狂犬病を疑われる動物に咬まれた場合

狂犬病を疑われる動物に咬まれた場合

動物咬傷被害者には狂犬病ワクチンをできるだけ早く接種したほうがよいので、予約センターで予約を取る必要はありません。ワクチン外来担当医か、小児科外来(TEL:03-3823-2101)に直接電話して受診の日時を相談してください。

日本では昭和32年以降、昭和45年にネパールでイヌに咬まれて帰国後に発病した1例、平成18年にフィリピンでイヌに咬まれて帰国後に発病した2例以外には発生の報告がありませんが、狂犬病は現在もなお世界各地で発生しています。東南アジア、南アジア、アフリカ、中南米諸国ではイヌの狂犬病が多発しています。北米ではスカンク、アライグマ、コウモリの狂犬病が発生しています。中南米ではイヌやネコの狂犬病以外にコウモリ、特に吸血コウモリの狂犬病が問題になっています。

こうした地域でイヌ、ネコ、コウモリなど狂犬病を疑われる動物に咬まれた場合は、ただちに狂犬病ワクチン接種による発病予防を受ける必要があります。狂犬病はいったん発病してしまえば、現代医学でも治療の方法がなく、死亡率は100%とされています。しかし、狂犬病の潜伏期は1-3か月と長いので、この間に抗狂犬病免疫グロブリンを注射し、またワクチンを定期的に接種して免疫をつければ、発病を免れることは可能です。

狂犬病は予防はできますが、決して治せない病気だと考えてください。

狂犬病予防ポスター (フィリピン)

WHOは狂犬病の危険がある動物に咬まれた場合、すぐに傷口を流水と石鹸で洗い、医療機関を受診して、抗狂犬病免疫グロブリンの注射と狂犬病ワクチンの注射を5回受けるように勧告しています。

当院では、WHOの勧告に従って、狂犬病ワクチン接種を初回接種日を0日として、3、7、14、30日、必要があれば90日にも注射しています。しかし、日本では抗狂犬病免疫グロブリンは市販されていないので、注射することができません。