がん医療
地域がん診療連携拠点病院の指定
当院は、平成29年4月1日付で、厚生労働大臣より「地域がん診療連携拠点病院」に指定されております。この制度は、質の高いがん医療を全国で等しく実施できるようにするため設けられました。各二次医療圏で、我が国に多いがん我が国に多いがん(大腸がん、肺がん、胃がん、乳がん、前立腺がん及び肝・胆・膵のがん)や各医療機関が専門とするがんについて、診療の推進、地域の医療機関の連携を強化する拠点の役割を担います。
「地域がん診療連携拠点病院」の役割として、次のようなものが挙げられます。
- 集学的治療(薬物療法、放射線療法、手術療法、免疫療法)及び標準的治療を実施する体制を確保する。
- 医師、精神科医、看護師、薬剤師、栄養管理士などを含めた緩和医療を提供するチーム体制を確保する。
- 地域連携クリニカルパスの整備を含めた、地域医療機関への診療支援や病病連携・病診連携の体制を確保する。
- がん相談支援センターの設置及びがん医療に関する情報提供を行う。
- セカンドオピニオン外来を設置する。
当院では、5大がんをはじめとして臓器別に専門分野を定め、薬物療法・放射線療法・手術療法を組み合わせた集学的治療や標準的治療を様々なカンファレンスを行いながら提供するほか、がんに伴う患者さんの心と体の苦痛を和らげるため、医師、がん関連の専門・認定看護師、緩和薬物療法認定薬剤師、がん病態栄養専門管理栄養士、医療ソーシャルワーカー、がん相談支援センタースタッフらの多職種による緩和ケアチームが、質の高いケアをサポートしています。
また、情報提供体制として、がんに関するセカンドオピニオンやがん相談支援センターの開設、地域の医療従事者を対象とした緩和ケア研修の開催を通じて、がん診療を充実させています。
当院が取組むがん診療については、国立がん研究センターのホームページにも分かりやすく掲載されておりますので、ぜひご参照ください。*詳しくはこちら国立がん研究センター(がん情報サービス)(外部リンク)
- 薬物療法
がん治療に用いる薬剤は、殺細胞性の抗がん剤、分子標的薬、免疫チェックポイント阻害薬などがあり、これらの薬剤を単独もしくは組み合わせて治療を行います。外来での治療を円滑にするため、がん治療を専門とする薬剤師や看護師が常駐している通院治療センター(外来治療室)を設置し、対応しています。
*詳しくはこちら通院治療センター
- 放射線療法
放射線療法は、機能と形態の温存が可能で、身体的負担が少ない治療であり、高齢化の進む今後は、さらに重要な位置づけになると考えられています。当院は、エネルギー放射線発生装置(リニアック)が設置され、強度変調放射線治療(IMRT)、体幹部定位放射線治療も行っています。
*詳しくはこちら診療放射線科(治療部門) - 手術療法
手術療法は、がんを周囲の正常部分を含めて切除するとともに、転移を起こす可能性のあるリンパ節を切除する治療法です。体への負担をできるだけ小さくするため、胸腔鏡・腹腔鏡手術が積極的に取り入れられています。
当院では手術支援ロボット(ダビンチ Xi)も導入しており、より良い治療法を選択し治療にあたっています。
*詳しくはこちら 手術支援ロボット「da Vinci(ダビンチ)」について「キャンサーボード」とは、主治医のほか、がんの薬物療法、放射線療法、手術療法に携わる医師や、その他の多職種によるがん患者の症状や治療方針等を検討・意見交換を行う検討会(カンファレンス)のことです。多職種の専門家が一同に集まり患者さんの治療方針を検討することにより、患者さんの状態に即した最適な治療を決定することが可能となります。
当院では、個々の患者さんの状態に応じて、日常的な診療科内のカンファレンス、多職種の合同カンファレンス、臨床倫理について検討する多職種の合同カンファレンスを実施しています。緩和ケアについて
医師を中心としたさまざまな専門職からなるチームでコンサルテーション診療にあたっています。がん関連の専門・認定看護師、緩和薬物療法認定薬剤師、がん病態栄養専門管理栄養士、医療ソーシャルワーカーなど、必要に応じて様々な職種が緩和ケアチームとなって患者さんのクオリティ・オブ・ライフ(QOL:生活の質)向上に努めます。
<意思決定支援(アドバンス・ケア・プランニング)>
患者さん自らが大切にしていることや、希望する人生の最終段階における医療・ケアについて、前もって考え、家族等の信頼できる人や医療・ケアチーム等と繰り返し話し合い、共有する支援を行っています。
すべてのがん患者さんが大切にしたいことはそれぞれ異なります。患者さん本人が希望する生活を実現していくためには、日頃から今後のことについて家族や医療者と話し合っておくことが大切であるといわれています。日々の生活の中で家族と話しながら、体のことや治療法についてわからないことは担当の医師に相談してください。緩和ケア外来も実施しております。*東京都内における緩和ケア病棟を有する医療機関一覧(外部リンク)
東京都内における緩和ケア病棟を有する医療機関一覧 東京都保健医療局(tokyo.lg.jp)(外部リンク)*東京都がんポータルサイト(外部リンク)
東京都がんポータルサイト 東京都保健医療局(tokyo.lg.jp)(外部リンク)当院では、患者さんが自らの病状や治療に十分納得し、最良の治療法を主体的に選択するために、5大がん((5)大腸がん、肺がん、胃がん、乳がん、肝臓がん)を中心としたがんの診断・治療について、主治医以外の医師の意見を聞くセカンドオピニオンを実施しています。
受診方法をご確認の上、ご予約ください。*詳しくはこちらセカンドオピニオン外来について
がんゲノム医療について
がんゲノム医療は、遺伝子情報に基づくがんの個別化治療の1つです。
がんゲノム医療では、主にがんの組織を使って多数の遺伝子を同時に調べる「がん遺伝子パネル検査(がんゲノムプロファイリング検査)」によって、一人一人の遺伝子の変化や生まれ持った遺伝子の違い(遺伝子変異)を解析し、治療に結びつく場合があります。令和5年4月1日で当院はがんゲノム医療連携病院に指定されました。
*詳しくはこちら
がんゲノム医療中核拠点病院・拠点病院・連携病院について(外部リンク)今後はがんゲノム医療拠点病院と連携し、がんゲノム医療を行っていきます。
「がん遺伝子パネル検査(がんゲノムプロファイリング検査)」を検討される方は、対象となるがんの診療科へご相談ください。各診療科で検査の適応等を判断したうえで、がんゲノムプロファイリング検査を希望される場合は、主治医が遺伝子診療科 がんゲノム外来を予約いたします。
検査を受けたい方や検査適応があるのかお悩みの方は、まず主治医もしくはがん相談支援センターにご相談ください。
*詳しくはこちらがん相談支援センターについて
がんゲノム外来について
がんゲノム外来では、がんゲノム医療に詳しい遺伝子診療科医師とがんゲノム医療コーディネーター(看護師)が、がん遺伝子パネル検査についてわかりやすくお話いたします。
【対象となる患者さま】
・標準治療がないがんの方
・現在がんの治療を行っているが標準治療の効果が乏しい方(終了が見込まれる方も含む)
・本検査施行後の化学療法の適応となる可能性が高い方
*検査可能かどうかは、当院の主治医と遺伝子診療科医師が最終的に判断いたします。【がん遺伝パネル検査の種類】
*がん遺伝子パネル検査では、その一人ひとりのがん細胞に起こっている遺伝子の変化を調べます。
*当院では、以下のがん遺伝子パネル検査を行っています。
・FoundationOne® CDx検査 がんゲノムプロファイル
・OncoGuide™NCCオンコパネルシステム
・FoundationOne® リキッド CDx検査 がんゲノムプロファイル
・Guardant 360® CDx がん遺伝子パネル
・GenMineTOP® がんゲノムプロファイリングシステム参考資料・ホームページ
AYA世代とは、Adolescent and Young Adult(思春期・若年成人)の頭文字をとったもので、主に15歳~39歳までの世代を指しています。
墨東病院でのAYA世代がん治療実績は、下記のとおりです。
必要に応じて適切な医療機関にご紹介する場合もあります。
がん相談支援センターでは、相談支援を行っており、医療情報室(診療棟2階)では、AYA世代関連のパンフレットやがん関連の書籍など扱っておりますので、ご利用ください。<妊孕性(にんようせい)温存>
妊孕性とは、妊娠するために必要な能力のことです。手術をはじめ、抗がん剤や放射線治療などの“がん治療”によって妊孕性がダメージを受けることが知られています。
がん治療を行う前に、妊孕性温存について主治医や看護師、がん相談支援センターにご相談ください。適切な医療機関をご紹介いたします。*(6)東京都がんポータルサイト(外部リンク)
15~39歳の患者さんへ 東京都保健医療局(外部リンク)
*国立がん研究センターがん情報サービス(外部リンク)
AYA世代の人へ:[国立がん研究センター がん情報サービス 一般の方へ](外部リンク)希少がんについて
希少がんとは、数が少ないが故に診療・受療上、不利な状況にあると考えられるがん種であり、年間罹患率(発生率)が、人口10万人当たり6例未満のがんのことです。
当院で治療を提供できない場合、適切な医療機関をご紹介いたします。小児がんについて
小児がんは、小児期、すなわち15歳以下の子どもに発生する悪性腫瘍と定義されます。
国際小児がん分類によると、主分類で12種類、小分類で47種類に分類される雑多ながん種で、約3分の1が白血病、残りが固形がんといわれる 固まりを形成する「がん」です。
当院で治療を提供できない場合、適切な医療機関をご紹介いたします。地域の医療機関との連携体制について
当院では、安全で質の高い医療を継続的に提供するため、東京都医療連携手帳(がん地域連携クリティカルパス)」を利用して、地域の医療機関との連携を図っています。がん患者さんが、当院で手術など専門的な治療を行った後に、地域の医療機関を受診する際、この手帳を持参することにより、当院の医師とかかりつけ医等が患者さんの治療経過、今後の診療予定などの情報を共有することができるようになり、より適切な診療が可能となります。
*詳しくはこちら
東京都医療連携手帳(がん地域連携クリティカルパス)について*東京都保健医療局のHPへ
東京都医療連携手帳(がん地域連携クリティカルパス)(外部リンク)
当院では患者・地域支援センター内にがん相談支援センターを設置しています。
ここでは診断や治療の状況にかかわらず、どんなタイミングでもがんに関するさまざまなことを相談することができます。
がんの疑いがあると言われたとき、診断から治療、その後の療養生活、さらには仕事との両立と、生活全般にわたって疑問や不安を感じたとき、一人で悩まず、お気軽に「がん相談支援センター」にご相談ください。*詳しくはこちらがん相談支援センターについて
診療棟2階に「医療情報室(がん情報センター)」を設置し、患者さんやご家族等にご利用いただいております。
がんに関するパンフレットの提供のほか、入院患者に対する書籍の貸し出し、医療用ウィッグ、補整用品やや人工乳房の試着相談イベントも随時実施しております。*詳しくはこちら医療情報室について
2024年12月10日 最終更新