包括同意のお願い
東京都立神経病院は、神経難病の専門病院として、神経・筋疾患等の医療を提供しています。
しかし、神経難病の多くは、原因が不明で治療法が確立していのが現状です。当院は医療の提供のみならず、難病の原因究明や新たな治療法の確立に向けて、医学研究にも取り組んでいます。医学研究を進めるにあたり、ぜひ、患者の皆様のご協力をお願いいたします。
また当院の診療では、さまざまな検査・治療等を行います。これらの検査・治療等については原則的には医師が説明を行った上で施行いたします。しかし、危険性の高いもの、特殊なもの等につきましては個別に書面で説明して同意の確認をいたします。他方、危険性が低い一般的な検査・治療等(一般的診療)につきましては、診療を円滑に進めるために、予め包括的な同意を頂いていることを前提として、個々の同意を頂かない場合(包括同意)があります。
ここでは、当院にて診療を受ける患者の皆様にご了解いただきたい包括同意に関する事項を掲示させていただきますので、是非ご一読ください。
なお、ご協力(包括的同意)をいただける場合は、特段手続きはございません。掲示の内容について個別に同意いただけない場合や疑問等がございましたら、受診する診療科の担当医、もしくは医事課「患者の声 相談窓口」までお尋ねください。
包括同意とさせていただく事項
診療行為に関するもの
当院で行われる一般的な診察行為(問診、視診、聴診、触診など)は、この病院を受診された目的に照らし、包括的な同意を得ているものとさせていただきます。
次に、診察に伴って行われる患者の皆様の身体に対しての、侵襲のない検査(身長や体重の測定、検温、視力検査など)も、一般的な診察行為と同様に包括的な同意を得ているものとさせていただきます。
また、生体監視モニターの装着などにつきましても、身体への侵襲はほとんど考えられず、全身状態を把握するために不可欠な医療行為として、診療の目的に照らして包括的な同意を得ているものとさせていただきます。
このほか、緊急入院時や病状急変時において病状や全身状態を把握するため、緊急に必要とされる各検査も、その目的に照らして包括的な同意を得ているものとさせていただきます。
診療に伴い発生する試料・情報について
当院では診療のため、検査や治療が行われます。検査では血液、尿、生検試料(診断のため組織の一部を採取したもの)や、手術で切除した組織などが発生します。また、病歴(電子カルテ)、レントゲン画像、各種MRI検査、内視鏡写真などの画像や検査結果が記録されます。
これら「診療に伴い発生する試料・情報」は、診断・治療に必要なものとして採取・収集され、その後一定期間保管しています。
しかし、診療上不必要となった場合でも医学研究のための重要な資料となることがあることから、試料・情報を研究内容や研究者を特定せず、将来の研究に利用することについて、予めご協力をお願いするものです。
なお、研究内容につきましては、神経病院倫理委員会で十分審議し、承認された研究に限り、試料・情報を使用させていただきます。
遺伝子検査を伴う研究について
一部の疾患は遺伝子の変化により発生することがわかっています。そこで、当院で行う医学研究においても遺伝子の変化を調べることがあります。遺伝子には、「親から子へ受け継がれる遺伝子」と悪性腫瘍等のように「親から子へ受け継がれない遺伝子」があります。
「親から子へ受け継がれる遺伝子」については、この包括同意の対象ではありません。必ず、研究ごとに同意・不同意について確認し、同意が得られた場合のみ試料を利用します。
一方、「親から子へ受け継がれない遺伝子」の解析はこの包括同意の対象となります。この場合も、必ず倫理委員会で十分審議し、国の定める倫理指針に基づき実施及び管理していきます。
看護師による特定行為実施について
特定行為とは、医師の判断を待つことなく、特定行為研修を修了した看護師の判断で、医師の手順書により一定の診療補助を実践することです。これにより患者さんの状態に応じ、タイムリーかつ迅速に適切な医療を提供することが可能になります。
[1]特定行為研修の実施
当院は、厚生労働省「特定行為に係る看護師の研修制度」の研修機関として指定を受けており、特定行為研修課程の看護師は、指導医師とともに研修を行っています。
対象の患者さんには事前に説明を行い、患者さんの安全を確保するとともに指導医師の助言や指導を受けて特定行為研修を行います。説明に同意した後でも、研修を拒否することができます。また、拒否したことを理由に治療および看護上の不利益を被ることはありません。患者の皆様の個人情報に関しては、適切に管理いたします。
[2]特定行為の実施
当院では、上記研修を修了した看護師(特定看護師)が医師の指示書に沿って、以下のような特定行為を実施しております。
[3]当院で実施している特定行為(2023年現在)
〇人工呼吸器の調整をします
・呼吸が安定するように人工呼吸器を調整
・状態を観察しながら鎮静薬を調整
・留置された気管チューブの位置の調整
〇動脈血採血や動脈ラインの確保をします
〇一部の点滴の調整をします
〇末梢型中心静脈カテーテルを挿入します
〇褥瘡または慢性創傷の治療における、血流の無い壊死組織の除去をします
〇創傷に対する陰圧閉鎖療法を実施します
研修医・医療系学生の診療への参加及び見学
臨床研修医が適切な指導のもと、診療行為に携わっております。また、当院は医療職の育成を担う臨床実習機関でもあるため、学生や研修生等が厳重な監督の下に見学・実習・研修に参加する場合がございます。
個人情報を含む患者情報の提供について
当院では診療を通じて、患者の皆様の基本情報をはじめ、問診の結果、診療録の記載、X線写真などの画像情報、生理機能検査結果(心電図、超音波検査、聴力検査、平衡機能検査、呼吸機能検査、脳波・筋電図等の神経生理学的検査など)、血液や尿などの検査試料、診断のための生検試料(診断のため組織の一部を採取したもの)、手術で切除した組織やその写真など、診断や治療に必要な診療情報が集積されます。
こうした患者情報は、診療に必要なものとして厳重に管理・保管されていますが、院内・院外において、診療を円滑に実施するため、または患者の皆様が必要とするさまざまなサービスに利用するため、さらには医療や介護サービス業務の維持・改善、医学研究・学術研究などのために使用させていただくことがあります。
また医学研究を行う際にも、個人情報の保護に細心の注意を払い、個人が特定できないよう匿名化するなど、情報管理に万全を期していきます。
詳しくは、「個人情報の取扱について」をご覧ください。
研究に関する同意の自由、撤回
研究にご協力いただけるかどうかは、お一人おひとりの自由です。
また、一度同意した後でもいつでも、その同意を撤回することができます。ただし、不同意の意思表示がない場合には、同意があったものとみなさせていただきます。同意いただけない場合や、同意を撤回する場合には、所定の様式に必要事項を記入、署名または捺印の上、主治医に提出してください。
なお、同意いただけない場合であっても、診療等で不利益を受けることは一切ありません。また、ご協力いただくにあたり、費用はかかりませんが、お礼をお渡しすることもありません。
研究結果の公開と開示
包括的同意を基に行った研究の成果は、社会に還元するため、学会や科学専門誌などにおいて公開されます。その際も個人が特定できるような情報はすべて取り除いて行います。
なお、学会等での公開を以て、ご協力いただいた皆様へのご報告に代えさせていただきます。
ただし、重要な結果が得られ、その結果を知ることが、患者の皆様やご家族にとって非常に有益であると判断した場合には、神経病院倫理委員会で審議し、ご連絡させていただくことがあります。
その他
研究の結果によっては、知的財産権が生じる場合があります。この場合には、その権利は当院に帰属します。
包括同意を得て行った研究を含め、当院で行った研究については、「実施する研究の題名」と「研究の概要」を当院ホームページ等で公開します。
相談・問い合わせ先
【受付日時】
月曜日~金曜日 9:00~17:00
土曜日 9:00~12:00
【問い合わせ先】
神経病院1階受付「患者の声相談窓口」
【窓口責任者】
事務局医事課長 武田 秀章