私達は、遺伝性乳がん卵巣がん、リンチ症候群、家族性大腸腺腫症などの『遺伝性腫瘍』の遺伝カウンセリングと遺伝学的検査を中心に診療を行っています。
１．がんゲノム医療外来（がん遺伝子パネル検査）
がんゲノム医療とは、がん患者のがんに生じている遺伝子の変化を網羅的に調べ、その結果を利用して最適な治療法を選択するものです。これまでのがん種ごとの治療法選択に加え、遺伝子の変化に応じた治療方法を検討します。
２．HBOC（遺伝性乳がん卵巣がん）外来
乳がんの患者さんのうち5％程度の方は遺伝要因（遺伝子の変化）が強く影響していることがわかっています。その５％の遺伝要因うち半分～２/３を占めるのが遺伝性乳がん卵巣がん（HBOC）です。
HBOCは乳がんと卵巣がんだけではなく、男性の乳がんや前立腺がん、すい臓がんなどのリスクが上昇することが知られています。HBOCの診断はがんの早期発見だけではなく、術式の選択や抗がん剤の選択に活かせる可能性があり、一定の条件を満たす方は保険で遺伝学的検査を受けることができます。また、駒込病院では保険の要件を満たさない場合でも、自費の遺伝学的検査をご案内できる場合があります。
３．遺伝性腫瘍外来
遺伝性腫瘍は、遺伝要因ががんの発生に大きく影響していることが明らかな腫瘍のことで、原因遺伝子が明らかな疾患の総称です。主な遺伝性腫瘍には、遺伝性乳がん卵巣がんやリンチ症候群などがあります。遺伝性腫瘍の患者さんでは、比較的若い世代から様々ながんを複数回発症することがあるため、生涯に渡る支援が必要となります。
遺伝性腫瘍の診断は、がん早期発見や予防に活かせる可能性のある一方で、自身や血縁者の健康や将来に対する不安が生じる場合もあります。そのフォローを専門的に行う医療が遺伝カウンセリングです。遺伝性腫瘍外来では遺伝に関連した専門的な情報提供や心理支援を行うため、遺伝の専門医や認定遺伝カウンセラー®が担当します。