診療内容・特色
日本では糖尿病が急増していますが、治療を受けておられる患者さんは半数程度と言われています。それは糖尿病が自覚症状を伴わないことが多いのが原因です。気づいた時には、糖尿病の合併症が進んでしまっていることも少なくありません。糖尿病の治療は早期発見と早期治療が大切です。血糖コントロールに加え、血圧、脂質、体重などの危険因子を管理し、合併症を定期的に検査し、その進行を抑える必要があります。
さらに、心臓病や下肢末梢血管疾患、脳卒中や頸動脈疾患(脳神経内科、脳外科)、腎機能障害や蛋白尿(腎臓内科)、内視鏡検査(消化器内科)、足潰瘍や壊疽(整形外科、形成外科)、網膜症(眼科)などの各臓器の合併症に対し、各科と綿密に協力しながら、1人1人の病状に応じた治療を提供します。
当院では、高齢者や精神科疾患を有する方を多く診療しています。特に精神疾患を有する方では、活動量の低下や、抗精神病薬のために血糖値が上がりやすい背景があり、糖尿病の割合が高いと言われています。
糖尿病教育入院
・3週間コース(月曜日入院、週末外泊)
糖尿病の治療に必要な知識と生活習慣を学びながら、血糖コントロールと合併症の検査をおこないます。入院中に内視鏡検査をおこなうことも可能です。
3週間とやや長く感じるかもしれませんが、当院ではセルフマネジメントが可能となるよう週末の外泊での食事・運動療法に取り組んでいただけるようにしています。
外来診療
・療養指導
医師の診察前後に、糖尿病療養指導士(看護師、管理栄養士)による療養指導(透析予防指導)をおこなっています。
・糖尿病教室
月1回、糖尿病教室を実施しています。(3回を一つのシリーズにして)講義などでの指導をしています。
医師 | 看護師 | 栄養士 | 薬剤師 | 検査技師 | |
第1回 | 糖尿病とは | 食事療法について | 合併症の評価のための検査 | ||
第2回 | 食事療法・運動療法について | 運動療法について | 外食などの利用について | ||
第3回 | 薬物治療について | 合併症予防の食事 | 内服薬・インスリン治療 |
フットケア
足の合併症(潰瘍や壊疽)による切断をなくすため、形成外科医師、認定看護師によるフットケアを行なっています。
特殊検査・治療
・持続血糖モニタリング
小さなセンサーを皮下に装着して、連続して血糖を測定します。日常生活での血糖変動を睡眠中も運動中も測定でき、血糖コントロールの改善に役立ちます。特に低血糖に困っている方は安心して生活できます。
・SAP療法
SAP(Sensor Augmented Pump)療法とは、 リアルタイム持続血糖モニタリングセンサーを併用したインスリンポンプ療法です。インスリンポンプとともにCGMを装着しCGMの値を常にインスリンポンプ画面に表示することが可能です。
インスリンポンプ療法は小さなポンプでインスリンを持続的に皮下注入し、食事ごとに注射を打つ必要がありません。入浴や運動も可能です。プログラムを設定することにより血糖が安定化します。またSAP療法の場合は低血糖になる前に自動的にインスリン注入が停止し、低血糖を未然に防ぎます。
画像診断
血管エコー(頸動脈、下肢動静脈)、心エコー、断層撮影(CT)、核磁気共鳴撮影(MRI)、MRアンギオグラフィー、心筋シンチなどが可能です。
生理検査
大動脈脈波速度(PWV)、上腕足血圧比(ABI)、ホルター心電図、自律神経機能検査など
肥満症、メタボリックシンドロームやサルコペニアの評価のため、In Body S10を用いた体組成分析検査を行なっております。筋肉量や体脂肪・内臓脂肪変化を評価することで食生活習慣改善の効果判定などに有用です。