脳に障害のある患者さん、例えば、新生児重症仮死や先天性の脳形成異常などが原因の脳性麻痺の患者さん、また、急性脳炎・脳症や頭部外傷などの後遺症を持つ患者さんでは、四肢や体幹、首の筋肉の緊張が強く、自分の意志とは関係なく筋肉に強い力が入ってしまうことがあります。これは痙縮と呼ばれるもので、患者さん本人にとってつらい症状であり、また、御家族にとっても介護が困難となる原因となります。
この痙縮に対しては、筋肉の緊張を和らげる薬を使ったり、リハビリテーションを行ったり、ボツリヌス筋注療法が行なわれますが、筋緊張が高度の場合にはこれらの治療を行っても効果が不十分な場合が少なくありません。そのような患者さんに対して、バクロフェン持続髄注療法や選択的脊髄後根切断術の外科治療が治療選択肢の一つとなります。
バクロフェン持続髄注療法では、からだに埋め込んだポンプとカテーテルを介し薬剤を脊髄に直接作用させることで、筋緊張の軽減にめざましい効果があります。バクロフェン持続髄注療法は北米では20年以上、国内でも10年以上の歴史があり、小児での安全性も確立されています。
当院では、脳神経外科および神経内科が連携して、バクロフェン持続髄注療法を行っており、2014年と2015年は2例ずつ、2016年と2017年は1例ずつ、2018年は4例の患者さんに同療法を実施しています。
バクロフェン持続髄注療法や選択的脊髄後根切断術を希望される方、また、どのような治療であるか説明をお聞きになりたい方など、広く受け入れております。
外来受診を希望される方は、脳神経外科井原哲医師、もしくは、神経内科冨田直医師の初診予約をお取りください。
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小児脳腫瘍・脊髄腫瘍、二分脊椎、キアリ奇形、水頭症、頭蓋内嚢胞、頭蓋骨縫合早期癒合症、もやもや病、脳動静脈奇形、頭部外傷、脳性麻痺による痙縮など、15歳以下のすべての脳神経外科疾患を担当しています。
急性脳炎・脳症、けいれん性疾患など、主に急性期の神経疾患の患者さんを診療しています。その他、頭痛、精神運動発達遅滞、神経皮膚症候群、先天異常、染色体異常、脳性麻痺、重症心身障害児などにも、幅広く対応しております。文を記入してください