放射線科

放射線科

概要

診療放射線業務

放射線科では、胃がん、肺がん、乳がんを中心に早期のがん発見のための精密検査及びがんドックを実施しています。
CT部門では、前処置の負担が少なく、診断精度の高い大腸CT検査や、通常のCTの10分の1程度の被ばく線量で撮影を行う低線量CT検査を特色に、CT装置を活用した画像診断を行っております。
乳腺部門では、トモシンセシス(3Dマンモグラフィ)(PDF 415.5KB)を使用した精密検査やがんドックに加え、乳腺腫瘍外科医師と緊密な連携の元、ステレオガイド下吸引式組織生検(マンモトーム生検)を実施し、より精度の高い検査にも取り組んでいます。
また、地域の医療機関からの依頼検査も行い、高度・高額医療機器などの共同利用、地域医療連携を推進しています。
更に日々、職員のスキルアップと装置の精度管理にも重点をおき、職員の多くが認定資格の取得に取り組み、各学会の認定施設として登録されております。

人材育成事業

がんの検査・診療に従事する医療従事者を対象とした、上部消化管造影検査とマンモグラフィ検査の個別研修を開催しています。

上部消化管検査

胃X線検査

当センターのバリウムを使った胃X線検査は日本消化器がん検診学会が定めた「新・胃X線撮影法」を順守しています。胃全体を膨らませる発泡剤とバリウムを飲み、撮影中は受診者さんに体を動かして頂きながら、胃の隅々まで撮影を行っていきます。検査時間は15分程度です。
受診者さんに合わせた丁寧な撮影を心掛け、耳の聞こえづらい方や日本語が不得意な外国人の方へ検査指示をわかりやすく伝える、多言語検査支援システムを導入しております。

当センターでは、消化器内科医・病理医と診療放射線技師で定期的な症例検討会を実施し、スキルアップに努めています。胃X線検査の撮影技術と精度管理に関しては、日本消化器がん検診学会による審査・評価で、最上位の『評価A』を取得しております。

X線TV装置写真
X線TV装置
多言語検査支援システム写真
多言語検査支援システム

下部消化管検査

注腸検査

注腸検査とは、大腸にバリウムと空気を注入してX線撮影を行う検査のことをいいます。検査を行う際には肛門からチューブを挿入し、造影剤であるバリウム、次いで空気を注入して大腸を膨らませます。バリウムを大腸全体に行き渡らせるため、検査中には左回転、右回転などいろいろな体位変換をしていただき写真を撮影していきます。

<注腸検査で何がわかるの?>
大腸がんの症状は、血便や便通異常、腹痛などです。とくに血便は重要で、肉眼でわかる血便や、便潜血反応で初めて分かる見えない血便まであります。これらの症状や便の変化を考慮し、注腸検査を行います。この検査では大腸がんのほか、大腸ポリープ、クローン病、潰瘍性大腸炎、大腸憩室などを見つけることができます。

注腸検査画像

乳房検査

マンモグラフィ

初めて検査を受ける方の不安を少しでも軽減できるように、検査の流れや時間、圧迫の必要性についての説明を行っています。当センターでは受診者の方の羞恥心軽減のため、上半身のガウンの袖を通したまま前開きで撮影しております。

マンモグラフィ装置写真
マンモグラフィ装置
マンモグラフィ画像写真
マンモグラフィ画像
マンモグラフィのご案内

マンモグラフィとは
乳房のX線撮影のことをマンモグラフィといいます。乳房にX線を照射し、X線の吸収の差が濃度差となり、画像が作られます。乳房はX線吸収差が少ない組織で構成されています(乳腺組織・血管・脂肪など)。また、乳腺疾患である腫瘤との吸収差も小さいため、診断しやすい画像を得るためには専用の装置を用います。

マンモグラフィでわかること
乳房にできる疾患には良性のものと悪性のもの(いわゆる乳がん)があり、それぞれ特徴があります。マンモグラフィに写しだされる、しこり・石灰化・その他の所見から疾患の特徴をとらえ、診断を行います。しこりとして触れることのできない微細な所見から、乳がんを見つけることができます。

マンモグラフィ検査の流れ
診療放射線技師が直接乳房に触れ、手で乳房全体を押し広げた後、透明な板で乳房を押さえて撮影します。 標準的な撮影は左右の乳房を2方向(上下方向、大胸筋に沿った斜め方向)ずつ、計4方向撮影します。必要に応じて追加撮影を行います。

圧迫の必要性
マンモグラフィは撮影の際に、乳房ができるだけ薄く伸展するように押し広げ、透明な板で圧迫します。圧迫することにより正常な乳腺組織と病変が識別しやすくなります。同時に被ばく線量が少なくなる、動きによるブレの防止ができる、という効果があります。精度の高いマンモグラフィを得るために圧迫が必要となり痛みを伴う場合もありますが、我慢ができないような痛みを感じた際は遠慮なくお申し出ください。

被ばくについて
マンモグラフィはX線を使用する検査のため、放射線被ばくがあります。1回の撮影で乳房が受ける放射線の量は、東京~ニューヨーク間を飛行機で利用した時に浴びる自然放射線(宇宙線)の量と同程度といわれています。また、乳房の大きさや撮影方法により線量は異なりますが、将来、白血病や発がんなど、身体に影響が出るような線量ではありません。

ご不明な点がありましたら、撮影を担当する診療放射線技師にお尋ねください。

当センターのマンモグラフィの特長

乳房撮影装置
日本医学放射線学会の定める仕様基準を満たし、日本乳がん検診精度管理中央機構のマンモグラフィ検診施設画像認定を受けています。

読影・診断
日本乳がん検診精度管理中央機構の講習会を修了し、検診マンモグラフィ読影認定医が読影、乳腺腫瘍外科では専門医が診断を行います。

撮影
日本乳がん検診精度管理中央機構の講習会を修了し、検診マンモグラフィ撮影技術認定を取得した診療放射線技師が撮影を行います。

ステレオガイド下吸引式組織生検マンモトーム(生検)

※現在休止中です。ご迷惑をお掛けして、申し訳ございません。
触診や超音波検査では分かりづらい、石灰化などの病変に対して行います。良悪性を判断するためにマンモトーム装置を使い組織を採取します。撮影を行いながら病変部位を同定し、約2~3mmの太さの針を使って組織を採取し、確定診断をします。
当センターでは、受診者の身体的負担を低減するため、ベッドに横向きに寝た状態でマンモトーム生検を行っています。検査時間は1時間程度です。

マンモトーム生検装置写真
マンモトーム生検装置

ステレオガイド下吸引式組織生検(マンモトーム生検)は針生検より採取できる組織量が多く、針の吸引方向を変えることができるため、さまざまな方向から組織を取ることができます。

乳房トモシンセシス(3Dマンモグラフィ)

乳房トモシンセシス(3Dマンモグラフィ)は乳房を複数の方向から角度を変えて撮影したデータを用いて、任意の高さの断層像を再構成する技術です。

再構成した断層像は組織の重なりが少なく、従来の2Dマンモグラフィでは判断が難しかった病変の観察がしやすくなります。また、偽陽性(乳がんではないにも関わらず、乳がんの疑いありと診断されてしまうこと)を減らすことができ、不必要な精密検査を減らし、受診者の負担を減らすことができます。

トモシンセシス技術説明図

CT検査

胸部CT検査

胸部全体を1mm~5mm幅で輪切りにした画像を作成します。
胸部X線検査によって指摘された陰影の存在部位、大きさ、形状などをより詳しく調べます。
当センターでは、64列マルチスライスCTを導入し、4秒程度の息止めで全肺野(30cm)を撮影することができるようになり、治癒可能な早期肺がんの発見に努めています。
多断面からの再構成画像や、診療科の医師の要望により気管支の3D画像の提供なども行っています。

胸部を前からみた画像写真
胸部を前からみた画像
気管支の3D画像写真
気管支の3D画像

低線量CT検査(2019年7月『肺がんCT検診施設認定』取得)

CT装置を用いて撮影を行い、肺全体を輪切りにした画像を作成します。胸部X線検査では観察しにくい部位に発生した肺がんや、小型の肺がんの発見にも有効です。低線量CT肺がん検診は、スクリーニング(がんの候補となる陰影を見つけること)を目的としています。そのため診療で行うCT検査より線量を低減させて撮影を行うことが可能であり放射線による被ばくが少ない検診を受けられます。当センターでは2018年秋にCT装置を更新したことで、以前よりも更に線量を低減させた撮影を行っております。この低線量CT肺がん検診はスクリーニングとしての画質は担保されており、被ばく線量としては1mSv(ミリシーベルト)以下、通常のCT検査に比べ10分の1程度となっております。

CT装置写真
CT装置
輪切り画像写真
輪切り画像

大腸CT撮影(2021年6月『大腸CT検査技術施設認定』取得)

大腸を炭酸ガスで膨らませてCT撮影を行い、画像の再構成処理を行うことで内視鏡や注腸検査に似た画像が得られる検査方法です。
前処置として専用の検査食と下剤を使用します。また、服用して頂く洗腸液の量は大腸内視鏡検査と比べ、約1/10程度となり、前処置の負担が軽減されました。
検査時間はおよそ10分~15分程度で、大腸にガスを入れたまま仰向けとうつ伏せでそれぞれ撮影します。
大腸CT検査では6mm以上の隆起性病変等を見つけることに適しています。

大腸CT検査の長所と短所の図
大腸CT検査の長所と短所
仮想内視鏡画像写真
仮想内視鏡画像
仮想注腸画像写真
仮想注腸画像
大腸展開画像写真
大腸展開画像

診療実績

令和4年度診療実績

上部消化管X線検査(精密)180人
下部消化管X線検査(精密)76人
マンモグラフィ1,416人
マンモトーム75人
胸部X線検査689人
CT検査2,672人
大腸CT206人
低線量CT検診(単独検診)148人
ドックCT(低線量で実施)147人
胃X線検査46人
マンモグラフィ208人

資格・認定

認定資格取得者数認定資格取得者数
検診マンモグラフィ撮影認定技師7胃がんX線検診技術部門B資格検定2
胃がん検診専門技師3胃がんX線検診読影部門B資格検定2
肺がんCT検診認定技師4胃がんX線検診指導員1
X線CT認定技師3大腸CT検査認定技師3
大腸CT専門技師3放射線機器管理士4
放射線管理士3医療情報技師2
臨床実習指導教員3放射線被ばく相談員2
Ai認定診療放射線技師1核医学専門技師1
磁気共鳴専門技術者1医療画像情報精度管理士
胃がんX線検診読影補助認定技師1厚生労働省告示研修受講者8

(令和6年1月現在)

所有機器

  1. ■X線TV装置1台
  2. ■64列マルチスライスCT装置1台
  3. ■デジタルマンモグラフィ装置2台(トモシンセシス1台)
  4. ■マンモトーム装置1台
  5. ■一般撮影装置(FPD)1台
  6. 施設認定・評価

  7. ■マンモグラフィ検診施設画像認定(日本乳がん検診精度管理中央機構)
  8. ■肺がんCT検診施設認定(肺がんCT検診認定機構)
  9. ■胃X線検査分野 評価A(全国労働衛生団体連合会・日本消化器がん検診学会)
  10. ■大腸CT検査技術施設認定(日本消化器がん検診学会)
  11. 施設認定・評価