ごあいさつ
東京総合診療推進プロジェクト(T-GAP)責任者
広尾病院 病院総合診療科 小坂鎮太郎
東京は人口約1,400万人の大都市で、小児が約160万人 (9人に1人)、65歳以上の高齢者が約310万人 (5人に1人)、外国人が約60万人 (25人に1人)という内訳になっており、人口が減少している日本でも依然として人が集中し、海外の方も増え、今後はさらなる高齢化が進むことが想定されています。
また、東京都には伊豆諸島や小笠原諸島といった大小あわせて11の離島(有人)からなる島しょ地域や、奥多摩などの山間部といった多様な地域があります。
総合診療は、人を診るとともに、地域を診る専門医であり、地域住民の健康維持、もしくは増進するための医療を提供するプライマリ・ケアを担う役割を果たします。
いま、東京の総合診療には、小児から高齢者まで包括的にケアでき、かつ都心部からへき地まで広く活躍できる総合診療医の教育が必要であり、これは将来的には、世界のどこでも通用する人材の育成事業になると考えています。
東京都立病院機構は、東京都という地域が抱える医療のさまざまな問題を解決することができる総合診療医を育成するため、2023年から東京都の支援を受けて『東京総合診療推進プロジェクト(T-GAP)』を立ち上げました。このプロジェクトでは、従来の総合診療専門医の育成にとどまらず、地域のさまざまな医師・医学生に加えて、看護師や薬剤師などの多職種についても、総合診療を一緒に実践していく仲間としてチーム医療を推進していくとともに、患者さんと協働し行政などと連携しながら地域のニーズにも応える医療従事者を育成していきます。
その中で、ミッションのひとつである『東京都全体で総合診療医を育成』については、おかげさまで多くの研修施設にご賛同いただき、『TOKYO Generalist Alliance』を結成しました。施設の垣根を超えて教育・研究・臨床などの連携を深めることで、東京をより一層、魅力ある研修の地にしていくことができ、その先に、東京の医療を支え、人々の生活をより豊かにしていくことができると大きく期待しています。
ここ東京で、世界に通用する総合診療医を目指す研修を、ぜひ一緒に楽しみましょう。