高齢者の胆膵疾患が増えています
先日、医療連携会にて胆膵疾患の内視鏡検査についてお話させていただく機会がありました。総胆管結石や胆道・膵臓の悪性腫瘍は年々増加傾向にあります。しかも、高齢者、超高齢者の増加率が非常に大きく、当院で行われた胆膵の精密検査(内視鏡的逆行性胆管膵管造影検査:ERCP)の統計(2017年4月~2023年7月)でも、75歳以上の割合は67.5%と高率でした。黄疸や上腹部痛、背部痛といった典型的な症状以外に、長引く食欲不振、吐気などで見つかる方もおられます。気になる症状がありましたら、是非とも診察をお受けください。
閉塞性黄疸(胆汁の流れが悪くなる)には、内視鏡検査が非常に有用となります。内視鏡と言えば、胃や大腸をイメージされる方が多いかと思いますが、胆膵領域における内視鏡検査も現在は広く行われています。診断のみならず、胆汁の出てくる出口を少し切開して総胆管結石を採石したり、胆汁を排出するチューブ(ステント、経鼻的ドレナージ)を挿入し、黄疸を改善する治療法などがあります。
高齢者では症状が出にくいため、急速に全身状態が悪化する場合もあります。この場合、 適切な治療を行わなければ重篤な状況に進展する可能性もありますので、迅速な検査・治療を行うことが大切となります。
当院内視鏡センターでは、膵胆道系の内視鏡検査も積極的に取り組んでおります。高齢者でも注意深く行うことで安全に検査できておりますので、ご相談ください。