早期乳がんラジオ波焼灼療法

早期乳がんラジオ波焼灼療法について

早期乳がんに対するラジオ波焼灼療法(RFA)は、2013年8月に先進医療制度としての実施を承認され、2013年8月より開始されました(RAFAELO試験)。RAFAELO試験では予定数の症例を登録完了し、通常の手術と比較し短期間の治療効果が同等と認められ2023年12月に保険承認となりました。 

保険診療で行われる早期乳がんに対するラジオ波焼灼療法(RFA)は行う術者や施設が日本乳癌学会から認定されていることが必要になります。駒込病院においても2024年1月より体制を整えて保険診療で行うことが可能になりました。

ご希望の際は、患者さんからの治療希望を受け、科内カンファレンスにて実際に対応できるかどうか検討させていただくながれとなります。

ラジオ波焼灼療法とは

ラジオ波焼灼療法とは、専用の電極針を腫瘍に刺して通電し、針の先端周囲の温度を上げることでがん細胞を死滅させる治療方法です。がん細胞は、ある一定の温度以上に熱すると死滅することが知られています。
経皮的乳がんラジオ波焼灼療法は、全身麻酔下に行いますが、切除手術と異なり、乳房に針を刺すだけで治療が終結しますので、乳房を大きく切ることなく治療を終了することが可能です(図1)。
ラジオ波焼灼療法は、現在肝細胞がんに対しては保険診療として認められており、一般的な治療として広く行われています。経皮的乳がんラジオ波焼灼療法は、この技術や装置を乳がんの根治治療に応用したものです(図2)。

図1
ラジオ波焼灼療法イメージ図

図1

図2
Cool-tip RFAシステム

図2

乳がんに対するラジオ波焼灼療法では、現在肝細胞がんに対して一般的な治療として行われる際に使われている装置(Cool-tip RFAシステム)を使用します。
Cool-tip RFA
システムでは、専用の針を乳がんの中心に刺した後に通電することにより、針の先端周囲の温度を上げることでがん細胞を死滅させます。
がんの大きさ、病変の場所などにより、針先周囲の3.1cmの範囲が熱焼灼できる針と2.3㎝の範囲が熱焼灼できる針とを使い分けます。

早期乳がんに対するラジオ波焼灼療法(RFA)の選択基準と除外基準

経皮的乳がんラジオ波焼灼療法(RFA)を受けられる患者さんは、日本乳癌学会のラジオ波焼灼術(RFA)早期乳癌適正使⽤指において以下のように定められております。

患者選択基準 適格基準

  • 針生検で組織学的に通常型の原発性乳管癌であることが証明されていること
  • 腫瘍の大きさが、造影 MRI 検査、超音波検査を含む術前画像検査すべてにおいて直径1.5cm 以下の単発限局性病変であること。
  • 癌の皮膚浸潤や皮膚所見(Delle)が認められないこと
  • 今回の乳癌に対する前治療(化学療法・ホルモン療法・放射線治療など)の既往がないこと
  • 年齢が20歳以上の女性である
  • 術後放射線治療が実施可能なこと
  • 手術、全身麻酔に耐えうる臓器機能を有すること
  • 術前診断にて腋窩リンパ節転移がないこと

適応除外基準

  • 妊娠中、もしくは妊娠している可能性がある症例
  • 心臓ペースメーカまたは植込み型除細動器を留置している症例
  • 局所の活動性の炎症や感染を合併している症例
  • 重篤な⼼疾患、脳疾患を有している症例
  • 人口骨等のインプラントにより、対極板を貼付できず、RFAが適切でない症例
  • 抗血小板療法、抗凝固療法等、止血困難が予想される症例
  • 画像上広範囲の乳管内病変の存在や多発病変の存在が疑われる症例
  • マンモグラフィ(MMG)で広範な石灰化を認める症例
  • 温存乳房内再発を含む異時性の同側乳癌症例
  • 他臓器転移を認める症例

早期乳がんに対するラジオ波焼灼療法(RFA)の合併症

腫瘍に焼灼針を穿刺したあと通電を行い焼灼により癌を死滅させる治療法であるため周囲の皮膚熱傷、出血、不整脈、腫瘍播種、血腫形成、膿瘍形成、創感染、創部痛、発熱、乳頭陥没、硬結形成などの合併症を起こす可能性があります。またラジオ波焼灼後の部位はしこりとして遺残することが多いです。

またラジオ波による焼灼温度が腫瘍全体で十分に上がりきらず一部焼灼不全となる可能性があり、この際は後日手術による切除が必要になります。

早期乳がんに対するラジオ波焼灼療法(RFA)を受けたあとの流れ

焼灼術終了後3-4週のところで治療を行った乳房に対する術後放射線治療を行います。

また放射線治療終了後3か月の時点で造影MRI検査と、吸引式針生検を行い乳癌の遺残がないかを確認します。

遺残が確認された場合や、強く疑われる場合には切除手術が必要になります。

早期乳がんに対するラジオ波焼灼療法(RFA)が受けられるか知りたいと思われた方へ

自分がラジオ派焼灼療法の適応になるのかどうか知りたい、ラジオ派焼灼療法のメリットやデメリットについて知りたいと思われる方は当院乳腺外科のセカンドオピニオン外来を受診してください。