私たち、駒込病院のアピアランスケアセンターです
がん治療の進歩により、治療成績は向上していますが、治療に伴う外見(アピアランス)の変化は、患者の苦痛の上位にあるにもかかわらず、長い間、命と引き換えにやむを得ないものと考えられてきました。がん患者の実に8割が、治療による外見の変化を苦痛に感じていることがわかっています。アピアランスケアとは、「医学的・整容的・心理社会的支援を用いて、外見の変化に起因するがん患者の苦痛を軽減するケア」と広く表現されています。都道府県がん診療連携拠点病院として、高度で専門的ながん医療を提供している駒込病院ならではの、患者さんへの総合的な支援の一環として、質の高いアピアランスケアを提供できるように、この度アピアランスケアセンターを立ち上げました。
患者さんが困っている外見の変化のケアを、医師、看護師、病院内美容室のスタッフが、それぞれの専門性を活かして、悩みの解決につながるように、治療、ケア、情報共有といった面においてお手伝いいたします。
目次
- 1. アピアランスケアセンターの目的
- 2. 駒込病院のアピアランスセンターの特徴と役割
- 3. アピアランスケアセンターで相談できる具体的な内容と流れ
- 4. アピアランスケアセンターの組織と診療体制
1. アピアランスケアセンターの目的
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以前は 『がんの治療のためだから、見た目の変化は仕方がない』、『我慢しないといけない』 という声も、多く聞かれたと思います。しかし、がんの治療法も進歩し、外科治療では患者さんに負担の少ない開腹以外の手術(腹腔鏡、胸腔鏡やロボット支援下手術)が広まり、薬物治療では新しい薬剤が導入され、放射線治療など、長期間にわたる治療ですが、患者さんの負担の少ない治療法もどんどん増えてきました。
そうした中で、抗がん剤治療は予防投薬により副作用が管理できるようになりました。そのため外来通院で出来る治療も増え、社会生活を送りながらの治療が可能な時代となりつつあります。
しかし外見の変化に対しては、まだまだできることが多くあります。外見の変化は、患者さんにとって身体的、心理的、社会的な悩みや問題となり、自分自身への認識の変化や、他者との交流の回避など、さまざまな面で社会生活が送りにくくなる方がいらっしゃいます。アピアランスケアにより、治療前と変わらない 「自分らしさ」 を維持し、「社会生活の中での自分らしい過ごし方」 ができるよう、がんとともに生きるあなたをサポートすることが、私たちの目的です。
2. 駒込病院のアピアランスセンターの特徴と役割
2-1. 専門の医療機関でのアピアランスケアの特徴
医療機関で提供するアピアランスケアの最大の利点は、正しい病気の情報共有のもとケアができることです。治療のプロセスに沿った、治療の継続に影響しない、適した時期に適したアピアランスケアが提供できることが、医療機関でのアピアランスケアの特徴の1つです。病気や治療内容の共有により、現在生じている外見の変化だけでなく、この先、生じる外見の予測や、これから始める治療で生じうる外見の変化に対する予防や対策ができることは、強みです。
2-2. 駒込病院のアピアランスケアセンターの特徴
高い専門性を持つ各分野のスタッフが、豊富な経験を活かし、患者さん目線の全般的な悩みを解決する支援体制が整っていることです。アピアランスケアに特化した外来があり専門の医師が診療すること(アピアランスケア外来、形成再建外科外来、皮膚腫瘍科外来)、認定看護師による専門性の高い看護外来でケアや相談ができること、さらに医療ではない分野として、脱毛に関する患者さまのお悩みを病院内でケアできる利便施設 “ 美容室 こもれび ” の協力があります。患者さんにとって必要なアピアランスケアは、治療のみにとどまらず、ケアや相談も含め対応が可能です。こうした対応が可能であるのも、アピアランスケアに注力してきた歴史がある当院の特徴と言えます。
より多くの患者さんへ、アピアランスケアを提供できるように、駒込病院へ通院したことのない、患者さんのご相談にも応じています。
2-3. 各症状と相談窓口の一覧
それぞれの症状における相談窓口は以下のとおりです。しかし、実際は1つの症状に対し、複数の窓口が必要なことや、ご相談後にご希望のケアの窓口を改めてご案内することもあります。どの窓口においても、ご相談後に適切なケアをご案内することができますので、お気軽にご相談ください。
2-4. 看護外来での対応
患者さんとご家族の相談に専門看護師及び認定看護師が対応する看護外来を設けています。
アピアランスケアセンターにおいては、各アピアランスケアの情報提供のほか、心のケアが可能です。
週や曜日により専門が変わりますが、まずはご相談ください。
リンク:駒込病院看護外来
2-5. 東京都でがん診療中心的役割を果たす指定病院としてのアピアランスケア相談
東京都で2つしかない都道府県がん診療連携拠点病院(※)という役割から、専門性の高い知識や医療の提供が可能であり、他医療機関へのアドバイスや、当院以外の患者さんの情報提供や相談も可能となっています。
※都道府県内で中心的役割を果たすよう厚生労働大臣が指定した病院のこと。原則として各都道府県に1カ所置かれています(東京都は2ヶ所)。専門的ながん医療を提供するとともに、都道府県内のがん診療の連携協力体制の整備やがんに関する相談支援情報の提供を担っています。
3.アピアランスケアセンターで相談できる具体的な内容と流れ
どのような悩みをアピアランスケアセンターで受けられ、どのような対応部門があるのでしょうか。ここでは具体的な例と、相談先の窓口をご紹介します。
3-1. ご相談いただく内容
具体的にご相談いただける内容をまとめました。こちらには、よくいただくご相談内容を記載しています。これ以外にも、お一人お一人に沿ったご相談に対応しています。
3-2. ご相談の担当部門
アピアランスケアを受ける際の流れは、まずはご相談したい症状を伺います。次に、対応部門を決めるために、医師または認定看護師の診察を希望されるか、ピンクリボンアドバイザー認定資格を所有する ”美容室 こもれび” スタッフによる相談を希望されるかを伺います。受診を希望される際には、診察券が必要となります。サロンでの相談に診察券は不要です。その後、適切な窓口をご案内いたします。
4. アピアランスケアセンターの組織と診療体制
駒込病院の「アピアランスケア」はこれまでの取り組みをもとに、(医師、看護師、美容室スタッフ)で構成・運営され、複数の観点から患者さんが困られていることを包括的にサポートできるような体制にしています。
4-1 組織図
4-2. 組織メンバー構成(2023年11月27日時)
センター長 寺尾保信(形成再建外科部長)
副センター長 西澤綾(皮膚腫瘍科 医長)
冨田祥一(形成再建外科 医長)
堀口和美(駒込病院 連携医)
皮膚腫瘍科医師
形成再建外科医師
松尾有花 (看護部 患者・地域サポートセンター部門副看護部長)
福田誠子(看護部 看護外来部門副看護部長)
郡由起子(患者・地域サポートセンター 看護師長・がん性疼痛看護認定看護師)
泉佳代子(看護外来 副看護師長・がん化学療法認定看護師)
協力:美容室 こもれび 駒込病院店
5.アピアランスケアセンターの相談窓口・お問い合わせ先
◆予約センター 03-3823-4890、平日9:00-17:00、土曜9:00-12:00
◆患者・地域サポートセンター(1階0番)、平日9:00-17:00