採血の素朴な疑問にお答えします
Q.採血後なぜ押さえるの?
A.血液は、止まるまでに時間がかかるからです。
血液が止まっていない状態で重いものを持ったり押さえなかったりすると、血液が漏れだして服を汚したり、内出血をおこして腕が青くなったりします。
採血が終了してから反対の親指で強く5分間以上圧迫して、しっかり血液を止めてください。このとき、決して揉まないようにしてください。血液がにじみ出て、青くなります。
Q.採血後テープはどのくらいつけておくの?
A.通常は5分くらいです。
血液はすぐには止まりません。上記のように5分間しっかり押さえて下さい。ワーファリン等のお薬を服用し、血液が止まりにくい方は、もう少し長く押さえて下さい。テープは血液が止まったら外してもかまいません。
ご心配な方は30分くらい付けておくと良いでしょう。
テープにかぶれやすい方は、採血時に申し出てください。
Q. どの採血管で何の検査ができるの?
A.以下のような検査ができます。
■生化学
体内で作られる酵素やホルモンなどを調べることで、肝臓や腎臓の状態を知ることができます。感染症の検査もできます。
■血算
血液中の赤血球や白血球などの細胞数や種類を調べて病気を探します。 貧血の状態もわかります。
■凝固
血液の固まりやすさを検査します。また、血液の流れを良くするお薬の効果もわかります。
■血沈
血液中の赤血球が沈む速度を調べて、炎症の有無を判断します。
■血糖
血液中のブドウ糖の濃度や、ヘモグロビンA1c(1~2ヶ月前の血糖の状態がわかる)を調べる時に用います。
Q. 採血量は全部でどのくらい? こんなに採血して血が無くならないの?
A.採血量は、お料理に使う大さじで1杯と少しぐらいです。
人間の血液量は,体重の13分の1から12 分の1です。
体重60 kgの場合は、約4600から5000mlの血液が体内を流れています。
小さな採血管1本が2mlで、本数の多い場合でも約20mlの採血量です。
200ml献血と比べても10分の1くらいの採血量です。また血液は毎日新しく作られています。
検査科では、出来るだけ少ない量で必要な検査が行えるよう努力していますので、ご理解ください。
Q. 出血はどのようにして止まるの?
A.出血が止まる仕組みを 簡単に説明しましょう。
1. 血液に存在する血小板が、血管の傷部分に付着して、傷をふさぎます。
2. 血小板が集まり、傷にフタ(栓)をします。これを「血栓」といいます。血小板が集まっただけの血栓は、もろくて崩れやすいので、フィブリンというタンパク質が “のり” のような役目をして血栓を固めます。
3. しっかりした血栓ができると、血管の傷を完全にふさぎ,出血が止まります。
Q.採血している人は誰?
A.臨床検査技師と看護師が担当しています。 臨床検査技師は、当番制で採血を担当します。
普段は、それぞれの検査室(検体検査、輸血検査、細菌検査、一般検査、生理検査、病理検査)で仕事をしています。
■検体検査・・・生化学、感染症、血算、凝固などの血液分析
■輸血検査・・・血液型、輸血関連検査など
■細菌検査・・・細菌培養など
■一般検査・・・尿検査、寄生虫検査、便潜血検査など
■生理検査・・・心電図、脳波、超音波検査、呼吸機能検査など
■病理検査・・・臓器・体液中の細胞変化などを検査
Q.採血管の大きさが違うのは なぜ? 中の白い粉は何?
A.検査の目的によって採血管が異なり、血液の必要量が違います。
また、検査の一部には、血液が身体の中を流れている状態に保つことが必要な場合があります。その時に用いるのが、白い粉や透明の液体が入った採血管です。中の白い粉や液体は、検査目的によって種類は異なりますが、血液が固まるのを防ぐための薬剤です。
Q.食事をしてきたけど 大丈夫 ?
A.食事により増加する主な成分は血糖、中性脂肪、インスリンです。
中性脂肪は14時間以上、血糖は約2時間でほぼ空腹時と同じ状態に戻ります。
診察時に、朝起きてから口にしたものをメモ書きして伝えることで、医師は検査値への影響を知ることができます。
Q. 昨日お酒を飲んだけど 検査に影響する?
A.影響する検査項目があります。
飲酒で上昇する検査項目には、尿酸、尿素窒素、中性脂肪、γ-GTP(ガンマージーティーピー)などがあります。特に、中性脂肪、γ-GTPは飲酒習慣で上昇しやすいと言われています。
検査前日でなくても、健康上、お酒の飲み過ぎには注意しましょう。
Q.私の血液の色、黒くないですか ?
A.採血した血液の色だけでは、健康状態はわかりません。
血液の色と関係するのは、ヘモグロビン(血色素)と呼ばれるものです。
ヘモグロビンは酸素と結合して、体の各臓器や細胞に酸素を運ぶ役割があります。
通常、採血しているのは静脈血で、各臓器や細胞に酸素を届けた後の血液です。そのため黒っぽく見えます。(動脈血は、赤っぽく見えます。)
Q.採血した日はお風呂に 入っていいの?
A.お風呂に入っても大丈夫です。
出血がしっかり止まっていれば、入浴してもまったく問題はありません。
ただし、採血をしたことで、皮膚と血管は傷ついた状態になります。
入浴時には、採血部位をやさしく洗いましょう。
また、患者さん自身の具合によっては、医師からお風呂に入らないよう言われることがあります。
その場合は、医師の指示に従って下さい。
(注)参考文献
- 根拠がわかる臨床検査 (南江堂 :著者:奈良 信雄)
- 医学領域における臨床検査学入門 (フジタ ヘルス ユニバーシティ出版会)
- 臨床検査知識の整理 臨床化学(医師薬出版)
2023年1月10日 最終更新