「おなかのヘルニアセンター」について
令和6年8月1日に、「おなかのヘルニアセンター」を立ち上げました。
「おなかのヘルニア」とは、腸などの内臓が本来あるべきお腹の中からはみ出てしまう状態(いわゆる脱腸)を言います。「おなかのヘルニア」は立った時やお腹に力を入れた時などに内臓が膨らんでお腹の部分が膨らむのが典型的な症状です。鼠径部ヘルニア・腹壁瘢痕ヘルニア・食道裂孔ヘルニア・傍ストマヘルニアなどがあり、なかでも頻度が高い鼠径部ヘルニアとは、足の付け根から陰嚢の辺りが腫れるヘルニアです。小児に発生するものと成人に発生するものがありますが、成人の場合は加齢などの影響で内臓に最も近い組織である腹壁が弱くなって発生します。
「おなかのヘルニア」は薬や自然に治るものではありません。例えば、くしゃみ、排便、重いものを持ちあげた際におなかに急に強い圧がかかると、一度に多くの臓器が筋肉のすきまからはみ出ることがあります。筋肉のすきまがはみ出た臓器を締め付け、そのすきまに臓器が入り込み戻らなくなる状態を嵌頓(かんとん)といい、嵌頓はそのまま放っておくとはみ出た臓器が腐ってしまい、腸を切ってつなぐ緊急手術が必要となります。そのため、「おなかのヘルニア」は痛みがない場合でも適切で早い時期に手術を行うことが大切です。
「おなかのヘルニアセンター」ではロボット手術システム(da Vinci ダビンチ)を導入し、消化器外科・外科が協力してヘルニアの診療と手術をトータルに行っております。
ヘルニア治療の経験が豊富な医師らが、先進的な医療を患者さんに提供してまいります。
※小児の鼠径ヘルニア・臍ヘルニアの診療は行いません。
※地域の医療機関の皆さまへ
鼠径部あたりに違和感を感じる患者さんがいらっしゃれば、遠慮なく当院へご相談ください。
特徴
- 内視鏡外科学会技術認定医をはじめとするヘルニア治療のスペシャリストが確かな技術のもと安全な手術を実施
- 臓器グループを跨いだメンバー構成により、鼠径部ヘルニアのみならず、腹壁瘢痕ヘルニアや食道裂孔ヘルニア、傍ストマヘルニア等、困難なタイプの腹部ヘルニアに対応可能
25の診療科を設置した総合診療基盤を活かして、重度の並存疾患を抱える患者さんへも対応(特に合併症をおこしやすい高齢者や心疾患、腎疾患等をお持ちの患者さんには、循環器内科や腎臓内科などの専門医と協力しながら治療)
鼠径部切開法と腹腔鏡下鼠径ヘルニア修復術の他、ダビンチ手術を提供することで患者さんの選択肢の幅を広げ、個々の患者さんの既往歴や併存症なども考慮した手術を実施
多職種からなる患者・地域サポートセンターが、周術期を安心して過ごせるよう支援するとともに、患者さんがより早く社会復帰できるようにサポート
ヘルニアに特化して診察する専門外来を新設し、地域からの紹介を受付け
外来診察日
【おなかのヘルニアセンター】外来診察日についてはこちら
※「おなかのヘルニアセンター」でなくとも、消化器外科および外科の外来でもヘルニアの診療をいたします。
【消化器外科】外来診療日についてはこちら
【外科】外来診療日についてはこちら
治療法
「おなかのヘルニア」は自然に治るものではないため、早めの受診と適切な時期に手術を行うことが大切です。
「おなかのヘルニアセンター」にて行う治療には次のようなものがあり、年齢、基礎疾患に応じて患者さんとともに最も適した治療法を選んでいただけるようにしております。ロボット支援下鼠径部ヘルニア修復術(保険外診療)
お腹に8mmほどの穴を開けて内視鏡カメラやロボットアームを挿入します。従来よりも小さな傷で手術が可能なため、術中の出血が少ない、術後の痛みも少ない、回復が早いといったメリットがあります。また、腹腔鏡下鼠径ヘルニア修復術よりも鮮明な内視鏡カメラと人間の手の限界を超えた精密さ・正確さで動くロボットアームを使用するため、従来の手術法よりも安全性が高いといったメリットもあります。
「おなかのヘルニアセンター」では、消化器外科のすべての医師がダビンチ手術の免許を有しています。また、日本内視鏡外科学会技術認定医3名(ヘルニア領域取得1名)が在籍しております。
※ロボット支援下鼠径部ヘルニア修復術は、令和6年8月1日より自費診療で開始しました。da Vinci(ダビンチ)の詳細はこちら
腹腔鏡下鼠径ヘルニア修復術
お腹に1~3か所の穴を開けて腹腔鏡という細いカメラと鉗子(かんし)を挿入し、お腹の中の映像をテレビモニターで見ながら治療する手術法です。鼠径部切開法よりも小さな傷で手術が可能なため、術中の出血や痛みが少ないといったメリットがあります。
鼠径部切開法
お腹を4~6cm切開し、ヘルニアの穴をメッシュによって補強する、標準的な手術法です。
手術費用
ロボット支援下鼠径部ヘルニア修復術(保険外診療) 腹腔鏡下鼠径ヘルニア修復術 鼠径部切開法 費用
(3割負担)約56万円(※1) 約23万円 片側:約11万円
両側:約13万円- (※1)手術費用は腹腔鏡下鼠径ヘルニア修復術と同様ですが、ロボット支援下鼠径部ヘルニア修復術では麻酔を含めた手術料金が、約38万程度となります。また、術前検査、術前・術後外来、入院(約3日間)の費用で約56万となります。必要な検査や治療のため追加料金が必要になることがありますが、全て自費診療となります。
診療科について
消化器外科についてはこちら
外科についてはこちら