ご挨拶

 都立広尾病院は、1895年(明治28年)8月6日にコレラの流行に際し伝染病に対する病院として開設されました。その後、常設の市立病院としては最も早い昭和2年2月15日に内科、外科、皮膚科、産婦人科で開院され、戦災の被害もほとんどなく昭和23年には東京都復興計画のモデル病院の指定を受け多くの見学者が訪れる病院となりました。昭和55年10月に竣工した現在の広尾病院は、都立病院として初めて救命救急センターや屋上ヘリポートを併設した病院として生まれ変わり、救急医療や島しょ医療が開始されて総合病院としての本格的なスタートとなりました。重点医療として心臓血管病治療や脳血管疾患治療を掲げ、また行政的医療として災害医療や外国人医療が追加され、さらに現在は新型コロナウイルス感染症に対する重点医療機関としての役割を果たしています。新型コロナウイルス感染への対応では、全職員が一団となって対応をして参りました。この経験は救急医療や災害医療を担う広尾病院としては非常に貴重であり、これら行政的医療の役割を果たす上での大きな糧になるものと考えます。

令和4年7月1日付で都立病院ならびに公社病院は、地方独立行政法人東京都立病院機構として再編され、新たに船出しました。東京都立広尾病院の名称は変わりませんが、さらに頭に機構の名称が載ることになります。ちょうど新規感染者数発生も落ち着きを見せており、徐々に通常の診療を再開しているところです。気持ちを新たに進んでまいりますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。新しい広尾病院の運営理念は、「私たちは、すべての患者さんに安全・安心・良質の医療を提供します」としました。シンプルですが、不可欠で非常に重要な内容です。何より職員全員で決定した理念です。この理念通りの医療を推進してまいります。新しい広尾病院をどうぞよろしくお願い申し上げます。

2022年7月
院長 田尻康人