院内がん登録とは
院内がん登録とは、病院で診断や治療を受けたすべての患者さんのがんについての情報(がんの部位、組織型、進行度、治療内容等)を収集・登録する仕組みです。
登録された院内がん登録データは、病院内のがん診療の実態を把握し、特徴を明らかにするための情報として活用されると共に、がん診療の質向上、患者さんやご家族への支援に役立てられます。
全国のがん診療連携拠点病院等で行われている院内がん登録の情報は、国立がん研究センターに提出され、全国集計の報告書として公表しています。
また、「がん登録等の推進に関する法律(平成25年法律第111号)」に基づき、日本でがんと診断されたすべての人のがんの情報を国で一元管理する「全国がん登録」が、平成28年1月から開始されました。
すべての病院と指定された診療所は、患者さんのがんに関する情報の届出が義務付けられました。これにより全国レベルでがんの罹患数が把握できるようになり、例えば、全国にがん診療連携拠点病院をどのくらい整備したらよいか、がん検診が効果的に実施されているかなど、国のがん対策や都道府県の地域医療計画にも活かされていきます。
当院では、がん診療連携拠点病院等の整備に関する指針(令和4年8月1日健発0801第16号)、及び院内がん登録の実施に係る指針(厚生労働省告示第470号)に基づき、「標準登録様式」に基づく院内がん登録を実施しています。
登録したデータは、毎年国立がん研究センターに提出するとともに、東京都が実施する地域がん登録事業にも協力しています。また、平成28年1月診断症例以降は、法律に基づき院内がん登録の情報をもとに、東京都に全国がん登録の届出を行います。
その他、がん診療連携拠点病院が参加する「Quality Indicatorに関する研究」や、全国がん(成人病)センター協議会が実施する研究調査に協力しており、がん診療の現状分析に役立てられています。
院内がん登録の対象と方法
<収集の対象>
- 外来・入院を問わず各年の1月1日から12月31日までの1年間に、当院において診断もしくは他施設で既に診断されたのちに当院を初診した、すべての部位に発生した悪性新生物(がん)及び頭蓋内の良性及び良性か悪性の判断が難しい腫瘍を登録対象としています。
なお、胃や小腸などの消化管の壁にできる腫瘍で、良性か悪性の判断が難しい消化管間質腫瘍(GIST)は2012年症例より、一部の卵巣境界悪性腫瘍と良性の中枢神経系腫瘍は2016年症例より登録対象としています。 - 1腫瘍1登録の原則に基づき登録します。
<症例区分>
初回診断(当院での診断の有無)と初回治療(当院における初回治療の有無)の組み合わせにより、下記のような症例区分(10~80)があり、この区分にもとづき登録を行なっています。
国立がん研究センターより報告される集計対象件数は、症例区分10~40までの合計数となります。
なお、部位別(胃癌、大腸癌、肝臓癌、肺癌、乳癌)の集計対象件数は、当院における 初回治療症例(症例区分20~31)のうち、癌腫のみの合計数となります。
院内がん登録症例数の推移
国立がん研究センターに提出した全国集計2013年~2022年症例のうち、集計対象件数(症例区分10~40)を表しています。
※国立がん研究センターで公表された件数
当院は、2009年(平成20年)2月より「都道府県がん診療連携拠点病院」の指定を受け、地域の医療機関等との緊密な連携を行いながら、高度ながん治療を提供しています。
様々な合併症をもつ患者さんにも対応できるよう、専門的な診療機能に加えて、循環器内科や糖尿病・内分泌内科、腎臓内科、眼科等の非がん部門の診療科とも連携しながら、多くの患者さんの診療に関わっています。
院内がん登録のオプトアウトについて
院内がん登録は、がん登録等の推進に関する法律(平成二十五年法律第百十一号)により、院内がん登録の実施に係る指針(厚生労働省告示第四百七十号)に即して行うこととされています。これらのデータは現在毎年、全国の施設におけるがん医療の実態把握のために、提出元が保持する対応表が無い限り個人が識別できない状態のデータとして国立がん研究センターに提出されていますが、その二次的な利用については拒否(オプトアウト)の機会が提供されています。
拒否の申請を希望する場合は、医事課医療情報グループ医療情報担当までお申し出ください。当院のデータベースに記録するとともに、国立がん研究センターと連携して、二次利用を行わないようにいたします。手続きに際し、以下の点についてご理解のほどお願いします。
- 当院に申出をいただく拒否の申請の対象は、当院から国立がん研究センターに提出されたデータ分のみです。他院に受診されてその施設からのデータ提出分も拒否をされる場合は、当該医療機関へもお申し出ください。
- 現在行っている解析課題は国立がん研究センターのホームページで閲覧可能です。
- 国立がん研究センターで解析のために研究者等にデータを提供する際には提出元と結びつけられる情報は削除します。そのため、この状態になって提供済みのデータについては、追跡が不可能なため削除できません。
- オプトアウトを申出されたことにより、患者さんの診療に影響することはありません。
- データは、当院で行われた診療内容ですので、その内容については、担当の医師に直接お尋ねください。
院内がん登録の制度自体について、ご不明な点などありましたら、国立がん研究センターが運営するホームページ「がん情報サービス」をご確認ください。また、必要に応じて問い合わせフォームもご活用ください。ただし、国立がん研究センターで保有している院内がん登録は番号のみで管理しており、お問い合わせをいただいても診療やデータの内容を特定することはできません。また、氏名などの個人の患者さんが判別できる情報を保持しておりませんので、削除などの対応については、実際に診療を受けた病院を通して伝える必要がありますのでご注意ください。院内がん登録では、当院で診断・治療した患者さんの治療経過を把握するために、院内で情報が得られなかった場合には、公的機関等への照会を含む追跡調査を実施しています。
登録データに関する個人情報の取扱いについては、個人情報保護条例、及び当院の個人情報保護方針に基づき、最大限の注意を払っています。
皆様のご理解とご協力の程、宜しくお願い致します。
オプトアウトポスター(PDF 231.4KB)