精神科医のための身体科専修コース
精神科研修はひととおり修了したが、気づいてみると初期研修で学んだはずの身体治療はすっかり忘れてしまった、このままでは開業もおぼつかない、精神科医として患者さんの身体健康にも責任を持ちたい、単科精神病院で体もみなくてはいけないけれど相談相手がおらず不安だ、心も身体も診られる医師になりたかった、という精神科医師の声を聞きます。
精神疾患(統合失調症や双極性障害)のある人の平均寿命が一般人口に比べて15-20年も短いことは、欧米ではearly death (早逝)としてよく知られてきています。自殺等の要因の影響もありますが、心血管系疾患やがん等の併発と、その治療の遅れが大きな要因になっています。
精神障害のある人の身体的治療は、健診などの予防も含め、一般人口に提供されている医療サービスに比べて極めて乏しく、わが国ではアンメットニーズと呼んでも良いいと思います。
精神科医として幅広いニーズに応えられる医師となるために、精神科研修が修了したそのタイミングでもう一度しっかりと身体科治療に専念する経験を持つことは、地域医療の時代に、これからの精神科医に求められるスキルを磨く貴重な時間になると思います。
松沢病院では、身体合併症病棟、一般病床合わせておよそ120床において、内科(消化器、循環器、呼吸器、脳神経、感染症、リウマチ、腎、透析、緩和等)、外科、整形外科、脳神経外科、形成外科、婦人科、泌尿器科、耳鼻咽喉科、歯科等の専門医と、毎年8名の初期研修医が働いています。入院患者さんは原則的に精神疾患を持っている方です。精神疾患に合併しやすい身体疾患(肺炎、麻痺性イレウス、糖尿病、悪性昏迷など)、向精神薬の副作用(リチウム中毒、錐体外路症状など)、器質性精神障害の診断・治療、神経疾患診療のトレーニング、摂食障害患者の管理、精神疾患を持つ患者の緩和医療など、通常の総合病院ではなかなか見ることができないけれども精神科医にとっては必要性の高い症例を効率よく見ることができます。また、病棟スタッフが患者さんのために必要なことを最優先に考えられる環境が整っています。そうした病棟に精神科医が入り、身体科診療の基礎的スキル、更には精神科、身体科両面からの診療を研修することができます。
1-2年間の時間を区切っての魅力ある研修で、精神障害のある患者さんにトータルな診療力を持って将来の開業あるいは単科精神科病院勤務などに備えてはいかがでしょうか。
関心のある先生には、いつでも見学に応需いたします。下記までお問い合わせ下さい。
石田琢人(松沢病院内科・精神保健指定医)
takuto_ishida@tmhp.jp