反復性肩関節脱臼
病態: 外傷などを契機として肩関節の脱臼が起こり、それが癖になって軽微な外傷でも肩が外れるようになってしまった状態で、ひどくなると日常生活や寝がえりでも外れてしまうこともあります 。
治療法:肩関節の前下方の靭帯が剥がれたり、伸びたりしてしまって、正常に機能しなくなってしまっているので、関節鏡視下に剥がれた靭帯を低侵襲で修復します。
肩関節が脱臼しにくくなることで患者さんの生活の質が著しく向上することがわかっています。
腱板断裂
病態:腕を外側や前に上げようとする筋肉(腱板)が、外傷や変性により傷んでしまった状態で、夜間痛や腕の上げ下げで痛みが出ます。50肩として長い間リハビリを受けたのになかなか症状が改善しない場合は腱板断裂の場合があります。
治療法: 3ヶ月以上リハビリや注射などの保存療法を受けても症状が改善しない場合には手術を必要とする可能性が高くなります。手術は関節鏡視下に傷んでしまった腱板を低侵襲で縫合します。
術後半年から1年程度はリハビリを必要とします。
変形性肩関節症または関節リウマチ
病態:肩関節の軟骨がすり減ってしまった場合や、関節リウマチによって肩関節の軟骨や骨が破壊されてしまい、痛みがひどい場合には人工肩関節置換術を要する可能性が高くなります。その際に、腱板という肩を動かす筋肉が残っている場合には解剖学的な人工肩関節を行います。
腱板が切れてしまっている場合には、三角筋の力を使って腕を上げることができるリバース型人工肩関節を行っています。特に関節リウマチ患者さんでは腱板が薄くなった状態で残っていても、うまく機能していない場合も多く、リバース型人工肩関節を行うことによって痛みが改善し、腕を前や横に上げることが容易になります。