業務紹介
心理業務の主なものをご紹介します。診療科の違いなどによって各都立病院で実施されている心理業務の範囲や内容が異なる場合があります。詳しくは、各病院における心理業務紹介および各病院のホームページをご覧ください。
1 心理アセスメント
面接や観察・心理検査などにより、その人のこころの状態や特徴、発達の状況や課題を明らかにしていくもので、各診療科からの依頼を受けて、必要な心理アセスメントを行っています。心理検査には発達検査、知能検査、神経心理学的検査、パーソナリティ検査などがあり、目的に応じて種々の検査を組み合せて実施する場合もあります。
2 心理面接・心理的ケア
アセスメントをもとに症状の改善や発達の支援を目的としたカウンセリングや心理療法などの心理面接を行っています。形態としては、個人療法やグループセラピー、家族療法、心理リハビリテーションなどがあり、目的に応じて実施しています。また、発達相談や療育相談、緩和ケアなど、様々な相談活動や心理的ケアも行っています。
3 臨床心理的地域援助
アセスメントや相談の結果、必要があると判断された場合は、患者さんやご家族を対象とするだけでなく、患者さんやご家族のご了解のもとで、関連する学校や施設などと連携したり、社会資源の活用など環境面へ働きかけたりすることによって心理的課題へ対応することがあります。また、予防や理解促進のための啓発活動などを行うこともあります。
各都立病院の心理業務の取り組みについて
以下に各病院における心理業務の概要をご紹介します。各病院に通院中・入院中の方とそのご家族が対象になります。
各都立病院における心理業務紹介
広尾病院
広尾病院は、救急災害医療、心臓病、脳血管疾患医療を重点医療とする総合病院です。心理士は精神科病棟をもつ神経科に属しており、神経科を中心に各科の患者さんをお受けし、心理検査、心理面接などを行っています。また、緩和ケアチームの一員として、多職種と連携を取りながら、患者さん、ご家族の方への心理的サポートを行っています。
大塚病院
大塚病院は、周産期医療、高度・専門的な小児医療、リウマチ・膠原病系難病医療等の提供に重点的に取り組んでいる総合病院です。心理は医療相談担当と児童精神科にそれぞれ配属され、当院各科の入院・外来患者様やそのご家族の方を対象に心理的な支援を行っています。
具体的には、各種の心理アセスメント、心理面接、リエゾンチーム医療、周産期医療での心理的ケア、幼児から小学生までを対象とした療育指導や家族向け講座の開催等の業務を行っています。
駒込病院
駒込病院患者サポートセンター(がん相談支援センター)ホームページへ
駒込病院は、がんと感染症を中心とする高度な医療サービスを行う専門医療機関としての役割を果たすとともに、総合病院としての地域医療サービスも行っています。心理士は、精神腫瘍科・メンタルクリニック(以下精神腫瘍科と表記)と緩和ケア科にそれぞれ配置されています。当院に受診されている方を対象に、精神腫瘍科で医師の依頼を受けて心理検査やカウンセリングを行っています。また、リエゾンチームや緩和ケアチーム、緩和ケア病棟の一員として、がんを中心とする身体疾患で当院において治療中の患者さん・ご家族の方への心理的ケアを、他職種と連携しながら行っています。この他、患者サポートセンター(がん相談支援センター)の「こころの相談」を担当しています。
豊島病院
豊島病院は、救急医療、脳血管疾患医療、がん医療を重点医療とする総合病院です。心理士は患者・地域サポートセンターに所属し、当院各科の入院・外来患者さんやそのご家族の方を対象に心理的な支援を行っています。また、各種チームのメンバーとして、チーム医療の一端を担っています。
荏原病院
荏原病院は、二次医療機関として地域を支える総合病院です。中でも救急医療、感染症内科、総合脳卒中センター、認知症疾患医療センター、緩和ケア、高気圧酸素治療などが特色のある医療機能です。
心理士は、患者支援センターの医療相談係に所属し、精神科をはじめ神経内科、脳神経外科、小児科、産婦人科など、多岐にわたる診療科の依頼に対応した業務を行っています。各種心理検査、心理面接の他、入院集団精神療法、精神科デイケア、精神科リエゾンチーム、緩和ケアチーム、認知症ケアサポートチーム、妊産婦のメンタルヘルスケア、認知症疾患医療センターに関与しています。詳しくは、荏原病院ホームページの患者支援センター相談部門をご参照ください。
墨東病院
墨東病院は救急医療と総合医療の二つを担っています。心理士は平日午前中、神経科相談室にてソーシャルワーカーと共に、より適切な医療サービスが受けられるように電話や面談(予約不要)で受診相談を受けています。心理アセスメントや心理面接は、神経科・小児科・新生児科の依頼が中心になっていますが、救命救急センター、感染症科をはじめとして病院の機能が多岐に渡るため、子どもの養育や学校・会社での悩みについての相談、他者との接触を大きく制限された入院生活へのケア、緩和ケア、突然の事故に遭われた方やご家族へのケアなど、幅広く心理的ケアを行っています。また周産期母子医療センターでは、専属の心理士が、入院中だけでなく、フォローアップ外来も含めて母子に関わっています。
多摩総合医療センター
多摩総合医療センターは ①救急医療 ②がん医療 ③総合周産期を3本柱とする急性期の総合病院です。心理士は医事課医療相談係に所属し、全科の入院・外来患者に対応します。心理アセスメントや心理面接の他、虐待対策、周産期ケア、緩和ケア、肥満減量外科など、各種チームのメンバーとして、チーム医療の一端を担っています。
精神科病棟では絵画などの創作を通しての集団精神療法や心理教育プログラムを行っています。身体科では、がんや慢性疾患の患者さんとそのご家族への心理サポート、産後うつの患者さんへの心理面接、また、がんサロンにスタッフとして関わり、他職種との連携も積極的に行っています。
多摩北部医療センター
多摩北部医療センターは、北多摩北部地域における急性期中核病院です。心理士はリハビリテーション科に所属し、各診療科の依頼に応じて神経心理学的評価、認知機能訓練、心理療法を行っています。また、緩和ケアチーム、認知症ケアチームのメンバーとして活動しています。
心理検査、認知機能訓練、心理療法は、リハビリテーション科医師の指示の下で行っています。希望される場合は、リハビリテーション科までご連絡ください。
多摩南部地域病院
多摩南部地域病院は、救急医療(二次救急)とがん医療を重点医療とする地域医療支援病院です。当院心理士は、多職種と連携しながら、主に緩和ケア病棟において、入院患者さんとご家族のお気持ちのつらさに対する心理的ケアを行っています。また、緩和ケアチームメンバーとして、一般病棟の入院患者さんの療養におけるお気持ちのサポートに携わっています。
神経病院
神経病院は脳神経疾患の専門病院です。脳神経内科・脳神経外科・神経小児科などがあり、主に入院診療を行っています。心理士は神経精神科に所属し、入院患者さんやご家族を対象に、心理検査・評価や心理療法・相談を主な業務としています。検査としては神経心理検査を主体に行っています。また、他職種と協力して、ご本人やご家族を支える働きかけも行っています。ご利用に際しては担当医にご相談ください。
小児総合医療センター
小児総合医療センターは、30を超える専門診療科があり、子どものこころとからだを総合して診る医療を実践しています。心理士は、「子ども家族支援センター」に所属し、子どもとご家族の支援にあたっています。
心理士は、外来・入院のお子さんに対する発達や精神面のアセスメント、心理面接・グループセラピーを実施している他、幼児から思春期年齢までを対象としたデイケアの運営などに携わっています。また、ハイリスクのお子さんや難病の患者さん・ご家族の方への心理的ケア、発達・療育相談などの親支援や家庭・学校など子どもをとりまく環境への働きかけや電話相談事業も重要な業務として他職種と協力して行っています。
松沢病院
松沢病院は、精神科救急医療、精神科身体合併症医療、アルコール・薬物依存症医療をはじめとした各専門医療などに長年取り組んできました。時代に即し、さらに認知症専門治療や医療観察法に基づく入院、通院治療も推進しています。平成24年から、新築した本館診療棟の運用を開始しました。都の精神科医療の拠点として、依存症デイケア、東京都認知症疾患医療センター、思春期・青年期病棟など、新たな精神科医療に取り組んでいます。
心理室では、精神科をはじめ、神経内科、脳神経外科、内科、リハビリテーション科など、入院、外来ともに各診療科の依頼に応じ、業務を行っています。実際には、各種心理検査、心理面接、集団精神療法、デイケア、依存症専門チーム医療、認知症集団回想法、もの忘れ外来、心理教育プログラム、思春期・青年期専門外来、医療観察法病棟での多職種チーム医療、各種家族教室、栄養サポートチームなどに関与しています。詳しくは、松沢病院ホームページ心理室をご参照ください。