業務紹介(検査科)

検体検査室

検体検査室では、血液や尿、その他の体液を検体とした、以下の検査を行っています。
院内で測定している緊急検査項目については60分以内に結果を報告し、患者さんの診療がスムーズに行われる体制を支えています。

当院の検体検査室は、日本臨床衛生検査技師会の精度保証施設認証を取得しています。

血液塗抹標本写真

◆院内で行っている検査

1.血液学的検査
貧血や炎症などを知るための血球数算定や、血液の止血能力を知るための凝固線溶検査などの検査を行っています。
自動血球数算定装置にて目視が必要と判断された場合、臨床検査技師が顕微鏡で観察して、異常な細胞が出ていないかを確認し報告を行っています。

自動血球算定装置

2.生化学的検査
血液を遠心分離機にかけて有形成分(血球)と無形成分(血清)に分離し、血清中の成分を分析します。
肝臓や腎臓の機能など身体の状態を知ることができ、病気の診断や治療効果の判定、症状の経過観察に欠かせない検査です。

3.免疫学的検査
腫瘍マーカー、甲状腺ホルモン、感染症、心疾患マーカー、血中薬物濃度を検査しています。

◆委託検査

検査の内容により、院外の施設に委託をして行っている検査もあります。
委託検査の場合、検査結果のご報告まで数日~数週間お時間をいただいてい
ます。

輸血検査室

全自動輸血検査装置

輸血検査室では、患者さんへの輸血が安全に実施されるよう、血液型検査、不規則抗体検査、交差適合試験を行っています。

また、血液製剤と自己血液製剤の保管・管理を行っています。

当院の輸血検査室は、日本輸血・細胞治療学会の機能評価認定(I&A)を取得しています。

中央採血室

中央採血室

中央採血室では採血・尿検査の受付を行っています。

臨床検査技師が採血を行い、一日平均156人程の採血を行っています。
混み合う時間帯は最大5台の採血台で採血に対応しています。

患者さんに安心して採血を受けていただけるよう、音楽を流しリラックスできる雰囲気づくりをしています。

中央採血室は日本臨床検査標準協議会(JCCLS)標準採血法ガイドラインGP4-A3に沿って運営されています。

一般検査室

一般検査は、尿、便、穿刺液などを対象に検査を行います。
これらの検体を使用して、腎臓や各臓器の異常などを調べることができます。

◆主に行っている検査

1.尿検査
尿の色調や混濁を観察したり、pHや比重、尿中の蛋白や糖・血液などの成分の有無を調べる『尿定性検査』と、尿中に含まれる血球や細胞などの有形成分を調べる『尿沈渣検査』の2種類に大きく分けられます。
腎臓の疾患や尿路系疾患、糖尿病などのスクリーニングや診断に役立てられています。

2.便潜血検査

便に血液が含まれるかどうかを調べる検査です。消化管からの出血があると便に血液が混じります。大腸がんのスクリーニングなどに役立てられています。

全自動尿分析装置・全自動尿中有形成分分析装置

◆新型機器導入のお知らせ

平成30年11月に、全自動尿中有形成分分析装置「UF-5000」を導入し、24時間いつでも尿沈渣検査が可能となりました。

◆チーム医療活動への参加

  • 栄養サポートチーム(NST)
    血液検査の結果から栄養状態の評価を行い、低栄養の患者さんのデータ提供を行っています。
  • 糖尿病療養指導チーム(DECT)
    実際に患者さんの検査データを見ながら、検査値についての説明を行っています。

細菌検査室

細菌検査室では、患者さんから採取された材料(尿・痰・便など)から、病気の原因となっている細菌を特定し、その細菌に効果のある抗菌薬を調べています。
また、院内感染に関わる仕事として、多職種から構成されるチームに入り、抗菌薬の効かない細菌(薬剤耐性菌)が検出された際の報告やデータ集計などを行うことで、院内感染から患者さんを守っています。

1.塗抹鏡検検査

◆細菌検査の流れ

1.塗抹鏡検検査

スライドガラスに検査材料を塗り、染色して顕微鏡で観察します。

2.分離培養検査

2.分離培養検査

検査材料や目的とする細菌によって、発育しやすい培地を選び、35℃前後で18~24時間培養します。
3.同定・薬剤感受性検査

3.同定・薬剤感受性検査

病気の原因と思われる細菌が発育してきた場合、細菌の特定(同定検査)と抗菌薬の効果を調べる検査(薬剤感受性検査)を行います。

結果が出るまで約2~4日かかります。
◆迅速検査

新型コロナウイルスや、インフルエンザウイルス、RSウイルス、咽頭アデノウイルスなど、15分前後で結果が出る検査キットも積極的に使用しています。

◆抗酸菌検査

結核菌や非結核性抗酸菌の検査として、塗抹鏡検検査や分離培養検査に加え遺伝子検査を行っています。

◆チーム医療活動への参加

  1. 感染制御チーム(ICT)
    患者さんを感染症から守るため、院内感染の防止対策に力を入れているチームであり、薬剤耐性菌やウイルスなどが検出された際に、情報共有を行っています。
  2. 抗菌薬適正使用支援チーム(AST)
    抗菌薬を適切に使用しているかを観察しているチームであり、抗菌薬治療が必要な患者さんのデータを提供しています。

生理検査室

生理検査は、患者さんと向き合って検査を行う部門です。
患者さんが安心して検査を受けることができるよう努めています。

心電計


1.心電図検査 (検査時間:5~10分)
心臓から発生する微小な電気を心電計を通して波形として記録します。
不整脈や狭心症、心筋梗塞などの診断に有効な検査です。
検査説明の動画(外部リンク)

2.運動負荷心電図検査 (検査時間:40分)
運動をしながら心臓に負荷を与え、心電図の変化を観察する検査です。
検査説明の動画(外部リンク)

3.ホルター心電図検査 (機器装着・説明:15分、検査時間:24時間)
日常生活をしながら24時間連続して心電図を記録する検査です。
不整脈や狭心症などの検出、診断に有効です。
検査説明の動画(外部リンク) 

4.24時間血圧測定検査 (装着時間:15分、検査時間:24時間)
血圧は日常生活では極めて大きな変動がみられます。生活の中での血圧変化を24時間にわたり測定し、日内変動を調べる検査です。
検査説明の動画(外部リンク) 

5.血圧脈波検査 (検査時間:15分)
両手両足に血圧計を巻き、動脈硬化を評価することのできる検査の1つです。
検査説明の動画(外部リンク) 

6.呼吸機能検査 (検査時間:15~60分)
息を吸ったり吐いたりして、肺から出入りする空気の量や速度、肺内のガス濃度を測定し、肺の機能を調べる検査です。
検査説明の動画(外部リンク) 

7.脳波検査 (検査時間:1時間)
頭皮に電極を着け、脳から発生する非常に小さな電気を脳波計を通して波形として記録する検査です。
検査説明の動画(外部リンク)

超音波検査装置

8.誘発電位検査(聴性脳幹反応) (検査時間:30~60分)
ヘッドホンで音を聞いていただき、その音に対する脳からの反応をみる検査です。
検査説明の動画(外部リンク) 

9.聴力検査 (検査時間:30分)
音の大きさと高低を組み合わせ、聞き分けられる度合いを調べる検査です。
検査説明の動画(外部リンク) 

10.神経伝導検査 (検査時間:1時間)
末梢神経線維(運動神経、感覚神経)を刺激し、得られる電位を波形として記録する検査です。

11.睡眠時無呼吸検査 (検査時間:夜間就寝時間帯)
指や鼻にセンサーをつけ、いびきや呼吸の状態、酸素飽和度(SpO2)から睡眠時無呼吸検査の可能性を調べる検査です。
検査装置をご自宅にお持ち帰りいただき、就寝時にご自身で検査装置を装着していただきます。
検査説明の動画(簡易型)(外部リンク) 

12.超音波検査 (検査時間:20~30分)
体の内部の状態を安全な超音波を用いて映像化し観察する検査です。
副作用のない検査です。
検査説明の動画(外部リンク) 

腹部超音波検査画像

<対象となる検査の種類>

●腹部エコー :肝臓、胆嚢、腎臓、膵臓、脾臓、下腹部領域

●心エコー   :心臓

●体表エコー :乳腺、甲状腺、頚部、体表面

●血管エコー :頸動脈、下肢動脈、下肢静脈

  • 腹部エコーは、食事制限が必要です!! ただし、検査までの間にお水は飲んでいただいても構いません。
  • 午前中の検査の方は、朝食はとらず、夕食は午後9時頃までに済ませてください。
  • 午後の検査の方は、朝食は7時までに軽くおとりいただき、その後は禁食してください。
  • 下腹部領域(膀胱・前立腺・子宮・卵巣など)は尿を溜めた状態で検査します。

病理診断科

病理検査室

病理診断科は生検組織診断、手術により摘出された臓器の組織診断、術中迅速診断、細胞診断、病理解剖(剖検)を主な業務としています。

医療の質の向上にむけ、正確で迅速な病理診断を行い、患者さんおよび臨床医の必要とする情報の伝達に日々心がけています。また定期的に種々のカンファレンスを行うことで診断・技量の向上に努めています。

◆診療体制
常勤の病理専門医(細胞診指導医)1名、非常勤病理専門医4名、臨床検査技師(細胞検査士)4名で業務を行っています。(R6.4.1時点)
常勤の病理専門医、細胞診指導医がいることにより質の高い医療を提供することができます。
受付から診断書作成までに画像ファイリング情報管理システムを導入し、診断情報管理の一元化と業務効率の向上を図っています。

生検組織診断

◆業務内容

1.組織診断

●生検組織診断
胃・大腸などの消化管や気管支、肺の内視鏡検査で採取された病変の一部や皮膚などにできた病変や胆肝膵などから採取された組織を用いて病理組織標本を作製します。病変が炎症性のものか腫瘍性(良性・悪性)のものかなどを病理専門医が診断します。
また化学療法や放射線療法の効果判定も診断します。

●手術により摘出された臓器の組織診断
手術で摘出された臓器・組織を切出し、病理組織標本を作製します。臨床診断の確定や病変の広がり具合、転移の有無等による病期判定を病理専門医が診断します。患者さんの治療方針の決定に重要な役割を担っています。

●術中迅速診断
手術中に採取された病変を急速凍結させ、病理組織標本を作製します。病変が全部取りきれているか確認のため切除断端や、癌の場合には転移を疑う部
位(リンパ節など)を調べ、手術で切除する範囲を決定します。
病変部分の提出から執刀医へ診断結果報告までに要する時間は15~20分ほどです。

★定期的に臨床医を交えた外科病理カンファレンスや消化器内視鏡カンファレンスを開き、画像所見や臨床診断との整合性を確認しています。

細胞診断

2.細胞診断
細胞診検査は子宮頸部などの直接、体の一部を擦って細胞を採取するものや喀痰や尿中に剥離した細胞を集めるもの、乳房や甲状腺などにできた「しこり」に直接注射針を刺して吸引したもの等があります。
採取された細胞をスライドガラスに塗って染色を行い、細胞診標本を作製します。細胞検査士が正常細胞や炎症、感染の影響を受けた細胞などの良性細胞や癌細胞のような悪性細胞を見つけ出し、細胞診指導医が最終判定をします。
全ての細胞診標本は細胞検査士と細胞診指導医のダブルチェック方式で診断を行っています。

3.病理解剖(剖検)
治療の甲斐なく、不幸にしてお亡くなりになられた患者さんのご遺体をご遺族の承諾を得て解剖を行わせていただくことが病理解剖(剖検)です。
直接的な死因の推定や合併症の有無・程度、臨床診断との整合性、治療の効果など病態の検索を行います。
病理解剖の結果は病理専門医から主治医へ報告され、主治医がご遺族にご説明します。
病理解剖の結果が蓄積されることにより、医学の進歩への貢献が期待されます。

◆実績

年度2019年度
[令和元年]
2020年度
[令和2年]
2021年度
[令和3年]
2022年
[令和4年]
2023年
[令和5年]
組織診断
(うち術中迅速診断)
4,860件
(100件)
3,455件
(72件)
3,505件
(50件)
3,962件
(68件)
4,009件
(90件)
細胞診断3,001件2,296件2,208件2,549件2,768件
剖検数27件17件12件7件14件

臨床工学技士業務

透析室

臨床工学技士7名で、透析室での血液浄化業務とMEセンターでの医療機器管理業務、手術室業務、カテーテル室業務を行っています。

透析室(5床+個室1床)では、血液浄化業務(月・水・金 2クール、火・木・土 1クール)、ICUでアフェレーシスなど緊急血液浄化の対応を行っております。平成24年にRST(呼吸療法ケアチーム)を立ち上げ、週1回の院内ラウンドを実施しています。
MEセンター業務では毎日の病棟ラウンドを実施し、生命維持管理装置の保守・点検・管理や医療機器安全使用研修等、当院の医療安全推進に貢献しています。
手術支援ロボット ダビンチ

令和4年5月からロボット手術支援装置(ダビンチ)導入に伴い、手術室業務に参加しています。
令和6年1月からは、カテーテル室業務にも参加しています。

検査科

検査科では、チーム医療の一員として、迅速かつ正確な検査結果の報告により患者さんの治療のお役に立てるよう、検査業務を行っています。また、患者さんに安心して検査を受けていただけるよう、患者サービスの向上に努めています。各種チーム医療への参加による院内への検査情報の発信などを行い、質の高い医療を提供できるよう努めています。