消化器内科 - 専門分野(下部)

消化器内科の診療を希望される方へ

臓器ごとにがんに熟練した医師が積極的に対応しています。受診の際には、紹介状と検査結果(病理標本、レントゲンフィルム)などの資料(コピー可)をお持ち下さい。検査を無駄なく進めることができます。
特にセカンドオピニオン外来を受診される場合は、資料をもとに専門医が治療法に対する参考意見をお伝えするので、必ずご用意下さい。
また、治療後に病状が安定した後は、投薬治療や経過観察の検査などは、かかりつけの先生に御願いすることがありますので御了解ください。

がんの診断

がんの診断は、病変をみつけること、がんの進行度を見極めることに分かれます。診断の手段となる検査法は、臓器により異なります。

早期大腸がん

大腸ポリープや大腸癌などの腫瘍性病変は、茎のあるいわゆるポリ−プはスネア絞扼切除(ポリペクトミー)、2cm程度までの表面型大腸腫瘍の粘膜切除術(EMR)、大きな病変などでは 内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)で切除します。
大腸癌の内視鏡治療は大腸癌診療ガイドラインに準拠しながらも、治療方針に複数の選択肢がある場合は、大腸外科、病理科、放射線治療科などと共同の検討会である大腸キャンサーボードで討議し、患者さんの全身状態や年齢など背景を考慮し、患者さんの意思を尊重しながら治療方針を決めます。
近年、抗血栓薬を服用している患者さんが多い傾向にあります。基本的には抗血栓薬服用者に対する消化器内視鏡ガイドラインに準拠していますが、当科では抗血栓薬を休薬せずに内視鏡治療を行い、合併症なく治療を安全に行うことが可能です。
また、今まで内視鏡治療を控えていた病変でも,超音波内視鏡検査を追加して検査することで大きな病変でも内視鏡切除が可能となる場合があります。

大腸癌内視鏡治療数 年次推移

大腸内視鏡治療件数 年次推移(2015-2020)

2cm以下の病変の切除は外来で行える場合もありますが、高齢者や重篤な基礎疾患を伴う方,遠方の方などは入院下で行います。
大きな病変やESDの場合は、数日の入院治療が必要です。

肛門出血を主訴に来院。下部直腸に表面型病変を認めます。
ESDで内視鏡切除施行。
58x43mm大の粘膜下微量浸潤癌。
切除5ヶ月後には瘢痕化して治癒。

小腸腫瘍(小腸がん 小腸GISTなど)

小腸腫瘍はまれですが,食道・胃・十二指腸内視鏡検査と大腸内視鏡検査で異常がなくても貧血や下血がある場合,小腸に原因があることがあります。
当院では,カプセル内視鏡と小腸内視鏡を導入して,小腸疾患の診断を行っています。

写真2連

左:検診で貧血の指摘があり,増悪するも,上部・下部内視鏡検査で異常なく,カプセル内視鏡検査を施行したところ,発赤した腫瘍を認めます。

右:小腸内視鏡検査では,小腸粘膜下腫瘍を認め,生検組織診でGISTの診断でした.外科切除後には貧血は改善しました。

がんのハイリスクグループ

大腸がんには家族性・遺伝性をもつものがあります。代表的なものとして、家族性大腸腺腫症(familial adenomatous polyposis: FAP)やリンチ症候群があげられます。家族性大腸腺腫症は常染色体優性遺伝で、大腸全域に腺腫性ポリープが多発(100個以上)し癌化する傾向を持つ疾患です。リンチ症候群も常染色体優性遺伝で消化管ポリポーシスを伴わない家族集積性のある大腸がんで、大腸がんが50歳未満の比較的若い年代で2世代以上に発生する疾患です。ご家族の中で大腸癌が多発している方やポリープが多発している方はこれらの疾患の可能性があります。これらの疾患は大腸がんだけでなく、胃・十二指腸・子宮・卵巣のがんなどの他臓器癌を併発するリスクが高く、他科と連携も行い定期的に検査を受ける必要があります。当科では家族性・遺伝性の方々への内視鏡治療による低侵襲治療の提供が可能です。また、遺伝子検査を含め、がんのハイリスクと考えられている方の検査を積極的に行っています。当科では専門家である遺伝性腫瘍専門医も在籍しておりますので、ご不明な点がございましたらいつでもご相談ください。