白血病治療の説明

白血病の治療

急性白血病の化学療法の考え方

ごく最近まで、主に骨髄を用いていましたので骨髄移植と呼ばれていましたが、今では骨髄以外にも末梢血や臍帯血を用いるようになったため、総称として造血幹細胞移植という言葉を使うようになっています。
再生不良性貧血では正常の血液を作る機能を持った幹細胞(かんさいぼう)を補うために移植が行われますが、白血病などの悪性疾患では、腫瘍細胞を根絶させるために造血幹細胞移植がおこなわれています。
急性白血病を例にもう少し詳しく説明します。

急性白血病に対する造血細胞移植の考え方

急性白血病を発症した時は体全体では1012個(1兆個)もの白血病細胞があるといわれています。
これを化学療法(抗がん剤の組み合わせ)で治療するわけですが、抗がん剤を投与すると白血病細胞をやっつけるだけでなく、正常な造血細胞も減少してしまいます。
正常な造血細胞は治療から2-3週で回復してきます。
一方、抗ガン剤は白血病細胞により強く作用するため、白血病細胞の方が正常な造血細胞より回復が遅れます。
すると寛解という見た目には血液所見が正常化したように見える状態になりますが、それでも体全体では109個(10億個)もの白血病細胞が残っています。
そのまま治療しなければすぐに再発してしまいますので、寛解後も化学療法を繰り返すことが必要です。
ただし、あまりに強く治療をすると、正常な造血が長期間回復しないこととなり、その結果、重篤な感染や出血をきたし致命的になりますので、 おおむね2-3週で正常造血が回復してくる程度の治療しかできないのです。
こうした治療を繰り返して、治癒に結びつくこともありますが、残念ながら再発してくることも多いのが現状です。

白血病に対する移植では、白血病を根絶するために大量の抗がん剤の治療を行い、移植した正常造血幹細胞が造血の役割を担います。

駒込病院の移植病棟

2011年には大改修工事が完了し、2号館9階に11床と、図2に示しますように、10階に個室16床(水平無菌層流装置設置)と四人部屋4室(16床)の計32床の無菌室病棟が稼動を開始いたしました。続いて、2019年には1号館10階の追加改修工事を行い、個室8床(水平式無菌層流装置設置)と四人部屋8室(40床)が作られたことにより、無菌室は72床になりました。この間移植件数も順調に増加し、2019年は年間133件の移植を施行しました。
また、2012年より、専従の医師と学会認定の資格を有した看護師による移植後長期フォローアップ外来も開設しています。

110_210病棟見取り図