精神科の看護

精神科の看護

マスク着用への取組:認知症病棟

病棟内の感染拡大防止のためには、手指消毒や人との距離をとること、会話時のマスク着用などが大切です。認知機能の低下や妄想、幻聴などの精神症状によりマスク着用が難しい患者さんが生活しています。病棟看護師が中心に、認知症患者さんにマスクを着用してもらえるように医師、看護師、精神保健福祉士、心理士、作業療法士が協力して「マスク体操」DVDを作成しました。馴染みのある「幸せなら手をたたこう」の音楽に合わせてマスクを着けられるように、毎日10時と15時に病棟ホールで、みんなでDVDを視聴しながらマスクをつけて体操しました。また、患者さんのご希望により看護師がマスクに動物の絵を書くことで親しみを感じてもらうことで、マスク着用の患者さんが増加しました。

マスク体操の一画面
患者さんにリクエストされて描きました

外来と病棟の感染予防対策

外来患者さんが、診察前や会計前に視聴するデジタルサイネージを活用し、施設内では常時マスクを着用していただくことをお願いしました。また、診察時には、医師と患者さんとの一定の距離を確保するために、「お互いに安全な距離の目安1.5メートル」という診察場面の画像を流すことで、患者さんに協力してもらうことができました。

精神疾患患者さんは、自分の生活行動パターンが変更してしまうと不安や混乱を招くことがあります。マスク着用や手洗いなどの協力を得るためには様々な工夫が必要なため、各病棟の感染リンクナースを中心に、個々の患者さんの精神状態に合わせた声掛けや看護ケアをしました。また、協力してもらいたい内容が分かるようにポスターを作成し、現在も病棟内に掲示して感染予防対策を継続しています。

デジタルサイネージを活用
院内周知ポスター

入院患者さんの症状観察強化

精神疾患患者さんは、ご自身の身体的・精神的症状や困っていること、不安なこと、辛いこと、日常生活状況などを、他者に伝えることが難しい場合があります。特に精神科救急入院患者さんは、入院前の生活状況に関する情報が得られ難いため、入院2日後くらいから発熱症状などが出現するなど院内感染拡大のリスクがあります。一方、松沢病院には、精神科救急・急性期医療が必要な患者さんを常時受け入れる使命があるため、全例PCR検査は実施せず、入院後は原則個室対応とし現在も継続しています。患者さんには、安心して個室内で生活していただくために、医師から症状の確認や生活上留意してもらいたいことについて説明するとともに、看護師は生活背景や精神症状に合わせて症状観察を強化しています。