小児専門医療 先天性内反足

 先天性内反足は、足が内側に強く反り返った状態で出生する疾患で(図1)、片側だけに起きる場合と両側に起きる場合とがあります。

図1左先天性内反足(生後10日目)
図1:左先天性内反足(生後10日目)

 本邦ではおよそ1000人に1人の頻度で発生すると報告されていますが、その原因はいまだ分かっておらず、大半は家族歴なく突然発生します。都立小児総合医療センターでは毎年20例ほどの内反足の初診患児を受け容れております。
 足が内側に反り返るのは主に下腿後方の筋肉が短縮しているためで、これは簡単には整復ができません(図2)。そして出生後日数が経つほど筋肉の短縮は強くなり、整復もより困難となってしまいます。そこで我々は、内反足を疑われている新生児のために特別な初診枠を設け、産院を退院された後すみやかに当院を受診できるよう努めております。

図1と同じ患児を徒手矯正した様子
図2:図1と同じ患児を徒手矯正した様子
(注)患側(右図)では足を甲側にそらすことが出来ない。

内反足初期治療の基本はギプスを用いた変形の矯正になりますが、現在世界の標準的な治療法となっているPonseti法に準じた治療法を我々も採用しております。具体的には、ギプスにより変形矯正を週1、2回の頻度で計5回程度行い(図3)、アキレス腱の皮下切腱処置後に装具療法へ移行いたします(図4)。

図3ギプス矯正の経過
図3:ギプス矯正の経過
左より初診時、ギプス矯正1回目後、3回目後、5回目後、生後2ヶ月
図4デニスブラウン装具
図4:デニスブラウン装具

 装具治療開始直後は成長が早いため月に1度の頻度で装具を調整し、その後は2、3ヶ月に1度の頻度で通院いただきます。成長に合わせて装具の更新が必要となりますが、その際には1週おきに2、3回の通院が必要となります。
 内反足の治療が順調に進めば普通に運動を楽しむことが出来るようになります。ただし、一旦矯正が済んだ後でも筋肉のひきつれは残っていますので、成長とともに再発する可能性があり、就学する年頃までは数ヶ月に一度の頻度で通院していただく必要があります。
 また、頻度は少ないものの麻痺や筋肉の疾患に合併した内反足もあり、一般的な内反足と異なって治療に難渋することが多いため、このような疾患がないのかを判別することが大切になります。