消化器科 診療内容

診療内容

消化器科で対応している症状

当科では以下の症状に対して診断・治療を行っています。そのほかにも消化器症状でお困りの際は当科へご相談ください。

  • 嘔吐 数日間持続する場合や反復する場合、胆汁性嘔吐など
  • 吐血 原因不明の場合や反復する場合、心窩部痛、貧血を伴う場合など
  • 便秘 治療に難渋する場合、体重増加不良や嘔吐などの随伴症状がある場合など
  • 血便 黒色便、粘血便、鮮血便、発熱や体重減少などの随伴症状がある場合など
  • 下痢 2週間以上持続する慢性下痢や、体重減少や血便などの随伴症状がある場合など
  • 腹痛 突然発症、限局性、反復性、持続性、腹膜刺激兆候を有する場合など
  • 誤飲 異物誤飲が疑われる場合はER受診のうえ、内視鏡的異物除去を行います。
  • 黄疸・肝機能障害 
  • 膵逸脱酵素上昇
  • 肛門周囲膿瘍、痔瘻など
  • 全身状態の悪化を伴う場合など、緊急を要する場合にはER受診もご検討ください。

消化器科で対応している主な病気

腹痛や下痢の原因である過敏性腸症候群や治療に難渋している便秘症などの一般的な病気から炎症性腸疾患、好酸球性消化管疾患などの指定難病まで幅広く対応しています。また肝臓、膵臓の病気にも対応しておりますので、お困りの際はご相談ください。

  • 炎症性腸疾患:潰瘍性大腸炎、クローン病、腸管ベーチェット病
  • 機能性消化管疾患:過敏性腸症候群、機能性ディスペプシアなど
  • 胃・十二指腸潰瘍、ヘリコバクターピロリ菌感染症
  • 難治性便秘症
  • 難治性下痢症
  • 好酸球性食道炎・胃腸炎
  • 消化管アレルギー
  • 消化管ポリープ/ポリポーシス
  • 消化管異物
  • 総胆管結石
  • 膵胆管合流異常症
  • 反復性膵炎
  • 肝炎・肝機能障害

消化器科で行っている検査・処置

当科では以下の検査を行っています。消化管内視鏡検査や超音波検査、CT撮影、MRI撮影を組み合わせることで、全消化管、腹部の全臓器(肝臓、膵臓など)の検査をすることができます。苦痛を伴う内視鏡検査・処置では、麻酔科と連携し全身麻酔で検査を行い、子どもに苦痛のないよう実施しています。状態に合わせて必要な検査を行いますので、検査をした方がいいか判断が難しい場合でも遠慮なくご相談ください。

検査

  • 上部消化管内視鏡検査:食道、胃、十二指腸の検査
  • 下部消化管内視鏡検査:大腸全体と小腸の一部の検査
  • 小腸カプセル内視鏡検査:小腸の検査
  • 超音波検査
  • 胆膵内視鏡検査:肝胆膵疾患の原因精査のための検査
  • CT撮影
  • MRI撮影(MRCP、MR enterographyを含む)
  • 消化管造影検査(上部消化管造影、注腸造影)
  • 24pHモニター・インピーダンス(胃食道逆流の検査)

処置

  • 内視鏡的ポリープ切除術
  • 内視鏡的止血術
  • 内視鏡的狭窄部拡張術
  • 内視鏡的消化管異物除去術
  • 内視鏡的胆道ステント留置術
  • 内視鏡的胆道結石除去術
  • 内視鏡的胆道拡張術

特色・専門分野

炎症性腸疾患:潰瘍性大腸炎・クローン病

炎症性腸疾患は慢性・再発性に消化管に炎症をきたし、腹痛や下痢、血便、肛門痛などの消化器症状以外にも、貧血や体重減少などで発症することがある疾患群で、おもに潰瘍性大腸炎やクローン病が含まれます。炎症性腸疾患の患者数は世界的に増加傾向にあり、日本においても同様に増えてきています。潰瘍性大腸炎・クローン病の発症年齢のピークは、10代後半~20歳代ですが、小児期での発症も増えてきていて注意が必要な病気になります。
確定診断には、上部・下部消化管内視鏡検査や消化管(食道や胃、腸)の粘膜の生検による病理組織検査が必要です。問診、身体診察、血液検査や便検査、超音波検査を行い、炎症性腸疾患が疑われる場合には、当院で内視鏡検査を行います。そのほかにも小腸カプセル内視鏡検査やCT撮影、MRI撮影などを組み合わせて病気の範囲や重症度を把握し、個々の患児の状態に合わせた適正な治療を行います。
また炎症性腸疾患は、入院が必要となることが多く、社会的側面や心理的側面のサポートが必要となります。当院では院内学級や勉強スペース(AYA世代スペース)などを利用することができ、また心療内科と連携し心のケアにも力をいれています。そのほかにも看護師、薬剤師、栄養士がチームを組み診療にあたり、総合的な医療を行っています。

胆膵内視鏡診療:総胆管結石、反復性膵炎、膵胆管合流異常症など

子どもでも総胆管結石や繰り返す膵炎などの胆道・膵臓の病気を発症することがあります。いずれも胆汁や膵液の流れが悪いことが原因で腹痛や嘔吐、発熱などの症状が出ます。MRIで胆管や膵管の形態を確認する検査(MRCP)を行いますが、子どもでは胆管や膵管が細くて十分に描出できないことがあります。そのため内視鏡を用いて、十二指腸にある胆管と膵管の開口部からカテーテルを胆管や膵管に挿入し造影する検査(内視鏡的逆行性膵胆管造影:ERCP)により、結石の有無、胆管と膵管の走行異常や狭窄の有無などを明確に検出することができます。さらにERCPの利点は、そのまま結石を除去したり(内視鏡的結石除去術)、狭窄部をバルーンで拡張したり(内視鏡的バルーン拡張術)、狭いところを超えてプラスチックの筒(ステント)を留置すること(内視鏡的ステント留置術)で、胆汁や膵液の流れを良くし、症状を改善させる治療が同時に行えることです。当院は、指導施設でERCPを数多く経験してきた消化器内視鏡専門医がERCPを安全に行うことで、お腹にきずをつくって治療する開腹手術を回避し、早い回復が期待できるなど、子どもにとって低侵襲(ダメージが少ない)な胆膵内視鏡診療を実践しております。

機能性消化管障害:過敏性腸症候群、機能性ディスペプシアなど

子どもの繰り返される腹痛や下痢の原因としては、過敏性腸症候群などの機能性消化管障害が多いといわれています。これらの病気は、消化管の動きに異常をきたし、腹痛や下痢といった消化器症状をきたします。脳と消化管の間の自律神経系の異常が関係しており、ストレスや環境要因、腸内細菌叢などが関係しているといわれています。緊急を要する病気ではありませんが、不登校などの原因となり生活の質が低下します。内服薬による治療や心理的サポートなど多角的な治療が必要となることがあります。機能性消化管障害は、血液検査や便検査、超音波検査などに異常は認められませんが、診断にはほかの病気ではないことを確認するために内視鏡検査を含めた検査が必要となることもあります。繰り返される腹痛や下痢でお困りの際はご相談ください。

便秘症

便秘とは、排便回数や便量が少なくなった便が滞る状態や、排便するときに強くいきんだり、肛門痛などの苦痛を伴い便がでにくい状態です。また便秘症とは、便秘によって腹痛や腹部膨満感、食欲不振、出血などの症状をきたす状態です。生活指導や内服でよくならない場合には、便秘となる病気(ヒルシュスプルング病や甲状腺機能低下症など)が隠れていることがあり、便秘治療とともに検査が必要なこともあります。便秘症でお困りの際には外来受診を検討してください。