泌尿器科

診療内容・特色

泌尿器科

 がんを中心に泌尿器科領域全般について診療しています。膀胱鏡検査、超音波検査、排尿機能検査等は受診当日に行い、尿路造影等の画像検査は予約制ですが、原則的に撮影当日に結果を説明するようにして患者さんの通院回数を少なくするよう努めております。前立腺生検も予約制で通常は外来通院で行っています。また、外来での化学療法(抗がん剤治療)を積極的に行っています。外来診療は基本的に予約制ですので、緊急以外は是非予約をしてから来院してくださるようお願いします。

なお、悪性疾患については、早期の診療に対応するため、専用の外来診療枠を設けています。この診療枠は、連携医療機関以外の医療機関からもFAXによる診療予約を受け付けていますので、是非ご活用ください。

入院治療は悪性疾患に対する治療を優先させて頂いています。手術日は基本的に(火)・(木)で、泌尿器科領域全般の手術をスタンダードな方法で行っております。特に内視鏡手術に用いる器具が揃っており、可能な限り低侵襲治療である内視鏡手術をお勧めしています。腹腔鏡下手術も副腎・腎臓摘出の適応例に行っています。また、癌であっても適応があればなるべく臓器を温存するよう努めています(膀胱癌・腎癌)。これら入院治療にあたっては、できるだけ均質で安全な医療を提供できるよう、クリニカルパスを用いて行っています。

当科の治療方針

  • 尿路結石に対しTUL(経尿道的尿管砕石術)を施行します。TULでは、 レーザーおよびリソクラスト(空気圧振動)の用意がありそれぞれ適切な方法を選択できます。大きな腎結石に対しては経皮的腎砕石術も行い、難治性尿路結石も含めあらゆる尿路結石に対応できます。
  • 副腎・腎臓摘出においては、腹腔鏡手術も施行しています。
  • 前立腺肥大症に対しては、最もスタンダードな内視鏡的切除術 (病理組織検査が可能:癌の合併をチェック)にて施行しております。
  • 透析は、当院の腎臓内科にて実施しております。

前立腺肥大症

現在様々な治療法が開発されておりますが、当科は最もスタンダードな経尿道的前立腺切除術(TUR-P)を基本としています。これは治療効果が大きく、また病理組織検査が可能である点を重視しているためです。約1週間の入院となります。

前立腺癌:

前立腺癌が年々増加しています。当院では経直腸的超音波ガイド下前立腺生検を外来で行って診断しています。外来で何度か行っても確定診断が得られない場合には、入院にて麻酔下で行っています。治療は手術(根治的前立腺摘除術)、ホルモン療法、放射線療法(外照射)を単独または併用で行っています。年令・癌の性質・癌の進行度ならびに患者さんの希望により適切な治療法を決定します。根治的前立腺全摘除術では、あらかじめご自身の血液を貯血しておいて、手術中に戻すという自己血輸血を行っています。術後の尿失禁や性機能障害が問題となりますが、尿失禁が見られる頻度、期間は年々減っています。性機能障害を避けたい場合には可能な限り神経温存を行っています。入院期間は約2週間です。

膀胱癌

表在性(筋層非浸潤性)の場合は、内視鏡的に治療を行っています(4~7日間の入院となります)。筋層浸潤性の場合には膀胱をなるべく温存できるよう、膀胱部分切除術や動注化学療法を行っています。膀胱全摘除術を必要とする場合、その後の尿路再建法としてご希望に応じて回腸新膀胱を造設しています。これだと尿道からの自然排尿が可能となりますが、必ずしも全ての場合で可能な訳ではありません。術後約4週間の入院となります。

腎癌

手術を第一選択の治療法としています。腫瘍径が小さい場合には可能な限り腎温存を目指して腎部分切除術を行っています。全摘が必要な場合には腹腔鏡下の手術も行っています。その後に補充療法が必要な場合や手術が行えない場合には、分子標的薬による治療を行っています。

勃起不全、性機能障害

保険外診療のため、当科では治療を行っていません。

尿路結石

現在、当院では手術を行っていません。

早急に治療を要する病気

精巣(睾丸)捻転

幼児期から思春期に多く、突然睾丸に激痛が生じ、腫れてきます。数時間以内に手術が必要なことがあります。15歳以下の方は小児総合医療センターでの治療になりますが、16歳以上の方は当科で診断・治療を行います。

急性腎盂腎炎

膀胱炎だけでは発熱しません。膀胱炎の症状(頻尿、残尿感、排尿時痛など)と発熱があったら、すぐに受診しましょう。膀胱炎症状がなくとも、発熱と腰の脇に痛みがあると腎盂腎炎の疑いがあります。早めに抗菌剤による治療が必要です。

膿腎症

上記の腎盂腎炎が尿管結石等の尿路の病気に合併した場合、抗菌剤による治療を行っても高熱が続くことがあります。こうした場合手術(経皮的腎瘻造設術)が必要になることがあります。

尿路結石

脇腹から下腹部の範囲に激痛、仙痛が生じます。鎮痛剤にて軽減しますので、ほとんど入院治療の必要はありません。但し、発熱を伴った場合には入院が必要になることがあります。

尿閉

前立腺肥大症の方が、飲酒や風邪薬服用などにより、尿が出なくなることがあります。この際は尿道から管を入れて尿を出す必要があります。

お勧め

前立腺癌の検診

50歳以上の男性には前立腺癌のマ-カ-であるPSA(前立腺特異抗原)のチェクをお勧めします(血液検査)。早期前立腺癌の発見が可能です。

尿失禁(尿漏れ)

恥ずかしいことではありません。気軽にご相談ください。

当科の最新の検査と治療

1.ロボット支援腹腔鏡下根治的前立腺摘除術

ロボット支援腹腔鏡下根治的前立腺摘除術は、根治的前立腺摘除術をロボット支援下に行うものですが、従来の手術に比べてより繊細で、正確な手術を行うことができ、傷が小さく痛みが軽度で、手術後の回復が早い、手術中の出血量が少ない、尿禁制(尿失禁がない状態)を含む機能温存などにおいてより優れていると考えられています。手技的には、腹腔鏡手術と類似の操作をロボット支援下に行います。 

da Vinciサージカルシステム

2.ロボット支援膀胱全摘除術

ロボット支援膀胱全摘除術(RALC)は、膀胱全摘除をロボット支援下に行うものですが、従来の手術に比べてより繊細で、正確な手術を行うことができ、術中出血量減少、傷が小さく痛みが軽度で、術後早期回復が期待できます。

3.ロボット支援腎部分切除術

ロボット支援腎部分切除術(RAPN)は、腎部分切除をロボット支援下に行うものですが、従来の手術に比べてより繊細で、正確な手術を行うことができ、傷が小さく痛みが軽度で、正確で迅速な腫瘍切除が可能で、切除面の縫合も極めて容易となることから、腫瘍部分を切除する際に行う腎血流遮断時間の短縮につながると考えられています。

4.MRI-経直腸エコーfusionガイド下ターゲット生検

MRIは優れた前立腺癌の局在診断が可能です。生検前に施行したMRI画像を取り込み同期できる超音波装置を導入しました。これによりMRI/超音波(US) fusion下生検と呼ばれる、従来の方法より正確なターゲット生検が可能になりました。

5.アミノレブリン酸(5-ALA)を使用した蛍光膀胱鏡補助下経尿道的膀胱腫瘍切除術 (TUR-Bt)

筋層非浸潤性膀胱癌に対してTUR-Btが一般的に行われています。しかし、内視鏡で視認し難い微小病変や異形成、上皮内癌(carcinoma in situ: CIS)などの平坦病変が腫瘍の残存に関連していると考えられています。これら視認困難な病変に対して、認識しやすくするために光感受性物質5-ALAを用いた光力学診断が、昨年12月に保険適応されました。当院は保険承認に先立ち2011年より行っており、東京都で現在光力学診断が行える4施設の内の1つです。 

蛍光膀胱鏡1
蛍光膀胱鏡2

以上のように、当科では最新の治療を積極的に取り入れており、患者様の多様な要望に出来るだけ答えられるように努力しております。多摩地区の地域医療に貢献できるよう邁進したいと存じますので、引き続きご指導、ご支援の程、よろしくお願い申し上げます。