小児リウマチ膠原病外来開設のご案内

東京都立小児総合医療センター腎臓内科

はじめに

このたび東京都立小児総合医療センター腎臓・リウマチ膠原病科では新たに「小児リウマチ膠原病外来」を開設しました。多摩地域をはじめとした周辺地域の小児リウマチ患者さんの診療のお役に立ちたいと考えております。

慢性的に関節が腫れている、関節を痛がる、筋肉を痛がり力が入らない
繰り返す原因不明の発熱や発疹
などの症状がある場合はお気軽にご相談下さい。

概要

こどものリウマチは、以前は若年性関節リウマチ(JRA)と呼ばれていましたが、現在は若年性特発性関節炎(JIA)と呼ばれています。これは大人のリウマチとは異なり、リウマチ因子が陰性のことが多いためこの疾患名となりました。またJIAは関節リウマチだけでなく、こどもの様々なタイプの慢性関節炎を含んでいます。JIAは大人のリウマチと同じように関節が腫れ、しばしば痛みを伴い、適切な治療を受けなければ永続的な関節変形を来す場合があります。しかし大人とは発症年齢のパターンや合併症が異なったり、大人では使える薬が使えなかったり、治療薬の量の調整が必要な場合があります。その他、小児リウマチ科医が診る主な疾患は、全身性エリテマトーデス(SLE)、若年性皮膚筋炎(JDM)、強皮症、ベーチェット病、シェーグレン症候群、血管炎症候群といった自己免疫性疾患から、周期性発熱を来す自己炎症性疾患など多岐にわたります。多くの慢性炎症性疾患と同様に、それらの原因については明確には分かっていません。

以前はJIAの治療にはステロイド、アスピリン、金製剤しかありませんでした。しかし、ステロイドは成長期のこどもに対して副作用が大きな問題となっていました。近年免疫学の研究の発展とともに、この領域の治療は目覚ましい進歩を見せています。関節炎にはメソトレキセートが使われるようになり、難治例にはサイトカインや免疫細胞をターゲットとした生物学的製剤が効果を示し、ステロイドの使用を最小限にする治療ができるようになってきています。また他の膠原病に対する治療も進歩し、予後も明らかに良くなってきています。例えば1980年代はじめ、本邦の小児SLEの5年生存率は55.7%であったものが、1995~2006年の調査では10年生存率が98.7%と大幅に改善しています。こども10万人あたりの年間の発症率は、JIAは1.6-23人、小児SLEは0.36-2.5人、JDMは0.19-0.32人と言われています。多摩医療圏50万人のこどもたち、周辺地域のリウマチ膠原病患者さんを診ていきたいと思っております。

特色

このたびアメリカでトレーニングを積んできた新たな仲間を加え,診療体制を充実させました。SLEではループス腎炎が患者の予後を決定する重要な合併症となります。小児のリウマチ膠原病診療は小児総合医療センター腎臓内科で行っていますので、患者さんが腎疾患を合併する場合は科内での情報共有や治療方針決定が容易に行えます。腎生検をはじめ、血漿交換や緊急透析が必要な場合も迅速に行えるという特徴もあります。腎臓専門医からアプローチした腎保護を意識した治療、高血圧の管理を目指していきます。

また隣接している多摩総合医療センターリウマチ膠原病科とも連携を積極的に取っております。この体制により移行医療もスムーズに行え、高いレベルの標準的な医療・最新のリウマチ膠原病診療を継続して受けることが可能となっています。地域に密着した高水準の医療を提供することが私たちの使命と考えています。

診療体制

現在は第2・第5水曜日に新患・再診外来を設けています。外来への予定的なご紹介は医療連携室を通してお受けしております。緊急受診が必要な場合やご家族の予定が合わない場合は赤峰・濱田までお電話にてご相談下さい。経過が長い場合には、受診前に紹介状・検査や画像データを赤峰宛にお送り頂けますと、あらかじめ外来までに準備ができ、診療を円滑に行うことができます。受診当日にもコピーをいただけると助かります。

診療分野

若年性特発性関節炎(JIA)
全身性エリテマトーデス(SLE)
若年性皮膚筋炎(JDM)
強皮症/en coup de Sabre/Parry-Romberg症候群/好酸球性筋膜炎
混合性結合組織病(MCTD)
ベーチェット病
シェーグレン症候群
血管炎症候群:ANCA関連血管炎、高安動脈炎、結節性多発動脈炎など
慢性再発性多発性骨髄炎(CRMO)
サルコイドーシス
オーバーラップ症候群
原因不明の発熱
など