検査案内
感染症を引き起こす微生物(病原微生物)には細菌・真菌(カビ類)・原虫・ウイルスなどがありますが、細菌検査室では、その中で特に「細菌」および「真菌」を中心に検査しています。検査を行う上で、検査材料の採り方や保管の仕方によって、検査の良否が決まります。
細菌検査は、塗抹検査、培養・同定検査、薬剤感受性検査からなります。
・細菌検査の流れ
塗抹検査 | 検査材料をスライドグラスに塗り、染色して顕微鏡で観察し、病原微生物を推定します。細菌は非常に小さいので1,000倍の倍率で観察します。 |
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培養・同定検査 | さまざまな検査材料から、培地(細菌が生育するために必要な栄養分が含まれているもの)を選択して培養します。発育した微生物の性状等を調べ、菌の種類を決定します。結果が出るまで通常2~4日くらいですが、結核菌は多くの日数を要します。 |
薬剤感受性検査 | 培養で感染症の原因菌が認められた場合、どのような薬剤が効くかを調べます。最新の自動機器で測定し、得られた成績は臨床検査技師の確認のもと、臨床医に報告されます。 |
特色
院内感染の原因となるMRSA(メチシリン耐性黄色ブドウ球菌)やMDRP(多剤耐性緑膿菌)、セラチア菌などをはじめとして、重篤な症状を起こす腸管出血性大腸菌O‐157や赤痢菌、チフス菌、コレラ菌、結核菌などの病原菌が検出された際は、迅速に報告できるよう心がけています。また自動化機器や迅速検査を導入し、報告時間の短縮に取り組んでいます。ベロ毒素検査やPCR法による抗酸菌(結核菌)の検出も行っています。感染制御チーム(ICT)の一員として院内感染の有無を監視し、院内に迅速かつ的確な情報を提供することに努めています。
検査スタッフは微生物検査専門技師が担当し、院内外との情報交換や臨床への最新情報の提供に努めています。
Q&A
Q1. 細菌検査結果が分かるまでどのくらい時間がかかるの?
A1.
細菌検査には、菌を増やすための「培養」という時間のかかる工程があり、その所要時間は、菌の発育速度により異なります。その後、同定検査や薬剤感受性検査を実施するため結果がでるまでに2~4日かかります。
結核菌のような抗酸菌は発育速度が遅いので最終報告までに、さらに多くの日数を要します。結核菌が陰性という結果は、6週間培養後に決定されます。
Q2. どのような喀痰を採ったらいいの?
A2.
採る時間 | 早朝、起きた直後に採るのが最適とされています。 |
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採り方 | 口の中には細菌がたくさんいます。これらが喀痰に混入するとよい検査ができません。強く咳をして喉の下方の肺から出てくる痰を直接容器に入れます。痰は黄色や緑色をした粘り気のあるものが検査に適しています。 唾液や鼻汁は入れないようにしてください。また、紙などの異物も入れないで下さい。 |
採った後 | 痰を採ったら容器のフタをしっかり閉めてください。 冷蔵庫で保管し、速やかに病院までお持ちください。 |
Q3. 採った喀痰は病院に行くまでどうしたらいいの?
A3.
喀痰が採れたら、なるべく早めにお持ち下さい。
受付は8時30分から17時00分 1階中央採血室です。
当日来られない場合は冷蔵庫に保管し、翌日にはお届けください。
お渡ししている容器は滅菌カップと言って、容器の中は無菌状態になっています。
何度も容器のフタを開けたり、容器やキャップの内側を触ったりしないで下さい。