放射線治療とは
放射線治療は腫瘍細胞と周囲の正常細胞の放射線感受性の差を利用して、悪性腫瘍を制御することを目的とする治療法です。手術と異なり痛みを感じることはなく、臓器の機能や形態を維持しながら治療を出来ることが特徴です。
全身の悪性腫瘍の様々な病態で放射線治療が果たす役割に関して知見が得られており、今日では放射線治療は手術、抗がん剤とならび悪性腫瘍(がん)治療の重要な要素となっています。
日本放射線腫瘍学会が作成した放射線治療のイメージ動画です。
当院が撮影地となっていますのでご覧ください。
治療部門案内
放射線治療部は駒込病院の地下3階に位置しています。
6台の放射線治療装置とその他の特殊治療機器で毎日100人近い患者さんが治療を受けています。安全で快適に治療を受けていただけるように、多職種にわたるスタッフが従事しています。
駒込病院・放射線治療部の診療の特色
当院で開催されるほとんどの臓器のキャンサーボード(それぞれの癌の診療に携わる各科医師、職員が集まり、治療の方針を決める会議)に所属しています。各診療部門との連携をとりながら、個々の患者さんの病態に合わせて治療方針を決定しています。治療を受ける患者さんにより精度の高い放射線治療を受けていただくべく、2013年には3台の高精度放射線治療機器を整備し、IMRT(強度変調放射線治療)、IGRT(画像誘導放射線治療)、動体追尾技術を利用した高精度治療に積極的に取り組んでいます。
もちろん技術やハードウエアだけでなく、根拠に基づく診療(EBM)の原則を大切にし、新しい医学知見の治療への早期の適応に努めています。
高精度治療を支える、医学物理士の治療の品質管理や、看護師、診療放射線技師の毎日の診察による副作用の確認など、安全管理活動にも取り組んでいます。「安全への取り組み」のページもあわせてご覧ください。
放射線治療までの流れ
放射線治療外来の受診
初診担当医が放射線治療の適否を判断して、治療の目的、副作用、注意点を説明します。病状によっては追加の検査や放射線治療以外の方法をおすすめする場合があります。
効率的な診療を心掛けていますが、待ち時間が長くなることがあります。
初回受診日は説明と日程調整のみで実際の治療は行いません。放射線治療計画
放射線治療計画CTは、平日の午前中に行います。治療の範囲や方向を決定します。実際の治療時と同じ姿勢で計画用のCT撮影を行います。
放射線治療は毎回同じ姿勢で行う必要があります。治療部位や内容によっては、頭を固定するマスクや体位を保持するための固定具を、個人に合わせて作成します。
必要に応じて造影剤を使用することもあります。
ここで撮影したCT画像をもとに治療計画を立てます。
CT撮影の際に体に印を書きますが、治療を行う際の大切な印となりますので、消さないよう注意してください。放射線治療開始
原則として治療計画の2日後(休日を除く)に、放射線治療を開始します。IMRTなどの特殊治療の場合は6日後など状況により開始日時が異なります。
治療計画の際に付けた印にそって位置合わせをして治療を行います。初回は、計画通りに放射線が当たっているか確認するために、少し時間がかかります。
治療中は痛みがありませんので、動かないようにしてください。
2回目以降の治療は、原則として月曜日から金曜日の週5回、毎日同じ時間に行います。治療時間は、初回の治療の際に選んでいただきますが、予約状況によってはご希望に添えない場合もございます。仕事や用事で時間の調整が必要な場合はご相談ください。放射線治療中の診察
週に1回、放射線治療担当医師の診察があります。医師の診察日以外は、看護師が治療前に体調の確認や問診を行います。
放射線治療中の休み
放射線治療は毎日行います。治療効果を保つためには、治療を休まないことが大切とされています。やむを得ない用事がある場合などは、放射線治療担当医と相談してください。祝日の治療はお休みですが、年末年始、5月、9月の連休は休日でも治療を行うことがあります。
2021年12月更新