本来ならば細菌やウイルスから体を守ってくれている免疫機能に異常が起こり自分自身を攻撃対象としてしまう自己免疫疾患という病気の一つです。関節リウマチの場合その攻撃対象が関節の骨および軟骨であるため様々な関節に痛みが出て、破壊が進行すると変形をきたします。
現在薬物治療(内服や注射)が進歩してきたおかげで早期に適切な治療が始まれば高度な変形まで進行することは減ってきました。しかしそういった治療を時代的、経済的、副作用のため、などで受けられない患者さんがいることは今後も予想されます。そういった患者さんの抱える残存した関節破壊、また薬物は全身的には効いているが一つ、二つの関節に関節炎が残り障害がある方などの、日常生活動作レベルを手術、装具治療で改善させ出来るだけ快適に生活を送っていただけるように努力しております。
関節リウマチの症状は全身の様々な関節の痛み、腫れに加え関節のこわばり、動かしにくさ(可動域制限)、全身症状として発熱、全身倦怠感などを伴います。関節炎で最も多いのは手指の中手指節間関節および近位指節間関節、足の中足趾節関節、次いで手関節や膝関節です。その他、肩、肘、股関節、足関節、頸椎の関節炎を起こすこともあります。
薬物治療は主に当院のリウマチ内科で行っております。
当科およびリウマチ外科では院内のリウマチ内科や主に近隣のクリニックからの紹介を受け手術や装具療法の相談、治療を行っています。
関節リウマチに対する手術はすでに変形してしまった関節の矯正や機能の再建を行うことで疼痛緩和、ADLの改善を目的として行います。主に肩、肘、股、膝の人工関節置換術、足趾変形に対する関節形成術を行っています。
関節リウマチおよび膠原病の患者さんに関して入院中は必ずリウマチ内科医が一人以上副担当医となり、内科的な管理をさせて頂いておりますので患者さんには安心して入院して頂けると考えております。
またリハビリテーションが長く必要だと予想される患者さんには相談の上、連携しているリハビリテーション病院に術後数週で転院して頂くこともあります。
関節リウマチの患者さんでは、著しい滑膜炎のため肩を前や横に上げる筋肉(腱板)が薄くなり機能していない場合や、最終的に切れてしまってうまく肩が挙がらない患者さんが思いの外たくさんいらっしゃいます。関節リウマチ患者さんにおいて、肩を動かす筋肉(腱板)が切れた場合にその再建術を行っても、滑膜炎のためもう一度断裂する可能性が高いことがわかっています。このように腱板が切れてしまい、軟骨もなくなってしまった肩の場合、三角筋の力を使って腕を上げることができる新しい人工肩関節、リバース型人工肩関節を当院では行っています。リバース型人工肩関節を行うことによって痛みが改善し、腕を前や横に上げることが容易になります。当院では関節リウマチよって破壊され、腱板も切れてしまった肩関節にこのリバース型人工肩関節を行い、良好な短期成績を国内で先駆けて発表しています。