2024年10月30日 婦人科でダビンチSPを用いた手術を実施しました 

婦人科でダビンチSPを用いた手術を実施しました

更新日:2024年11月

 2024年10月30日、婦人科において、ダビンチSPを用いた手術としては当科の1症例目となるロボット支援腹腔鏡下子宮全摘手術を実施しました。これまで当院で施行してきたダビンチXi手術では5つのポート(径1cm前後の器具を挿入する筒)創部を必要としますが、ダビンチSP手術では臍部2.5cm程度の創部1箇所のみで手術が可能です。腹腔内での操作はこれまでのダビンチXiと同様にミリ単位で制御可能で、操作性も非常に良く、ロボット支援手術の新たな可能性を感じさせてくれました。術後経過は非常に良好で、創部の痛みも殆ど感じられず、術後4日目に退院されました。

 執刀医からのメッセージ

婦人科 医長 谷川道洋
 ダビンチSPは「シングルポート」、いわゆる単孔式にロボット手術を行う革新的な手術支援ロボットです。
 臍部を用いた単孔式の腹腔鏡下手術は婦人科の領域でも従来から行われてきました。しかしながら、ストレートにしか進めない腹腔鏡鉗子では鉗子同士が腹腔内で交差して干渉するため、習熟が難しく、これまでなかなか普及して来なかったのが実際です。ダビンチSPでは1つのポートからカメラと3本の細い鉗子が入り、ロボット支援下で単孔式腹腔鏡手術を行います。ロボット鉗子にはエルボーとリストという2つの関節が備わっていて、体腔内で干渉なく自在に操作が可能です。これにより従来の腹腔鏡の鉗子、さらには人の手よりも広範囲で自然な可動域をもって、精緻な手術を実現します。ダビンチSPのロボットアームは360°回転可能で、カメラにも関節機能を搭載しています。これにより、腹腔内のあらゆる術野に迅速にアプローチが可能です。

 シングルポートから腹腔内のどの場所にも到達し、精緻な手術が行える手術支援ロボット。
 根治性の高い低侵襲の婦人科がん手術を行いたい婦人科腫瘍医の理想と、なるべく早く病気を治して普通の生活に戻りたい患者さんの夢を実現する、婦人科がんに対する低侵襲手術の新たな時代の到来です。
 がん専門病院である都立駒込病院では、安全性・根治性を大前提に、質の高い婦人科がん低侵襲手術をこれからも提供して参ります。