【難治性がん性疼痛に対するインターベンショナル(神経ブロック)治療について】
駒込病院ペインクリニックでは、緩和ケア科医師や各主科医師との協力関係のもと、
がんの痛みを抱える患者さんに対するインターベンショナル治療(神経ブロック治療)を行っています。
1.インターベンショナル治療(神経ブロック治療)とは
2.治療の適応と禁忌
3.当院で行うインターベンショナル治療の種類と対象となる疾患
4.治療の流れ
5.当科への受診方法
1.インターベンショナル治療(神経ブロック治療)とは
現在、がんによる痛みの治療はお薬の内服や注射が主流です。
しかし、それだけでは十分に痛みが取れない場合や、吐き気や眠気などの副作用のためにお薬の
使用が困難になる場合があり、その頻度はがんの痛みを抱える患者さんの10~30%と報告されています。
インターベンショナル治療は痛みを生じさせている神経の近くに局所麻酔薬や神経破壊薬を
作用させ、痛みの脳への伝達をブロックする治療全般のことをいいます。
この治療を併用することでより良い鎮痛や副作用の低減が得られ、患者さんが痛みだけに
思考が支配されることなく、本当に考えたいことを考え、やりたいことをやる時間を
取り戻す助けになることもあります。
2.治療の適応と禁忌
【インターベンショナル治療の適応となる病態】
① 医療用麻薬や鎮痛補助薬の調整をしても十分な鎮痛効果が得られない場合
② 医療用麻薬や鎮痛補助薬の副作用が強く使用できない場合
③ 比較的場所が限定された痛みの場合
【禁忌】
① 施行部位、針刺入経路の感染 →感染を広げる可能性があります。
② 出血・凝固機能障害、抗血栓療法薬(バイアスピリン、ワーファリン、パナルジンなど)の内服がある方
→身体の深部で出血し神経を障害する(麻痺を生じる)可能性があります。
③ 本人に了解が得られない場合
→ブロック中、ブロック後の体位保持などご本人の協力が必要です。
3.当院で行うインターベンショナル治療の種類と対象疾患
4 .治療の流れ
まずは効果が一時的で切れる局所麻酔薬によるテストブロックを行います。
鎮痛効果が確認されれば、持続的に長期間効果が期待される神経破壊薬(高純度エタノールやフェノールグリセリン)
を用いたブロックや24時間薬液の持続注入が可能なポートの植え込みを行います。
ブロックは手術室で行うものとペインクリニック外来で行うものがあります。
テストブロックは日帰りでできますが、神経破壊薬を使用する場合やポート植え込みを行う場合は、
効果の確認と合併症早期発見のために1泊2日もしくは2泊3日の入院が必要です。
5.当科への受診方法
駒込病院ペインクリニックでは当院通院・入院患者さんだけでなく
他医療機関からの紹介患者さんのインターベンショナル治療も受け入れています。
まずは当院緩和ケア科外来を受診ください。
〇当院患者さん→主治医経由で緩和ケア科医師にご相談ください。
〇他医療機関からの患者さん→主治医の先生に診療情報提供書をご準備いただいた上で
当院緩和ケア科外来の予約をお取りください。
▶詳細は当院ホームページ緩和ケア科「緩和ケア科 医療関係者様へのご案内」をご覧ください。
緩和ケア科医師の診察でブロックの適応がある場合は、ペインクリニック外来を受診していただきます。
場合によっては医療用麻薬、鎮痛補助薬の調整や放射線治療などを先行する場合もあります。