都立病院の役割
- 都立病院は、高水準で専門性の高い総合診療基盤に支えられた「行政的医療」を提供することを基本的役割としており、行政的医療の提供や強みとなる医療の提供を通じて、各医療分野において都の拠点としての役割を担っています。
- 一方、都は、今後の高齢化の進展を見据え、平成28年7月に東京都地域医療構想を策定し、地域医療提供体制のあるべき姿を示しました。地域医療構想の実現に向け、今後、地域の医療提供体制が大きく変化していくことが予想されます。
- このような地域医療の変革の過渡期において、都立病院は、基本的役割である行政的医療の提供に加え、地域医療構想の実現に向けて率先して取り組み、将来にわたり安定的かつ継続的に都民の医療に対する期待に応えていかなければなりません。こうした状況を踏まえ、都立病院は今後、以下の2つの役割を担っていきます。
役割1 行政的医療の安定的かつ継続的な提供
都立病院は、今後も、高水準で専門性の高い総合診療基盤に支えられた「行政的医療」を適正に都民に提供し、他の医療機関等との適切な役割分担と密接な連携を通じて、都における良質な医療サービスの確保を図ることを基本的役割とします。
また、都立病院は、全ての都民のための病院であり、限られた医療資源を最大限有効に活用し、より多くの都民に都立病院の持つ高水準の医療機能を活かした適切な医療を提供していくため、対象範囲を原則として都全域(三次保健医療圏)あるいは複数の二次保健医療圏とし、主として急性期の患者を対象とします。
役割2 地域医療の充実への貢献
都立病院は、高水準で専門性の高い総合診療基盤や医療人材を最大限活用し、地域医療機関等とのネットワークを一層強化することにより、地域の状況に応じて、地域医療の充実に貢献していきます。
行政的医療一覧
1 .法令等に基づき、対応が求められる医療
法令上又は歴史的経過から、行政の積極的な関与が期待され、主体となって担うべき医療
- 精神科救急医療
- 精神科特殊医療(医療観察法)
- 結核医療
- 感染症医療(主に一・二類)
- 災害医療
2.社会的要請から、特に対策を講じなければならない医療
都民ニーズ、患者ニーズに比較して、一般医療機関等のサービス提供が質的・量的に不足する医療分野について、都の医療政策を推進する上で担うべき医療
(1)一般の医療機関での対応が困難な医療
多様なマンパワーの確保や特別な対応が必要で採算確保が難しいことなどから、民間の取組が困難な医療
- 小児特殊医療(心臓病・腎臓病等)
- 難病医療
- アレルギー疾患医療(重症・難治性)
- 精神科身体合併症医療
- 精神科特殊医療(アルコール・薬物依存等)
- 造血幹細胞移植医療
- エイズ医療
- 特殊救急医療(熱傷等)
- 障害者合併症医療
- 障害者歯科医療
- 島しょ医療
(2)都民ニーズが高く、高度な医療水準とそれを支える総合診療基盤により対応する医療
都民ニーズが高く、総合診療基盤に支えられた、より高度な医療や、合併症等への対応等、他の医療機関を補完するために担うべき医療
- 周産期医療(MFICU・NICU 対応等)
- がん医療(難治性・合併症併発等)
- 救急医療(三次・CCU・SCU・二次(休日・全夜間))
3 .新たな医療課題に対して、先導的に取り組む必要がある医療
時代に応じた新たな医療課題に対して、一般医療機関の医療提供体制が確立するまでの間対応する医療
- 小児がん医療
- 小児精神科医療、思春期医療
- 移行期医療
- 外国人患者への医療
各病院の類型化
二つの役割を効果的かつ効率的に果たしていくため、病院の地域特性や医療機能に応じた基本的機能や取組の方向性を明確化します
- 都心部のように高度な医療を提供する施設が集積している地域や、区東部地域・多摩地域のように医療資源が必ずしも十分でない地域など、各都立病院の所在する地域により医療資源の保有状況は大きく異なります。
- また、医療機能に着目すると、都立病院は総合病院型(広尾病院、大塚病院、墨東病院、多摩総合医療センター)と専門病院型(駒込病院、神経病院、小児総合医療センター、松沢病院)とに分けることができ、それぞれが果たすべき役割は大きく異なります。
- 都立病院が前述する二つの役割を効果的かつ効率的に果たしていくためには、適正な規模の下、地域特性や医療機能に応じて取組の方向性をよりわかりやすくすることが重要であり、改めて以下のとおり類型化しました。