患者さんへ
疾患概要
気管切開術後の長期療養過程において、気管切開孔の内腔に露出した軟部組織の慢性炎症により、肉芽が増生し、気管切開孔の狭窄や、気管切開チューブの交換時の出血・疼痛、チューブ交換困難、などをきたすことがあります。また、気管切開チューブ先端部が気管内腔壁への接触、あるいは、チューブのカフ部分の気管内腔への接触などが原因となり、気管内出血や肉芽による狭窄などの晩期合併症を生じることがあります。
医療関係者へ
疾患概要・病態
気管切開孔を有する患者さんでは、長期療養過程において、気管切開孔の狭窄や拡大をきたしたり、気管切開チューブの先端部やカフ部分が気管内腔に強く接触するなどの適合性に問題を生じて、気管内肉芽や気管動脈ろうによる致死的な出血をきたすことが知られています。
治療・最近の動向
神経難病患者さんでは、呼吸障害に加えて、重度の嚥下障害をきたすことも少なくありません。
「正常の嚥下経路と誤嚥」の図の拡大版(PDF 97.2KB)
呼吸障害に重度誤嚥を合併している場合、気管切開術の手技に手術操作をつけ加えて、声門下を縫合閉鎖する簡易的な喉頭気管分離術を施行しています。
「簡易的な喉頭気管分離術後の側面模式図」の拡大版(PDF 100KB)
カニューレ不適合により生じた気管内肉芽を治療した一例
「カニューレ不適合により生じた気管内肉芽の治療例」の拡大版(PDF 311.6KB)
当院で行っている臨床研究・実績など
気管切開チューブの不適合に対する対応 学会報告;第64回日本気管食道科学会総会 2012. ワークショップ:気管切開の合併症とその対策.当科における気管切開術後の晩期合併症とその対策.内藤理恵 他