薬剤科

医療チームの一員として他職種と連携し、
医薬品の適正使用と医療安全の確保を推進します

薬剤科は、様々な業務で医薬品の適正使用と安全管理に貢献しており、医療の高度化が進む中、医療チームの一員として病棟で活躍できるよう日々努力をしています。
調剤室における調剤や疑義照会、注射調剤室におけるがん化学療法レジメン管理や鑑査、抗がん剤のミキシング、医薬品情報室における問合せへの対応等の業務に加え、病棟での患者さんへの服薬指導、医師・看護師への医薬品情報提供、手術室での麻薬管理、ICTやNST等のチーム医療活動、薬物血中濃度解析等「薬があるところに薬剤師が関与する」ことをモットーに幅広い活動を実施しています。

    主な業務内容

    調剤業務

    薬剤科スタッフの写真

    調剤は処方された薬の用法や用量、複数の薬が処方された場合はそれぞれの薬の飲み合わせ、患者さんの腎機能、肝機能などをチェックし、疑問がある場合は、必ず処方した医師に問い合わせをしたうえで実施されます。

    現在の院外処方箋発行率は90%を超えていますので、調剤の主体は入院患者さんになります。

    当院では発生源入力による電子カルテシステムとこれと接続した調剤支援システムを利用することにより、薬袋作成、錠剤自動分包、散剤自動分包、散剤鑑査等を迅速かつ正確に実施できるようになっています。

    薬袋に薬品名や注意事項を印刷し、患者さんが正しく服用(使用)でさるようにしたり、必要に応じて薬の説明書やお薬手帳用のシールを提供しています。

    注射調剤業務

    調剤業務をおこなっている写真

    医師の発行する注射処方せんに基づき、毎日の点滴や注射薬を患者さんごとに調剤します。注射薬は直接体内に入る薬であるため、用法や用量、複数の薬が処方されたときの相互作用や配合変化、患者さんの血液検査の結果、投与速度等を厳重にチェックしています。
    抗がん剤については、あらかじめ化学療法委員会で決定した投与量と投与法(レジメン)に合致していることを患者さんごとに毎日確認しています。
    また、抗がん剤と高カロリー輸液の一部については薬剤科でミキシングをしています。

    1. 抗がん剤のミキシング

    抗がん剤は、がんの治療を助けるという意味では重要な薬ですが、副作用も強いので取扱いに注意する必要があります。がんでない人の体に抗がん剤が入ってしまうと、健康を損うおそれがあります。当院では、院内で使用するすべての抗がん剤のミキシングを、安全キャビネットという抗がん剤の被ばくを予防する装置を使用して安全に薬剤師が実施しています。

    2. 高カロリー輸液のミキシング

    食事ができない患者さんへの栄養補給方法の一つとして高カロリーの輸液を投与する方法があります。現在こうした輸液は、様々な種類が販売されており、薬剤科でミキシングする必要が無くなってきました。しかし、腎機能が悪い患者さん等では、市販の高カロリー輸液が使用できないことがあります。こうした場合に薬剤科では、無菌調製室を使用し、清潔な環境下でミキシングを実施しています。

    病棟業務

    病棟業務をおこなっている写真
    当院では、薬剤師の病棟活動を積極的に推進しています。薬剤師の病棟業務には入院患者さんへの服薬指導を中心とした薬剤管理指導業務と病棟薬剤業務があります。

    1. 薬剤管理指導業務(服薬指導)

    入院患者さんの病室を訪問し、使用薬の説明を行っています。患者さんが服用(使用)している薬について理解し、退院後にご自身で薬の管理ができるようお手伝いしています。薬の説明の他に、服用方法のチェック、副作用は出ていないか等、主治医や看護師と連絡をとりながら、薬が適正に使われていることの確認をしています。

    2. 病棟薬剤業務

    薬剤師が1週間に最低20時間以上病棟に滞在し、当院に入院してこられる全患者さんの薬に関する様々な注意点をチェックしています。入院時には、患者さんがご自宅から病院に持参された薬の内容を調べて、報告し、医師が持参薬を患者さんに安全に使用する手助けをしています。入院中は、患者さんの病状や訴えなどをお聞きして、医師に対して必要と思われる薬や検査などを提案しています。また、医師や看護師からの問い合わせにも速やかに回答し、医薬品の副作用情報や適正使用情報などを迅速に提供しています。

    医薬品情報業務

    医薬品情報室(DI室)では、医薬品に関する様々な情報の収集や提供を行っています。
    常に最新の医薬品情報を収集し、医師、看護師、薬剤師等の病院職員に情報提供することにより、安心・安全な医療を患者さんに届けられるように努めています。
    副作用情報など、緊急を要する情報を入手した時には病棟担当の薬剤師と情報を共有して、迅速に病院内の職員に知らせるようにしています。薬事委員会の事務局として、病院内で使用する医薬品の採用・安全管理等に目を配ると同時に院内で発生した副作用については、医薬品医療機器総合機構へ迅速に報告しています。
    また、新薬の勉強会、薬物療法で必要となる知識の勉強会を計画、実施しています。

    チーム医療の推進

    当院では、患者さんとそのご家族を中心として医師、看護師、薬剤師、臨床検査技師、診療放射線技師、栄養士等様々な医療専門職種がそれぞれの専門分野を生かして実施する「チーム医療」を推進しています。薬剤科では、NST(栄養サポートチーム)、ICT(感染対策チーム)、PCT(緩和ケアチーム)等のチームに薬剤師をメンバーとし配置しています。
    それぞれのチームで薬剤師が薬物療法を中心に積極的な関与をするとともに勉強会等で情報提供しています。

    製剤業務

    医師の依頼に基づき、市販されていない薬剤の調製を行っています。院内製剤の種類には、内用薬、注射薬、軟膏剤、坐薬、点眼液や消毒薬等があり、調製の方法も各々異なります。製剤室にはクリーンベンチや高圧蒸気滅菌機を設置し、適正な手順で院内製剤を調製しています。

    医薬品管理業務

    医薬品が適正に使用され、患者さんの治療が円滑に進むように、薬の購入管理、在庫管理、供給管理、品質管理を行っています。院内LANとバーコードを利用した医薬品管理システムを使用することにより、精度の高い医薬品管理が可能となっています。麻薬や向精神薬など、法的に特殊な管理を要する薬に関しては、法規制にのっとり、確実な管理を実施しています。

    その他

    薬学教育6年制に伴い開始された長期実務実習の薬学生を受け入れています。また、薬学部1年次の初期見学にも対応しています。

    スタッフ紹介

    大村 由紀子(おおむら ゆきこ)

    職名科長
    資格認定実務実習指導薬剤師
    小児薬物療法認定薬剤師
    病院薬学認定薬剤師
    医療情報技師

    認定・専門薬剤師

    病院薬学認定薬剤師7名
    認定実務実習指導薬剤師5名
    日本薬剤師研修センター認定薬剤師6名
    糖尿病療養指導士1名
    外来がん治療認定薬剤師3名
    NST専門療法士2名
    抗菌化学療法認定薬剤師4名
    医療情報技師1名
    小児薬物療法認定薬剤師1名
    スポーツファーマシスト2名
    日本DMAT隊員1名