報告されています。

内視鏡的切除とは

 内視鏡を用いてポリープや癌を切除する方法です。主に食道や胃に生じた早期癌に対して内視鏡を用いて切除を行う方法です。方法はポリペクトミー、内視鏡的粘膜切除術(EMR)、内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)に分けられます。従来手術が必要だった早期癌も、身体に負担の少ない内視鏡治療により切除が可能となりました。ただし病変部の大きさ、深さ、癌の種類によって適応を厳密に決定してから行いますので担当医に相談してください。切除後は病変部に人工潰瘍が発生します。まれに出血や穿孔を伴うことがありますので、原則入院して行います。