耳鼻咽喉・頭頸部外科

診療内容・特色

耳鼻咽喉・頭頸部外科は「耳・鼻・ノド」に加え、顔や首を含む広い範囲の病気を扱います。当科の場合、病気の種類でいえば、頭頸部ガン(舌癌・口腔癌・甲状腺癌を含む)や腫瘍、痛み・発熱や排膿を伴う炎症性疾患、器官の働きに異常がある機能障害等を取り扱っています。当科の特色は東京都の中でも手術件数が多く、年々増加していることです。手術待ちの期間を極力短縮するために調整を行い、早期の治療が必要な方でも1ヶ月以内に手術ができるようにしております。 また、軽微な手術の場合なら、全身麻酔でも1~2泊の短期入院手術を推進しています。頭頸部癌の手術は頭頸部がん専門医認定施設、甲状腺の手術は内分泌・甲状腺外科専門医認定施設、顕微鏡下・内視鏡下耳手術は耳科手術認可研修施設、内視鏡下鼻副鼻腔手術は鼻科手術認可研修施設で受けられることをお勧めします。また、当科は隣接する都立小児総合医療センターへの診療支援(外来および手術)も行っています。

都立小児総合医療センター 耳鼻咽喉科

耳鼻咽喉科専門医9名、頭頸部がん専門医4名、内分泌・甲状腺外科専門医2名が診療の中心となりカンファレンスを行い、治療方針を決定しています。手術日には都立神経病院と都立小児総合医療センターの医師の協力を得て、毎日5つの外来ユニットにて診療を行っています。外来では平日の午前中に初診の患者さんを受け付けておりますので、電話でご予約ください。一般外来は紹介状無しでも診察できます。また、毎週水曜日は「神経耳科外来」として、神経病院神経耳科スタッフによりめまいの患者さんについて専門的な診療を行なっています。紹介状が必要ですのでご用意ください。

病気・治療について

耳の病気

症状としては、難聴・耳漏(みみだれ)・めまい・顔面神経麻痺(顔の動きが悪くなる)などがあります。

慢性中耳炎や真珠腫性中耳炎が多く、耳漏(みみだれ)や難聴を改善するために鼓室形成術を行っています。耳硬化症に対してはアブミ骨手術を行います。保存的治療での効果の無い高度の顔面神経麻痺に対しては顔面神経減荷術を行います。患者さんの病気の状態によって顕微鏡下耳手術だけでなく、内視鏡下耳科手術も行っています。

鼻・副鼻腔の病気

症状としては、鼻閉(鼻づまり)・鼻汁・嗅覚低下(においがしない)・くしゃみなどがあります。 鼻の病気で眼の症状(眼球突出・視力障害・流涙など)がでることもあります。 鼻の病気では、慢性副鼻腔炎・嚢胞・良性腫瘍が多く、ハイビジョン内視鏡を用いた内視鏡鼻内手術(ESS)を行っています。ほとんどの症例で内視鏡手術のみで治療が可能です。当科での内視鏡鼻内手術では、基本的に術後にガーゼを挿入せずに行っているため、短期入院が可能であり、術後の痛みはかなり軽減されています。 また、鼻涙管閉塞による流涙(涙目)に対して内視鏡下涙嚢鼻腔吻合術(DCR)を行っています。 さらに、アレルギー性鼻炎に対しては、外来でのレーザー治療を行っていますが、鼻閉・鼻汁・くしゃみのひどい難治性アレルギー性鼻炎に対して後鼻神経切断術を行っております。 外傷による眼窩骨折に対して内視鏡手術による整復術、陳旧性の鼻骨骨折に対して外鼻形成術を行っています。 上顎癌などの悪性腫瘍に対しては、病気の進行に応じて手術・化学療法(抗ガン剤)・放射線療法を組み合わせて治療を行います。また、機能を温存するために超選択的動注療法も行っています。

咽頭の病気

症状としては、咽頭痛・嚥下困難(飲み込みにくい)などがあります。 咽頭の病気では、慢性扁桃炎などの良性疾患に加え、舌癌・咽頭癌などの悪性腫瘍が多く、悪性腫瘍に対しては機能(食べたり話したりすること)をできるだけ残すように手術・化学療法(抗ガン剤)・放射線療法を組み合わせて治療を行います。 また、癌の進行がある場合でも、拡大手術によって病気を切除し、遊離組織(皮膚・筋肉・腸管)を使用して再建する手術を行っております(形成外科との合同手術)。

喉頭の病気

症状としては、嗄声(声がれ)・呼吸が苦しい・誤嚥(飲んだものが気管に入りむせる)などがあります。 喉頭の病気では、声帯ポリープなどの良性疾患に加え、喉頭癌などの悪性腫瘍が多く、悪性腫瘍に対しては機能(食べたり話したりすること)をできるだけ残すように手術・化学療法(抗ガン剤)・放射線療法を組み合わせて治療を行います。 また、癌の進行がある場合でも、拡大手術によって病気を切除し、遊離組織(皮膚・筋肉・腸管)を使用して再建する手術を行っております(形成外科との合同手術)。喉頭癌や下咽頭癌によって喉頭全摘をした場合に、音声を獲得するためにプロボックスを使用した気管食道シャント術も積極的に行っております。 脳梗塞や神経疾患の患者に対する誤嚥に対しては、誤嚥性肺炎を防止するために、喉頭気管分離術を行っています。 陳旧性の反回神経麻痺による嗄声改善のために、甲状軟骨形成術・披裂軟骨内転術を行っています。

頸部・顔面の病気

頸部の病気の症状は、首や顔面の腫瘤(しこり)・腫れ・痛みなどがあります。 耳の周りの腫瘤(しこり)は耳下腺腫瘍(良性・悪性)が多く、顔面神経を温存して腫瘍を摘出します。 頸部の腫瘤(しこり)は良性のものから悪性のもの(癌のリンパ節転移など)まで様々ですが、甲状腺腫瘍(良性・悪性:甲状腺癌)が一番多く、病状に応じて治療方針を決めています。

頭頸部腫瘍

頭頸部腫瘍は、口腔内・咽頭・喉頭・鼻・耳・甲状腺・唾液腺(耳下腺)・頸部にできる良性腫瘍および悪性腫瘍(主に癌)を扱います。頭頸部領域はものを食べたり、声を出したりする場所のため、できるだけ機能を温存した治療を行います。治療は手術が中心となり、癌の進行がある場合でも、拡大手術によって病気を切除し、遊離組織(皮膚・筋肉・腸管)を使用して再建する手術を行っております(形成外科との合同手術)。しかし、癌の場所によっては放射線や化学療法(抗ガン剤)を組み合わせて治療を行います。また、上顎癌などに対しては、放射線医による超選択的動注療法(癌の栄養血管に抗ガン剤を直接注入する治療)も行っています。内服治療でコントロール困難なバセドウ病(甲状腺機能亢進症)に対しては、手術的治療(甲状腺全摘術・亜全摘術)を行います。原発性副甲状腺機能亢進症や副甲状腺腫瘍に対して、副甲状腺摘出術を行います。 喉頭癌や下咽頭癌の患者さんで、喉頭全摘(遊離空腸再建を含む)を行った方で、発声機能獲得のためのボイスプロテーゼの挿入(気管食道シャント術)も行っております。病気の状態によっては、光免疫療法(イルミノックス療法)も行っています。