希少がんセンター

希少がんセンター

希少がんとは

希少がんは罹患者数が10万人に6人以下と非常に少ないがんを指します。

しかし希少がんに含まれるがん種は約200種類もあり、すべてを合計すると全がん種のおよそ2割を占めています。

全がん種罹患率

こうしたがんは治療法が確立されていないため、診療科を横断した体制で治療を行う必要があります。そのため当院では2024年1月から希少がんセンターを開設しました。私たちは既存の情報の中から最適治療を考え、ゲノム医療・治験などの選択肢を提案できるように努めています。

希少がんセンター長  下山 達

 

当院の希少がん診療体制

希少がんセンター長
腫瘍内科:下山 達
内科部門長
腫瘍内科:金政 佑典
外科部門長
骨軟部腫瘍科:平井 利英
薬物療法
腫瘍内科:奥屋 俊宏 
病理
病理科:元井 亨
放射線治療
放射線科治療部:伊藤 慶
放射線診断
放射線科診断部:山本 亜也
遺伝子診断
遺伝子診療科:山口 達郎
 

当院の希少がん相談窓口

診療連携室のスタッフが患者さん、ご家族、一般の方、医療機関の方から希少がんに関するご相談をお受けします。お困りの事や不安なことがあればご相談ください。その領域の担当医師の外来受診をご案内いたします。

相談できる内容

  • ご自身やご家族の希少がんについて知りたい
  • どのような治療方法があるのか
  • 臨床試験治療を受けられる医療機関について  など
予約は連携室まで
連携直通03(4463)7534
FAX03(4463)7537
受付時間

月曜日から金曜日:9時から17時まで

土曜日:9時から12時まで

(祝日および年末年始の休みを除く)

 

注目情報希少がんの情報や解説はこちら

 国立がん研究センター中央病院 希少がんセンター(外部リンク)

 

MASTER KEY プロジェクト

希少がんは罹患患者数が少ないため治療法の開発が困難でした。しかし、がんの約2割を占め、多くの患者さんがおります。そのため新たな治療の開発が急務です。当院ではこうした希少がんのがん薬物療法の開発を推進するため、「MASTER KEY プロジェクト」に全国8番目の施設として参加しています。(2024年4)
MASTER KEY プロジェクトは、希少がんの研究開発およびゲノム医療を推進するため、国立がん研究センター中央病院が中心となって進めている産学共同プロジェクトです。
このプロジェクトは、「レジストリ研究」と「臨床試験治療(副試験)」の2つのパートに分かれます(図)。「レジストリ研究」では、希少がんのデータを蓄積し、それぞれの希少がんの特徴やバイオマーカーを明らかにし、治療開発につなげることを目標としています。レジストリ研究に登録された患者さんは、登録されたバイオマーカーの結果に応じて、臨床試験(副試験)を紹介される機会を得ることが出来ます。

注目情報MASTER KEY プロジェクトに関する説明はこちら

https://www.ncc.go.jp/jp/ncch/masterkeyproject/outline/overview/index.html(外部リンク)

 

 

神経内分泌腫瘍とルタテラによる治療

神経内分泌腫瘍とは

主に膵臓や消化管に発生する悪性度の低い腫瘍です。より悪性度の高い「神経内分泌癌」とは区別されます。しかし、癌と比べてゆっくりではあるものの、転移、増大する性質があるため、数年の経過の後、命にかかわる病状になることが多いです。手術で取り切れる場合は外科的手術が優先されます。転移している、手術で取り切れないような状況では薬物療法を中心に治療を行います。

神経内分泌腫瘍・神経内分泌癌を合わせても10万で年5人程度の発生頻度とされ、希少がんのひとつに数えられます。

様々な薬物療法

比較的珍しい病気であるため、かつては薬による治療手段は限られていましたが、近年さまざまな薬物治療ができるようになってきました。

 

薬物療法のオプション

  • ソマトスタチン受容体アナログ製剤
  • 分子標的薬
  • 細胞障害性抗がん剤
  • アイソトープ治療

 

ルタテラによる治療

アイソトープ治療のカテゴリに属するルタテラという薬剤による治療が利用可能になりました。ルタテラは177Luという放射性同位元素を含有した薬剤で、神経内分泌腫瘍がもつ「ソマトスタチン受容体」にくっつく性質を兼ね備えています。薬物が腫瘍に到達したところで177Luが原子核崩壊してベータ線を出すことで抗腫瘍効果を発揮します。ルタテラを注射すると体内から放射線が出るようになるため、法令の基準を満たすまでは所定の放射線治療病室で過ごしていただく必要があります。(ほとんどの場合1泊入院です)

国内外で実施された臨床試験で生存期間を延長する効果があることが示されています。日本では2022年に公的医療保険の適応になり一般の診療に組み込まれています。

治療原理からソマトスタチン受容体が十分にある腫瘍の患者さんに利用いただける治療方法です。放射線治療病室で治療を行う必要があることから身の回りのことをご自身で行える方で実施可能です。

 

当院での治療方針

当院では腫瘍内科、放射線科、病理科の医師、看護師、薬剤師、診療放射線技師などのスタッフが協力して診療に取り組んでいます。病理診断、ステージ、全身状態、診療経過から相応しい治療方針を決定します。神経内分泌腫瘍の患者さんに、納得、安心して治療を受けていただけるように心がけてまいります。

ルタテラ治療
ルタテラ2

イラスト元:ノバルティスファーマ株式会社 患者さん向けおくすり情報 (がんと希少な病気)

注目情報ルタテラによる治療とは | ルタテラ®で治療を受ける患者さんとご家族の方へ | ノバルティス ファーマ株式会社 (novartis.co.jp)(外部リンク)