当院の安全衛生委員会では、法令に基づいた定期健康診断以外に、職員の活躍をサポートする活動に先進的に取り組んでいます。
法令で定められている活動
一般定期健診
毎年5~9月に行っています。外部健診機関が当院に訪問して行うので、外部に出かける必要はありません。
特殊作業従事者健診
医療従事者の中には夜間勤務する職員や、化学薬品、放射線を扱う職員もいます。そのような職員に対して、一般健診の約半年後に追加で健診を行っています。
放射線業務従事者健診
患者さん達の検査・治療に放射線は欠かせず、医療従事者は患者さんの検査・治療のために放射線を用い作業を行わなければならないときがあります。
当院では放射線業務を行う予定の職員について放射線業務従事者登録を行っています。登録された職員には放射線量測定計の配布、特定業務健診以外に、講習を行って放射線に対する知識を身に付ける機会を用意しています。測定された被曝放射線線量は永年保管していますので、異動後でも必要な場合には対応が可能となっています。
その他の職員にも、被曝放射線量を測定できるポケット線量計を貸与できるように用意しています。
当院の先進的な取り組み
抗体価を測定しています
医療従事者は患者さんと接するために、一般の人と比べて感染症に罹患する機会が多くなります。職員が罹患して患者さんに悪影響があってもいけません。
幸い、重要な感染症の多くはワクチンで予防できます。当院では、職員と患者さんの安全のために、職員が感染を防ぐ十分な免疫(抗体価)を持っているかどうかを確認し、足りない場合には予防接種を実施しています。
- 入職後に次の5つの病原体に対し抗体価を測定します。
B型肝炎ウイルス
麻疹ウイルス
風疹ウイルス
水痘・帯状疱疹ウイルス
ムンプスウイルス - 抗体価が不十分であった場合、予防接種を実施します。
- 抗体価は各人に通知されますので保管して下さい。
迅速な確認に役立つ「多摩総合医療センター感染予防カード」
時間が経つと、どの疾患に免疫があったのか忘れてしまうものです。そこで当院では抗体価を通知するだけではなく「多摩総合医療センター感染予防カード」を配布しています。各人が抗体価を記入してネームプレートに入れて携帯することで、いざ感染症患者さんに接するときに自分が大丈夫かどうかを迅速に確認できるようにしています。
効率的な抗体価データベース
抗体価は各人に通知されるだけでなく、安全衛生委員会でもデータベース管理しています。これによって、抗体価が不十分であるにも関わらず予防接種の案内がされない、逆に抗体価が十分であるにも関わらず再度予防接種してしまうといった無駄を削減することができています。
子供達を百日咳から守ろう!4種混合ワクチン接種
百日咳は乳幼児が感染すると致死的な合併症を生じることがある疾患で、昔は乳幼児死亡の主要な原因でした。小児期に予防接種を行いますが、成人する頃には免疫が低下するため、現在では成人における長引く咳の原因の1つとされています。
当院は周産期医療センターの1つであること、小児総合医療センターと隣接していることから、妊産婦さんや乳幼児と接触する機会があるため、当院では職員に対する4種混合ワクチンを導入しています。
小児用のワクチンであるため成人に対する接種は適応外使用であり、また職員自身がワクチン費用を負担せねばなりませんが、これまでほとんどの職員が接種を受けています。入職された際には百日咳の脅威から子供達を守るためにご協力をお願い致します。
ストップインフルエンザ!インフルエンザ予防接種
毎年冬になるとインフルエンザが流行します。医療従事者はインフルエンザ患者さんと接触する頻度が多く、必然的に感染する機会も多くなります。医療従事者が感染すれば患者さんにも危険が及びます。医療従事者・患者さんの安全を守るために、当院では毎年、職員に対してインフルエンザの予防接種を行っています。
針刺し・血液体液曝露事故対策
患者さんの中には肝炎ウイルス、ヒト免疫不全ウイルスなど血液・体液を介して感染する疾患に罹患している方々もいらっしゃいます。患者さんに使用した針が刺さったり、飛散した血液・体液が目などの粘膜に入ったりすると、感染してしまうことがあります。これは針刺し事故・血液体液曝露事故と呼ばれ、残念ながら医療従事者で最も多い労務・公務災害となっています。感染を防ぐためには事前の予防接種に加え、曝露後の速やかな対応が必要です。当院では感染対策室に全面的な協力をいただき、曝露した職員の感染予防を迅速に行うことができています。
医療現場におけるヒト免疫不全ウイルス(HIV)の針刺し・血液体液曝露はまれですし、感染率も高くありませんが、万が一曝露したとしても適切な抗HIV薬を曝露直後に内服すれば感染を防ぐことができるとされます。当院では抗HIV薬も常備しており、迅速な対応が可能となっています。
結核の健診も行っています!
結核は決して過去の病気ではありません。日々、医療機関には結核患者さんが来院されます。結核感染を防ぐためには特殊なマスク(N95マスク)を着用する必要があり、当院では、職員の安全を守るために十分な数のN95マスクを用意しています。
1.結核接触者健診
しかし患者さんが病院に来てすぐに結核だとわかるわけではありません。N95マスクを着用せずに結核患者さんと接触し、感染した可能性がある場合には、当院の呼吸器・腫瘍内科の全面的な協力のもと、結核の感染や発病がないかを検査し、必要に応じて予防的治療を行っています。
2.結核診療従事者健診
特に結核に接触する機会の多い医療従事者には、結核菌との接触がなくてもインターフェロンγ遊離試験や胸部X線を用いた健診を独自に追加して行っています。
子育てママ・パパを応援します
勤労世代は子育て世代でもあります。安心して仕事と子育てが両立できるように、当院では院内保育室の拡充と病児・病後児保育室の整備を進めています。
「医師としての仕事と子育て」
-女性医長
8歳、6歳、3歳の子供がいます。いずれの子供の時も当院で産休・育休を取得し、 産後9か月目から仕事に復帰しました。
子供が1歳3か月になるまでは、「育児時間」(1日の勤務時間を90分短縮する制度)を利用し、業務に支障のないように朝の出勤を遅くしたり、早めに帰宅したりして家事に充てていました。
外来はほぼ主治医制ですが、産休・育休の間は同僚の先生に代診してもらうことができました。
現在は、未就学児がいる場合に適応できる「育児短時間勤務」(月当たりの勤務時間を短縮する制度)を利用しています。大忙しで業務をする必要はありますが、未就学児の面倒を見ながら、週に半分は子供が小学校から帰宅するのを迎えることができます。家事・育児には際限がありません。職場の理解で取得している「育児短時間」でも子供に十分なことをできているか自信はありませんが、子供が小さい間はそばにいてあげたいという一職員の希望を叶えてくれる職場には感謝の気持ちでいっぱいです。
イクメン募集!
男性も女性も適正なワークライフバランスを保ち、男性も子育てに参画するのが好ましいあり方だと思います。所属長への相談が必要ですが、男性職員も育児休暇取得も推奨しています。
「オトコの子育て」
-看護師 大亀正斗
オトコだって子育てしたい!昨年妻が仕事復帰すると同時に、3ヶ月の育休を取りました。日毎に変わる子供の成長を感じ、子供との絆を深めたいというのが一番の理由でした。
しかーし、主夫業は想像していたよりも大変。オムツ交換は得意ですが、なにしろ自分の時間が無い(泣)。朝、妻を見送って朝食の準備から始まり、寝かしつけて一息つくまで戦争です。1歳4ヶ月の息子。玩具は散らかし放題、料理中に台所周りをウロチョロ。母親の居ない寂しさから泣き止まない息子に、私も泣きたくなることもしばしば。
ですが、辛い思い出ばかりではありません。息子が始めて歩いた瞬間に立ち会えた感動。ママ友ならぬ「パパ友」と、お互いの子供を連れてのランチ&ビール。料理もレシピを見れば一通り作れる腕前?になりました。
職場に迷惑はかけましたが、育休が無ければ子供と仲良くなるのにはもっと時間がかかったでしょう。今後の子育ての自信に繋がりました。
女性医師を応援します
妊娠中や産後でも働きたい!という女性医師ために、「女性休養室」を整備しています。元々は医局の一室でしたが、男性医師を含めて意見を募ったところ、一人の反対もなく「女性医師休憩室」への改装することが決まりました。くつろげるソファー、水道、冷凍・冷蔵庫もあります。女性医師の皆様、ぜひご利用下さい。
「外科医として、女性として」
-外科 佐々木律子
私の所属する科は、様々な診療科の中でも体力が必要とされる分野です。不規則な睡眠と食生活を送りながらも、充実した日々に満足していました。医師歴5年目を迎えた秋に、妊娠していることがわかりました。妊娠初期に今まで経験したことのない悪阻、眠気、倦怠感を感じるようになり、長時間の手術や当直業務の中で新しい命を育む大変さを痛感しました。妊娠による身体的な変化は気持ちで乗り越えようとしていた最中、妊娠8週目に切迫流産の恐れがあると伝えられ、気付かないうちに涙が出ていました。
しかし、そんな時に、療養できるように全力でサポートしてくれたのが同僚・上司の先生方でした。妊娠中は今までできていたことができない悔しさも味わいましたが、何よりそれを理解し支えてくれた環境に感謝しています。外科医を志した当初、子供は半ばあきらめていましたが、今回私が当院で仕事と妊娠を両立できたことは、働く女性にとって希望になるとものと期待しています。
学業との両立を悩んでいる方、必見です!
当院には、希望する場合に研究機関等で週1回程度の研究をしたり研修を受けたりすることができる「派遣医学研修」という制度があります。所属長の許可や審査を受ける必要がありますが、学業との両立を考えているやる気のある方はぜひご相談下さい。
「仕事と学業の両立を目指す」
-呼吸器・腫瘍内科 阪下健太郎
私は、都立病院の派遣医学研修制度を利用して、現在月に3日間、研究日を頂いています。
当院就職前に長崎大学熱帯医学研究所に在籍し、フィリピンにて結核に関する研究を行いました。諸事情で、東京に引っ越すことが決まり、何とか結核に関する臨床研究を続けて行きたいと考えました。その矢先、東京都清瀬市にある公益財団法人結核研究所に結核の研究に関する社会人連携大学院が開設されていることを知り、当院の研究日を利用して就学しています。
臨床では、呼吸器内科のスタッフとして、臨床と研究の両立を試みています。実際は、年々臨床業務が多忙となるため、研究の進捗は遅いのですが、この2年間で、多施設研究に2つ参加しました。1つは当院が主導で行った新規喀痰誘発診断器具であるラングフルートの性能評価研究で、その結果をヨーロッパ呼吸器学会で発表し、現在、国際誌に論文を投稿しています。
講習会や相談窓口もあります
新たな職場には不安がつきものです。そんな皆様をサポートするために、メンタルヘルスケア講習会、ハラスメント講習会など各種講習会を例年開催していますし、相談窓口も用意しています。お気軽にご相談下さい。