チーム医療

チーム医療とは

チーム医療とは

それぞれの患者さんに最も適した医療が提供できるよう、複数の医療スタッフが各部門の垣根を越えて連携し、治療にあたることを言います。
当院では、あらゆる神経・筋難病に対応できる専門病院として、各部門の専門家達が協力し、患者さんにとって適した医療が提供できるよう日々努めています。

栄養サポートチーム(NST)・褥瘡対策チームの活動

栄養サポートチーム(NST)

栄養サポートチーム(NST)とは、多職種の専門職員で、適切な栄養管理計画を立案・実践し、患者の栄養状態の改善と早期治癒、QOLの向上を検討し、治療に協力していくチームのことをいいます。当院のNSTは、平成19年4月1日に発足し、週1回の回診を行っています。平成31年2月より回診方法等の見直しを行い、NST加算を算定できる体制を整えました。

NSTの役割

神経筋疾患における入院患者の嚥下障害、感染症、筋萎縮をふまえた栄養状態を評価し、治療効果およびリハビリ効果向上等のため、栄養計画立案など栄養状態の改善維持を行うこと、研修会などを実施し栄養管理に関する正しい知識の啓発を行うことが役割になります。

NSTのメンバー
【回診担当】
脳神経内科医師(チェアマンNST専任)、脳神経内科医師(NST専任)
NST専任看護師、NST専任薬剤師、NST専任管理栄養士(ディレクター)
【必要時に回診参加・情報提供】
歯科医師、臨床検査技師、リハビリテーション科医師、リハビリテーション科スタッフ
患者支援センター職員、神経耳科医師、脳神経外科医師、神経小児科医師
NSTの活動
  1. 栄養評価において、栄養上の問題があった患者および病棟の主治医または担当看護師から依頼のあった患者の栄養アセスメントを行い、栄養管理計画を立案します。
  2. 定期的に入院中の患者全体を臨床検査結果等でスクリーニングし、低栄養患者の状況を把握します。
  3. 栄養状態の悪い患者を定期的に回診し、経過のモニタリングを行います。
  4. 患者の残存運動機能を活用してQOLの向上と社会参加を積極的に援助し、心身活動の増進を図ります。
  5. 回診終了後、カンファレンスを開き、栄養計画を立て、再評価日を決めます。
  6. 回診、カンファレンスの記録を主治医及び担当看護師に報告します。
  7. 患者の障害に合わせた栄養管理がなされているか評価し、患者・家族に対し栄養管理の正しい知識を啓発します。
  8. 症例検討会および栄養管理や嚥下障害、褥瘡等に関する研修会を開催します。
  9. 委員会に活動報告を行います。
  10. 褥瘡対策チーム及びNST・褥瘡対策委員会看護分科会と連携し、情報交換を行います。
NST活動の様子
NST活動の様子

褥瘡対策チーム

当院の褥瘡対策チームは、平成19年4月1日に発足し、月2回の回診を行っています。令和元年7月より、褥瘡ハイリスク患者ケア加算を算定できる体制を整えました。

褥瘡対策チームの目的

褥瘡(じょうそう)は床ずれと言われているものです。自分で寝返りができない方が長時間同じ姿勢でいることで、体の重みがかかる腰や踵などが圧迫されて血流が悪くなり、皮膚やその下にある組織が死んでしまう事をいいます。当院は神経難病の方が多く、疾患により嚥下障害や運動障害が起こりやすいため褥瘡が発生しやすい状態にあります。褥瘡対策チームは、多職種のチームメンバーが定期的に回診を行い、褥瘡ケアの向上を図る目的で活動しています。

褥瘡対策チームのメンバー
【回診担当】
褥瘡専任医師、褥瘡専従看護師、褥瘡担当看護師、管理栄養士
【必要時に回診参加・情報提供】
感染管理担当看護師、薬剤師、臨床検査技師、リハビリテーション科スタッフ
患者支援センター職員
褥瘡対策チームの活動
  1. 回診は月2回、カンファレンスは週1回実施します。
    ・褥瘡介入依頼があった患者を対象として回診を行います。
    ・栄養状態と褥瘡の評価を行い、体圧分散寝具、処置、栄養管理等のアドバイスを行います。
    ・褥瘡の発生リスクの高い患者さんの発生予防の助言を行います。
  2. スタッフのスキル向上のために研修や伝達講習を行います。
  3. 1か月の褥瘡発生・有病状況等を集計して委員会に報告します。
  4. NST及びNST・褥瘡対策委員会看護分科会と連携し、情報交換を行います。
褥瘡対策チーム活動の様子
褥瘡対策チーム活動の様子

地域療養支援検討会議

地域療養支援室では、外来通院が困難な患者さんが、退院後、地域において安定した療養生活ができるよう、訪問診療の必要性や支援方針、専門職別の支援内容等を検討するため、地域療養支援検討会議を毎週開催しています。
構成員は、患者・地域サポートセンター副センター長(医師)、地域連携支援グループ担当者(保健師、看護師)、リハビリテーション科医師、リハビリテーション担当者(理学療法士、作業療法士、言語聴覚士)、病棟主治医、外来主治医、病棟担当看護師などです。

多職種スタッフによる支援内容等の検討

呼吸サポートチーム(RST)

神経病院の呼吸サポートチーム(RST)は、呼吸ケアを必要とする神経・筋疾患の患者さんに安全で質の高い医療を提供し、適正な呼吸管理を行うために、多職種チームで病棟回診や勉強会開催等の活動をしています。

医師と集中治療室スタッフや麻酔科スタッフによる回診(RST回診)
患者さんの呼吸ケアを定期的にチェック

感染制御チーム(ICT)

患者さんはもちろんのこと、職員や病院に関係するすべての人々の感染防止を目的に活動しています。
感染症発生状況の把握、感染予防策の実施状況の確認等、病院内を定期的にラウンドし、感染拡大防止に努めています。

日々の感染対策をミーティングにて検討
定期的なICTラウンドにより院内感染の発生を防止

てんかん症例検討会

平成26年8月に東京都立神経病院にてんかん総合治療センターが開設されました。
てんかんの治療は抗てんかん薬の内服で発作を抑制するのが一般的でありますが、難治性てんかんの中には側頭葉てんかんなどの外科治療が有効な例も存在します。しかしながら、機能外科である「てんかんの外科治療」は脳腫瘍や脳血管障害と違い、脳神経外科領域の中でも一番、合併症を出すことが許されない分野であることは事実です。
このためてんかんの診断、手術適応の決定について非常に慎重に討議を重ねています。神経内科医、小児神経内科医、神経精神科医を含めたてんかん症例の治療検討会も定期的に開催しています。
てんかん患者さんは幼少時から発作のために周囲から差別・偏見をもたれ、結婚・就職などの大きな舞台に上がれず、よりよい人生を送れない人が多くみられます。また性格変化を伴うことがあるので、その治療においては発作抑制のみならず、心のケアも非常に大切です。
てんかん治療に興味をもつ看護師さんを中心とした「てんかん患者さんの看護」に重点を置いた症例検討会を行い、てんかん患者さんのいろんな悩みや不安を解消することに少しでもお役に立てるよう、努力しております。外科治療を主にしたてんかん臨床のみならず、看護を含めた治療のすべての面で質の高いセンター、患者さんに「この病院で治療を受けて良かった。」と心から思っていただけるセンターを目指しています。

多職種の医療スタッフでてんかん患者さんの治療や看護方針を検討