脳神経内科
脳神経内科は、英語で'Neurology'と標榜され、欧米では一般の方々にも正確に認識されていますが、日本では他の診療科に比べて未だ馴染みの薄い、理解の難しい診療科のようです。日本では1967年頃から専門診療科として独立し現在では多くの大学病院および地域の病院に脳神経内科が開設されています。都立総合病院では、平成6年10月、新荏原病院開設と同時に独立標榜科として「神経内科」が設置されました。(令和7年4月からは、「脳神経内科」と標榜)
脳神経内科は、脳・脊髄・末梢神経・筋肉の障害を対象に診療を行います。
該当する主な症状は意識障害、高次脳機能障害(失語;言葉が出なくなったり、相手の話が理解できなくなる、失行;普段行っている動作が麻痺などないにもかかわらず出来なくなる、失認;指や体の部位が分からなくなる等)、認知機能障害、脳神経障害(嗅覚の障害や視力低下・複視などの目の症状、顔面の感覚障害や麻痺、呂律不良、咀嚼や嚥下の障害等)、運動障害(手足の麻痺による歩行障害等)、感覚障害(四肢や体感のしびれや感覚低下などの感覚異常や深部感覚障害)失調(体幹のバランス不良や四肢の麻痺がないにもかかわらずうまく四肢のコントロールできない症状)、自律神経障害(頑固な便意や排尿障害、起立性低血圧、発汗異常)と多岐にわたり、これらを有する疾患が対象となります。
これらの症状が脳・脊髄・末梢神経・筋の一次的障害によるものではなく、内科疾患や骨疾患等による二次的障害の場合もありますが、それらを鑑別し、最も適当な診療科へ紹介するのも脳神経内科の役目です。
特色
救急診療体制
平日昼間には脳神経内科で、夜間並びに土・日・祝日は脳神経外科と協力して当直医師を配置し神経疾患の救急診療にあたっています。
症状の軽重にかかわらず意識障害、麻痺、急性のめまい、頭痛等が起こった場合は、神経系に重大な障害が発生したことを意味していますので、時を移さず専門医師の診断を受けるようお勧めます。
神経難病医療
神経難病(多発性硬化症、視神経脊髄炎スペクトラム障害、重症筋無力症、慢性炎症性脱髄性多発神経炎、パーキンソン病関連疾患、脊髄小脳変性症、多系統萎縮症、筋委縮性側索硬化症、ミトコンドリア脳筋症など)は原因が解明されておらず、真に有効な治療法が確立されていない慢性疾患ですが最近はかなり有効な治療法も次々と確立されつつあります。特に若い方に多い多発性硬化症や視神経脊髄炎スペクトラム障害の治療の進歩は目覚ましく、早期に診断・治療をすることで、日常生活を問題なく過ごすことも可能となってきております。難病は文字通り診断の難しい症例もあります。セカンドオピニオンもおこなっておりますのでご希望の方はあらかじめ病院にご相談ください。
また脳神経内科では専門医のもと多くの治験も行っておりますので、当該疾患の患者さんでご興味のある方はお尋ねください。
認知症疾患医療センター
当院脳神経内科部長がセンター長を併任しているため、種々の講演や行政で行っている認知症検診、運転免許外来などを行っております。どうぞご活用ください。
専門外来として物忘れ外来も行っています。また随時セカンドオピニオンも行っております。