膝関節の病気と手術

膝の痛みには様々な原因があります。以下に代表的な原因と当院での治療をお伝えします。

変形性膝関節症

主に加齢性変化などで膝の軟骨がすり減り、関節に炎症や変形が生じ痛みが起こる病気です。加齢性に加え筋肉の衰え、肥満、無理な動作、骨折や靱帯・半月板損傷といった外傷、化膿性関節炎などの多くの要因が絡み合って膝への負担となり関節軟骨がすり減り炎症を起こします。

写真:異常な膝関節と正常な膝関節

関節リウマチ

本来ならば細菌やウイルスから体を守ってくれている免疫機能が過剰に発現し自分自身を攻撃対象としてしまう自己免疫疾患です。その攻撃対象が関節の骨および軟骨であるため膝にも変形をきたします。

大腿骨および脛骨顆部骨壊死

ステロイド薬を大量に投与された経験のある方や、高齢で 骨粗鬆症があり、骨の力学的強度が下がっている方などに突然起こる病気です。

当院では主に周辺の整形外科クリニックなどで保存治療(手術以外の治療 内服や注射など)を受けたけれどなかなか良くならない、もしくは他に原因があるかもしれないので精査したほうが良いのでは、といった要望からご紹介頂いた患者さんを主に診察しております。

診察させて頂き、現治療を工夫して継続した方が良いか、他の原因を疑い治療を再検討したほうが良いか、保存治療が限界と思われるので手術したほうが良いのではないか、といった提案をさせて頂きます。

人工膝関節置換術

当院で行っている主な手術である人工膝関節置換術についてご説明します。

どんな手術かと申しますと、歯医者さんでの虫歯治療の金歯や銀歯と言ったかぶせものに似ています。様々な原因で軟骨がすり減り痛んだ部分の骨を約1cm程度切除して、大腿骨、脛骨それぞれに金属(コバルト、クロムの合金製が多い)をかぶせます。固定は医療用の接着剤で行っています。最後に金属の間に軟骨の代わりとなるポリエチレン製の緩衝材を挿入します。

手術時間は約2時間から2時間半くらいです。主に全身麻酔で行いますので手術中は全く分かりません。術後も麻酔科医師が膝の痛みを和らげるブロック注射の管を留置するため一番痛い術後2、3日は比較的痛みが少なく過ごせます。

入院は当院では約3週間でその間にリハビリを行います。退院の目安は手術前の歩行能力により目標を設定しそれが3週間で達成できれば自宅に帰って頂きますし、もう少し必要そうであればリハビリテーション専門病院へこちらからご案内して転院して頂くこともあります。

また膝の内側のみに障害がある方に関しては内外ともに換える全置換術ではなく侵襲の比較的少ない単顆型置換術が全国的にも行われる傾向にあり当科でも可能な限り行っております(関節リウマチは残念ながら対象外となっており変形性膝関節症、特発性骨壊死に限ります)。

写真:変形した膝関節のレントゲン

変形性膝関節症(右膝):内側の関節の隙間がなくなっています。下肢全体で見るとO脚変形となっています

写真:全置換術後のレントゲン
人工膝関節全置換術を行いました。O脚も改善しています。
写真:単顆型置換術後のレントゲン
人工膝関節単顆型置換術を行った例