精神腫瘍科・メンタルクリニック - 診療内容

1.駒込病院精神腫瘍科・メンタルクリニックのご案内

駒込病院精神腫瘍科・メンタルクリニックは、がんをはじめとする身体疾患治療中の患者さんへのリエゾン・コンサルテーションを主体に、診療をおこなっています。 リエゾン・コンサルテーションとは、身体疾患の診療にあたっている診療科と連携して、患者さんへの心理的サポートや合併する精神疾患の治療をおこなうものです。

“精神腫瘍科外来での診療”、身体各科に入院している患者さんへの“コンサルテーション業務”・“リエゾンチーム活動”のほか、造血幹細胞移植を受ける患者さんへの“リエゾン活動”、 “緩和ケアチーム活動”、“こころの相談室”、“家族ケア外来”など、診療の窓口は多岐にわたっていますが、いずれも患者さんや家族の気持ちに寄り添い、 気持ちのつらさを緩和し、患者さんや家族が希望をつないでいけることを診療の目標にしています。

2.外来診療について

駒込病院はがん・感染症センターであり、精神腫瘍科・メンタルクリニックではがんや感染症をはじめとする身体疾患の治療に関連する精神・心理面の診療を、身体各科と連携して行うリエゾン精神医療を中心に行っています。

外来診療は完全予約制ですが、「がんと診断されて不安になった」などの場合、主治医からの連絡があれば当日でも対応いたします。なお時間外や休日、夜間の精神腫瘍科診療は行っておりません。 また当院には精神腫瘍科の入院施設はなく、アルコールや薬物依存に対する専門のプログラムなどは実施しておりません。入院や専門的な治療プログラムが必要な患者さんについては対応できませんので御了承下さい。

3.コンサルテーション診療

当科は病床がないため入院治療を行えませんが、当院の他の診療科に入院されている患者さんを対象としたコンサルテーション活動(必要時に患者さんの同意のもとで 各科主治医が当科に「相談」→当科医師が診察→診断結果に基づき治療法や対処法を主治医に提案する という診療活動)に力を入れています。 頻度の高い症状は、「せん妄」「眠れない」「不安」「気持ちが落ち込む」「認知症」などです。また、特に精神症状がない方への予防的な相談も数多く対応しております。

がんをはじめとする重大な病気は、患者さんの心身両面に大きな変化をもたらします。なぜ自分だけがこんな目に遭わなければならないのか、これからどうしたらよいのかなど、 誰にも言えず一人で抱え込んだり、やり場のない気持ちを感じることもあるでしょう。入院治療中、上記のような症状についてのご相談を希望される際は、 まず各診療科の主治医にご相談ください。

4.リエゾンチーム

上記のコンサルテーション診療において、チーム医療の一つとしてリエゾンチーム活動を行っています。詳しくはリエゾンチームをご参照ください。

5.造血幹細胞移植に対するリエゾン活動

駒込病院で造血幹細胞移植を受ける患者さん全員に対して、精神腫瘍科医師と心理士がサポートするリエゾン活動を、平成8年から継続しています。 リエゾン活動は、精神症状に対して診療をおこなうコンサルテーションと異なり、最初からチーム医療の一員として精神腫瘍科専門職がかかわることによって、 精神症状の予防や早期発見に努めるものです。

具体的には、造血幹細胞移植予定で入院された患者さんに対し、移植前の時期に、精神腫瘍科医師と心理士がそれぞれ1回ずつ移植前面接を実施し、 移植期間中、必要に応じて移植病棟へ訪室してサポートを行います。また、必要があれば退院後のサポートも行っています。

6.こころの相談室

患者さんとそのご家族が、療養中お一人でかかえておられる、こころの悩みをうかがうことを目的としています。 具体的な解決法を提案することが必ずしもできるわけではありませんが、ご一緒に問題を考えていきます。 ご相談には当科の心理士があたります。精神腫瘍科の診察や予約は必要ありませんので、「気持ちのつらさは相談したいけど、精神腫瘍科を受診するのはちょっと...」と迷っておられる方もご相談ください。 (ただし、こころの相談室では定期的に継続するカウンセリングは行っていません。継続カウンセリングの場合は精神腫瘍科受診の上、医師の判断が必要です。)月曜日と水曜日の14時~16時、2階のカウンセリング室で行っています。 事前に精神腫瘍科心理士に電話して予約を取ってお越しください。主治医や病棟の看護師にお申し出いただくことも可能です。

7.緩和ケアチーム

がん患者さんが抱える苦悩は、身体的苦痛のみならず、気持ちのつらさ(精神症状)、社会的な問題、スピリチュアルな苦悩と、全人的なものです。 そしてさまざまな苦悩が互いに影響しあっています。たとえば、痛みが激しいと気持ちもつらくなりますし、気持がつらいと痛みも強く感じられるということがあります。 緩和ケアチームでは、身体症状緩和医、精神症状緩和医、看護師、薬剤師、心理士、ソーシャルワーカー、栄養士をはじめ多くの職種が協同して患者さんの全人的苦悩の緩和に努めています。

緩和ケアチームでサポートしている入院患者さんのうち、三分の一の患者さんに、せん妄などなんらかの精神症状、あるいはケアを必要とする心理状態がみられます。精神腫瘍科からは医師1名が精神症状緩和のための専任医師として緩和ケアチームで活動しています。

8.家族ケア外来(遺族ケア外来)

ご家族はさまざまなストレスを抱えながら、その苦悩を表に出せず、適切にケアされていないことが指摘されています。 ご家族自身が不眠や抑うつなど精神症状を抱えたり、元来もっていた身体疾患を悪化させたり、新たな身体疾患におちいるリスクがあることも指摘されています。

精神腫瘍科では、ご家族がなんでも気軽に相談できる“よろず相談”窓口として、平成22年から家族ケア外来を開催しています。ご家族から、「本人とどう接していいかわからない」「子供に病気のことをどう伝えればよいのか」「看病のために自分の持病の通院ができない」などの相談を受け、対応しています。

また、患者さんが亡くなられた後、残されたご家族のグリーフケアをサポートするため、ご遺族の方にも家族ケア外来(遺族ケア外来)を利用して頂けます。大切な人を亡くした時の悲しみは非常に深く、身体的にも精神的にも大きな影響を及ぼすことがあります。日常生活が成り立たなくなるほどの不眠や食欲低下、気分の落ち込みなどがみられるときには専門家の支援を受けることをおすすめします。

家族ケア外来では、ご家族の相談に精神腫瘍科医師が応じます。

  • 予約制
  • 場所は、精神腫瘍科外来です。
  • 予約は、予約センター(03-3823-4890)へ電話して、「家族ケア外来希望」と伝えて、精神腫瘍科初診予約をお願いします。
  • 家族ケア外来は、保険診療(精神腫瘍科初診扱い)となります。
    診療費のほか、非紹介患者初診加算1,300円がかかります。
    費用の目安は、3割負担で合計3,000円以上になります。