これまでの実績
1986年に坂巻壽医長(現名誉院長)が一例目の造血幹細胞移植を施行してから、37年以上経過しています。図1に当院における造血幹細胞移植件数の推移と歩みを示しますが、1994年には骨髄バンクを介した非血縁者間の移植を開始し、2000年からは臍帯血バンクを介した移植を開始しました。2008年からは造血幹細胞移植を円滑に行うために、日本造血・免疫細胞療法学会認定の造血細胞移植コーディネーター HCTC(Hematopoietic Cell Transplant Coordinator)が専従しています。
2011年には大改修工事が完了し、2号館9階に11床と、図2に示しますように、10階に個室16床(水平無菌層流装置設置)と四人部屋4室(16床)の計32床の無菌室病棟が稼動を開始いたしました。続いて、2019年には1号館10階の追加改修工事を行い、個室8床(水平式無菌層流装置設置)と四人部屋8室(40床)が作られたことにより、無菌室は72床になりました。この間移植件数も順調に増加し、2012年には年間100件を上回り、2015年以降は毎年100件超の移植を施行しています。
また、2012年より、専従の医師と学会認定の資格を有した看護師による移植後長期フォローアップ外来も開設しています。
当院は造血幹細胞推進移植拠点病院として、あらゆる幹細胞移植源を用いた移植を施行していますが、なかでも骨髄バンクを介した非血縁者間移植が多いのが1つの特徴です。
近年では、臍帯血移植・HLA半合致移植療法の件数が増加しております。
移植療法はチーム医療で成り立っていて、駒込病院では1986年以来多職種が参加した駒込移植チームが編成されています。このチームが一丸となって、患者さんとの意思疎通を十分にはかり、先進的でかつ全人的な治療が行われるようにしています。また、移植後は様々な合併症がおこりますが、造血幹細胞移植の施行にあたっては、脳神経内科、呼吸器内科、消化器内科、循環器内科、皮膚腫瘍科、耳鼻咽喉科、外科等多岐に及ぶ診療科の経験豊かな専門医とのコンサルテーションが円滑に行われ、トータルケアのできる体制が確立されています。