脳梗塞について

脳梗塞とは?

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脳梗塞とは、脳の血管がつまって血液が流れなくなり、その血管が栄養する領域の脳組織が酸素や栄養不足によって機能できなくなる病気です。

脳梗塞の原因

脳梗塞はその原因によって、大きく2つに分類されます。1つは脳塞栓(のうそくせん)と呼ばれるもので、心臓など脳以外の部位でできた血栓(血のかたまり)が、血液の流れに乗って脳血管につまってしまうものです。もう1つは脳血管自体が動脈硬化などによって狭くなり、ここに血栓ができて血液が流れなくなる状態で、脳血栓(のうけっせん)と言います。いずれの場合も血管がつまったままであれば、脳組織が死んで脳梗塞になりますが、早期に血液の流れが改善すれば脳梗塞を免れたり、障害を最小限にすることができます。そのため脳梗塞は早期の治療が必要です。

脳梗塞の症状

脳梗塞の部位や範囲によって症状は様々ですが、半身の麻痺(力が入ならい)や感覚障害(しびれなど)、言語障害(言葉が出にくい、呂律が回らないなど)、嚥下障害(食べ物が飲み込めない)などが主体です。重症の場合には、意識障害が見られる事もあります。またMRIなどの画像診断の発達により、無症候性(症状の明らかでない)の脳梗塞が発見される機会が増えています。

脳梗塞の検査

脳梗塞の診断には、頭部のCTもしくはMRIを行います。MRIでは脳血管の状態も大まかに検査することができます。脳血管の異常が疑われた場合には、さらに脳血管撮影という検査が必要になることがあります。これはカテーテル(細い管)を動脈に挿入して脳血管を直接写し出す検査で、血管を広げたり血栓を溶かす治療に用いられることもあります。その他、血液検査や心電図、ホルター心電図、頚動脈エコー、心エコーなどを行います。

脳梗塞の治療(急性期治療:およそ1-2週間)

脳梗塞は血液の流れが悪くなっているため、これを改善する必要があります。一般的には、血栓を予防し血液の流れを良くするお薬の点滴や内服によって治療します。脳梗塞の非常に早い時期であれば、血管につまっている血の塊を溶かすことによって、症状が改善することもあります(t-PA)。すでに脳梗塞ができあがってしまっている場合には、その部分を元に戻すことはできないため、脳梗塞の拡大を防ぐ治療を行います。ただし治療を行っていても残念ながら脳梗塞が進行したり、出血を起こして(出血性梗塞)症状が悪化することもあります。
脳梗塞では喉の筋肉が麻痺して食物をうまく飲み込めない嚥下障害を生じることがあります。嚥下障害がある場合には胃に管を挿入し流動食を用いることや中心静脈にカテーテルを挿入し栄養補給することがあります。脳卒中を生じると肺炎・尿路感染・静脈血栓塞栓症・肺血栓塞栓症・消化管出血などの合併症を生じることもあります。患者さんの治療と平行して、今後の治療計画を策定のため医療相談員との面談も行ないます。

脳梗塞の再発予防(慢性期治療:およそ2-3週間以降)

脳梗塞が生じると大きな障害を残すことがあるため、予防治療がとても重要です。脳梗塞の発症には動脈硬化が基盤となっていることが多いため、動脈硬化を促進させる高血圧症、糖尿病、高脂血症などの治療が必要です。また、血液を固まりにくくさせるお薬で血液の流れを改善し脳梗塞を予防します。脳血栓症には主に抗血小板剤が用いられ、脳梗塞の再発をおよそ30から40%程度予防することができるとされています。脳塞栓症には抗凝固薬が用いられ、再発を70%程度予防できるとされています。これらのお薬は血が止まりにくくなる事がありますので、検査・手術などを受ける際には申し出るようにしてください。また脳血管に異常が認められた場合には、頚動脈内膜剥離術やステント留置術、バイパス術などによる血行再建の手術が有効な場合もあります。

リハビリテーション

脳梗塞に陥ってしまった脳組織は、様々な治療を行ってももとに戻すことはできません。このため脳梗塞によって生じた麻痺や言語障害などの症状は、後遺症として残存する可能性があります。しかしこれらの症状はリハビリテーションによってある程度回復することが可能です。理学療法(歩行訓練)、作業療法(手先の訓練)、言語療法(言葉・嚥下の訓練)などを行い、障害部位の機能回復と残存機能の活用により社会復帰をめざします。