再生医療外来(PRP療法)
PRP療法とは、患者さんご自身の血液から抽出した「多血小板血漿(PRP)」を患部に注入することで、組織の修復・再生を促す再生医療です。血小板には、成長因子と呼ばれる組織の修復を助ける成分が豊富に含まれており、これらを患部に集中させることで、自然治癒力を高め、痛みの緩和や機能改善を目指します。
PRP療法のメリット
- 自己由来のため安全性が高い:患者さんご自身の血液を使用するため、アレルギー反応や感染症のリスクが低いとされています。
- 自然治癒力を利用:薬物療法とは異なり、自身の治癒力を活性化させるため、副作用のリスクが比較的少ないとされています。
- 比較的短時間で治療可能:採血から注入まで、比較的短時間で治療が可能です。
- 様々な疾患への応用:変形性関節症、靭帯損傷、腱の炎症など、様々な疾患への応用が期待されています。
PRP療法のデメリット
- 効果には個人差がある: PRP療法の効果には個人差があり、全ての方に効果が期待できるわけではありません。
- 保険適用外: PRP療法は、保険適用外となります。
- 複数回の治療が必要な場合がある:十分な効果を得るためには、複数回の治療が必要となる場合があります。
- 一時的な痛みや腫れ:注射部位に一時的な痛みや腫れが生じる場合があります。急性期の疼痛、熱感は約50%の患者さんに診られます。多くの場合3日間で軽快します。
当院の再生医療外来の特徴
PRP療法は施設により製剤の内容が異なります。製剤に含まれる血小板数が少ないものから多いものまでさまざまです。一般的に、血小板数が多いPRP療法で有効性が高いと報告されています。このことから、当院では高容量の血小板数を含むPRP製剤を治療に使用しています。また、膝関節は肩関節より体積が大きいので、2倍の容量のPRP製剤を用意しています。
対象疾患
主な適応疾患は以下の通りです。
変形性関節症
- 形性肩関節症、変形性肘関節症、変形性膝関節症、変形性股関節症、変形性足関節症などによる痛みや機能障害の改善
靭帯・腱の損傷
- 靭帯損傷(肩、膝、肘、足関節など)
- 腱炎(肩腱板炎、アキレス腱炎、テニス肘、ゴルフ肘など)
- 腱板断裂
スポーツ外傷
- 関節の損傷
PRP療法は、これらの疾患に対して、痛みの緩和、機能改善、組織修復の促進などの効果が期待されています。しかし、効果には個人差があり、全ての患者に効果があるわけではありません。
また、PRP療法は比較的新しい治療法であり、適応疾患や治療効果については、まだ研究段階の部分もあります。治療を検討する際には、医師と十分に相談し、リスクと効果を理解することが重要です。
治療の流れ
1. 診察・カウンセリング
- 医師が患者さんの症状や既往歴などを詳しく問診します。
- 画像検査(レントゲン、MRIなど)を行い、患部の状態を確認します。
- PRP療法の適応となるか、治療のリスクや効果について説明を受けます。
- 治療計画や費用について相談します。
2. 採血
- 患者さんの腕から少量の血液を採取します。
- 採取する血液量は、治療部位によって異なります。
3. PRPの抽出
- 採取した血液を専用の遠心分離機にかけ、血小板を濃縮したPRPを抽出します。
4. PRPの注入
- 抽出したPRPを患部に注射します。
- 超音波画像を見ながら正確な位置に注入する場合もあります。
- 注射時の痛みは、個人差や治療部位によって異なります。
5. リハビリ・経過観察
- 治療後、安静にする時間やリハビリを行う場合があります。
- 医師の指示に従い、経過観察や定期的な診察を受けます。
- 複数回の治療が必要な場合もあります。
その他
- 治療時間:採血から注入まで、30分~1時間程度で完了することが一般的です。
- 治療頻度:1回の治療で効果が得られる場合もあれば、複数回の治療が必要な場合もあります。
- 治療費用:保険適用外となります。
注意点
- PRP療法は、医師の指導のもとで行う必要があります。
- 治療後は、医師の指示に従い、安静にお過ごしください。
- 治療効果や副作用には個人差があります。
予約方法
- 当院のPRP療法は紹介制となっております。
PRP療法を希望される患者さんは、まずかかりつけの医療機関にご相談ください。かかりつけ医療機関から紹介状(診療情報提供書)をもらったうえで、ご予約をお願いします。なお、かかりつけ医療機関で実施した画像・採血の検査データがある場合は、紹介状(診療情報提供書)と併せてご持参ください。
ご予約の際は「再生医療外来」の予約である旨を職員へお伝えください。
予約センター | TEL:03-5285-8811 |
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受付時間 | 平 日:9時から17時まで |
費用
自由診療となるため、PRP療法に係る費用はすべて自費となります。
<費用の一例>
30ml | 60ml | ||
初診日 | 診察、レントゲン、MRI、血液検査 等 | 約26,000円 | 約26,000円 |
PRP施術日 | 診察、採血、PRP精製、注射 | 約180,000円 | 約240,000円 |
再診日 | 診察、レントゲン、エコー、血液検査 等 | 約21,000円 | 約21,000円 |
合計 | 約227,000円 | 約287,000円 |
- 金額はいずれも税込みです
- 上記は費用の一例です。患者さんの状況に応じて費用は異なります。
- 再診日は、PRP施術日から1か月後、3か月後、6か月後の3回です。
安全性
当院のPRP療法は、「日本先進医療医師会 特定認定再生医療等委員会」の審議を受け、厚生労働大臣に届出た提供計画に基づき実施しています。
(第二種再生医療等提供計画:PB3240293)