平成25年2月に国が指定する「小児がん拠点病院」に指定され、小児がん診療に積極的に取り組んでいます。白血病等の血液腫瘍、脳腫瘍や脊髄腫瘍、神経芽腫等の固形腫瘍と偏りなく診療を行い、集学的治療を要する重症小児がんへの対応も行っています。
院内学級(都立武蔵台学園府中分教室)も設置されており、入院しながらでも義務教育を収めることができます。高校生を含めたAYA世代(思春期・若年成人:Adolescent and Young Adult)のがん患者への対応にも積極的に取り組んでいます。また緩和ケアサポートチームが早期から介入を行っており、患者さん及びご家族へのサポート体制も整備しています。
小児がん経験者及び造血細胞移植患者に対する長期フォローアップを目的として平成28年に「長期フォローアップ外来」を開設しました。長期フォローアップに習熟した医師と、造血細胞長期フォローアップ研修を受講した看護師が担当し、必要に応じてMSW(医療ソーシャルワーカー)や心理士との連携も行っています。
東京都では、都内の小児がん拠点病院及び東京都小児がん診療病院による「東京都小児がん診療連携協議会」を設置・運営しています。当院は協議会の事務局を務めています。協議会では、小児がん診療連携ネットワークの構築、普及啓発活動、医療従事者に対する研修の実施などの取組を行っています。
小児がんセンター長あいさつ
小児がんセンター長を拝命いたしました湯坐有希(ゆざゆうき)と申します。
都立小児総合医療センターは前身の都立清瀬小児病院血液・腫瘍科、外科、そして都立八王子小児病院外科にて小児がん診療を始め、2010年3月に都立小児総合医療センターに統合され、脳神経外科が開設されたこともあり、重点的に小児がん診療に取り組んできました。
当センターの提供する小児がん診療の一つの特徴として、多診療科による包括的ながん診療が挙げられます。当センターには小児を冠する38の診療科があり、各診療科がその専門性を十二分に発揮した診療を行っております。これらの専門性の高い診療科が相互の垣根を取り払い包括的ながん診療に当たっています。
また、院内に東京都立武蔵台学園の分教室が設置されており、小中学生のみならず高校生の学習支援を行っています。また、院内リエゾンチームによる積極的な支援、緩和ケアサポートチームによる小児に特化した緩和ケアを提供しています。
これらのことが認められ、当センターは2013年に国が全国で15施設を指定した「小児がん拠点病院」に指定されました。地域における小児がん診療のみならず、臨床試験や治験の推進、人材育成などにも積極的に取り組んでおります。
その取り組みの一つが長期フォローアップ外来です。長期フォローアップに習熟した医師、看護師等による、それぞれの小児がん患者さんに最適化し、またそれぞれの成長に応じたフォローアップの提供を目指した外来で、院外患者さんのフォローアップも積極的にお受けしております。
そして現在、当センターではAYA世代がん支援を一つの重点課題として取り組んでいます。AYA世代がんとは、15~39歳の思春期・若年成人期に発症したがん患者さんで、小児診療科と成人診療科の狭間で適切な診療を受けにくいと認識されてきています。また、高等教育の就学支援、新規就労支援、介護保険等の経済的補助がないこと等、この世代特有の相談支援ニーズを有しております。当センターでは併設された地域がん診療連携拠点病院である東京都立多摩総合医療センターと連携し、AYA世代がん患者さんへの適切な医療の提供、療養環境の提供、相談支援の充実を図っていきます。
多摩地域の小児がん診療の中核として地域診療機関とこれまで以上に連携体制を図ると同時に、小児及びAYA世代がん診療の益々の向上に貢献していけるよう努めてまいります。
東京都立小児総合医療センターの提供する小児がん医療
診療圏:
多摩地域、23区西部、埼玉県南西部・西部、神奈川県北部、山梨県のほか、最重症患者には診療圏を越えて対応
集学的治療を要する重症小児がんへの対応
- 治療抵抗例、再発例などの難治性小児がんに対応
- 血液浄化、人工心肺など重症集中管理を要する小児がん治療に対応(小児救
急医、集中治療医によるドクターカー、ヘリ、 PICU を利用した重症管理) - 腹部腫瘍、脳腫瘍等包括的医療を必要とする固形腫瘍に対応
地域における小児がん医療および支援
- 地域における小児がん症例に責任を持って対応
- 患者さんの利便性に配慮した対応
- 退院後は地域の医療機関と連携
AYA世代がん患者支援
・小児のがん患者だけでなく、AYA世代のがん患者への支援にも積極的に対応(詳細は下記リンク先のとおり)
多職種によるチーム医療
- 緩和ケアサポートチームによる小児に特化した緩和ケアの提供
- 腫瘍カンファレンスによる治療方針の確認、決定
- 小児総合診療基盤による優れた合併症医療
長期フォローアップ
- 多診療科による高度で包括的な長期フォローアップ
- 多摩総合医療センターと連携した移行医療モデルの構築
患者家族支援
- 子ども家族支援部門による心理社会的なサポート
- 子どもがん相談支援センターによるサポート
- 市民に対する小児がん啓発活動の実施
- ドナルド・マクドナルドハウスふちゅう(宿泊施設)
- 都立武蔵台学園府中分教室、ピアサポーターとの協働による支援
人材育成支援
- 小児がん診療機関と連携した若手血液・腫瘍医育成
- コメディカル育成支援
- 研究会、公開カンファレンスの開催
- ⇒研修・見学の受入れについて(PDF 40.1KB)
- ⇒Tumor Board(腫瘍カンファレンス)のご案内はこちら(Excel 32KB)
臨床研究支援
- 臨床研究支援センターによる医師主導治験、多施設共同研究のサポート
東京都小児・AYA世代がん診療連携協議会 リーフレット
平成28年度作成 『入院中から考える保育・教育・就労のこと』(PDF 2.3MB)
平成29年度作成 『長期フォローアップについて』(PDF 3.5MB)
平成30年度作成 『お家で安心して過ごすために』(PDF 2.8MB)
令和2年度作成 『AYA世代の方へのご案内 15~39歳の皆さんに知っておいてほしいこと』(PDF 2MB)
令和4年度5月発行 『医療費や経済的なご負担の軽減』(PDF 7.5MB)(初版平成27年度 第2版令和元年度)