顔⾯けいれん外来

この外来では、主にボツリヌス療法を行なっています。

顔面けいれんについて

顔面けいれんは、自分の意志とは無関係に、片側の顔面の筋肉が収縮して引きつれる病気です。特に眼の周囲の筋肉(眼輪筋)が、不随意に収縮して、ものが見えづらくなり、運転など日常の行動にも支障が出てくることがあります。原因としては、顔の筋肉を動かす顔面神経に脳血管が接触することにより、神経の異常興奮が起こるためとされています。
この病気に対する治療法は基本的には2つです。1つは病気の原因である神経への血管の接触に対する根本治療である手術で、微小血管減圧術と言われ、血管による顔面神経への圧迫を取り除きます。もう1つは対症療法であるボツリヌス療法です。

眼瞼けいれんについて

眼瞼けいれんは、両目の周りの筋肉がけいれんして、目があけにくくなったり、まばたきがうまくできなくなる病気です。
原因が完全には解明されていないため、症状を抑える治療(対症療法)が中心となっています。

ボツリヌス療法について

ボツリヌス療法とは、ボツリヌス菌が作り出すボツリヌストキシンを注射して、緊張している筋肉を麻痺させ、異常な筋肉の緊張によって起こる眼瞼けいれんや片側顔面けいれんの症状を改善する治療方法です。

ボツリヌス療法は、病的に収縮する筋肉に、希釈したA型ボツリヌストキシンを直接注射するという方法で行われます。入院する必要はありません。ボツリヌス菌は食中毒の原因となる細菌で、その菌が作る毒素(ボツリヌストキシン)を利用します。注射液の中にはボツリヌス菌は入っていませんから、注射した後、その場所でボツリヌス菌が増えるなどということは、決してありません。ボツリヌストキシンは、神経から筋肉への伝達を遮断するため、筋肉の緊張がなくなります。ボツリヌストキシンは、注射した筋肉とその周りにある筋肉にだけ働き、筋肉の収縮がなくなります。
ボツリヌス療法
治療当日にはほとんど効果はみえませんが、2~3日すると徐々に効果が現れてきます。治療の効果は1~2週間程度で安定し、数カ月持続した後、数週間かけて効果が消えていきます。そのため、症状が再び出てきたら、再度治療を行います。
当日こそ入浴や激しい運動はしないようにおすすめしていますが、翌日以降は、これまでと同じように過ごすことができます。ただ、いつでもすぐに治療できるわけではありません。この薬は病院では保管できず、必要な分だけが病院に届けられるという厳しい手続きで使用されるため、原則として、
1.診療
2.注射
3.注射の効果判定
のため、1週間ごとに3回来院していただきます。

当院では、このボツリヌス療法を、顔面けいれん、眼瞼けいれん、痙性斜頚の患者さんに使用しています。
ボツリヌス療法